1 はじめに
本記事は、岡篤先生のメルマガ「教師の基礎技術~教材文のイメージ化~「きつつきの商売 1179号~1185号」から引用・加筆させていただいたものです。
きつつきの商売
3年生の教科書(光村)に「きつつきの商売」があります。これは4月教材なので、3年生になってから初めての教材文指導となります。子ども達は、教材文を使ってのイメージ化に初めて挑戦します。イメージ化する部分については、私が順番に指示しました。
イメージ化に向いている部分
イメージ化には会話文が向いています。その中でも特に、ストーリーの上で重要なところがイメージ化にぴったりです。なぜなら、会話にはそれを話した人物がいるからです。その人物を確認しただけでも、ある程度のイメージは浮かびます。
さらに、その人物がどんな人か、どんなことをしたか、といったことも想像しやすくなります。このときは、「へええ。どれでも百リル。どんな音があるのかしら。」という部分を選びました。 きつつきがやっている「おとや」にやって来た野ウサギの言葉です。
イメージ化への準備
「へええ。どれでも百リル。どんな音があるのかしら。」
という部分について、イメージ化させます。その前に、誰が言ったせりふか確認をしました。子ども達はすぐに「野うさぎ!」答えました。直後に次のような文があるからです。「そう言って、まっさきにやって来たのは、茶色い耳をぴんと立てた野うさぎでした。」このページには野うさぎの挿絵も入っています。だから、「誰のせりふかな?」と尋ねられれば、ほとんどの子がさっと答えられます。
次に、もう一つ「野うさぎは、男の子でしょうか?女の子でしょうか?」と確認をしました。これもすぐに答えが出ます。「~かしら」「これにするわ」という表現があるからです。このため、女の子として書かれていると考えられます。「へええ。どれでも百リル」この言葉を言ったのは野うさぎであり、女の子です。
確認の必要性
では、この確認は不要なことでしょうか。そうではありません。尋ねられれば正しく答えられることも、尋ねられなければ勘違いしたままでいることも少なくありません。子ども達は、思った以上にできるときもあるが、思った以上にわかっていないときもある、ということです。最低限の確認は無駄なイメージ化をさせないために必要なことです。これらを確認した上で、いよいよイメージ化に入ります。
1回目のイメージ化
「では、どんなイメージが広がりますか?」と問いかけ、「どんな言い方をしているとか、どんなかっこうで言っているとか、でもいいですよ」と加えます。しかし、この発問に対しての子ども達の反応はぽつりぽつりといったところです。まだ、問われていることの意味がよく分かっていないし、自信もない。もちろん、イメージ化の力が弱い子もたくさんいます。
子ども達の意見
出てきた意見は次のようなものでした。
「やさしく言っている」「すわって言っている」「木にもたれている」「散歩の途中で『おとや』を見つけた」
など。まず、勇気を持って発表したことを大いにほめます。これまでに、「イメージ化をして発表しなさい」と言われたことはなかったはずです。たった数人ですが、思い切って発表したことは立派です。
イメージ化のイメージ
いくら言葉で説明されてもピンとこない、というのが普通です。実際に他の子が発表し、教師がそれを認めて大いにほめたということで、イメージ化についてイメージできた子どももいるはずです。
次時でも大切にしたい確認
次時も同様に展開します。教材文から会話文を選び、黒板に書きます。そして、同じことを確認します。「これは、誰が言っていますか?」「きつつき!」子ども達はスムーズに答えられました。次に尋ねることも同じです。「どんなイメージが広がりますか?」
2回目のイメージ化
2回目になると、やや自信を持ち始めている子がいます。1回目で意見が出せたり、ほめられたりした子ども達です。この子ども達は、前回よりもすぐに反応し、ノートに向かい始めます。また、1回目にイメージ化に苦労していた子ども達も、今度こそ、と意欲を持って取り組み始めます。
決して焦らないこと
とはいえ、ゴールは3学期です。それまでに、子ども達がイメージ化の力を着実につけ、イメージ化をすることに意欲を持って楽しく取り組めるようになればよいのです。焦る必要はありません。1回目と比べて少しでも反応がよくなった子が一人でもいれば良いのです。いや、一人もいなくても大丈夫です。
情景描写
「きつつきの商売」には情景の描写もあり、これについてイメージ化することも大切です。ですが、順番を考えると、最初に取り組むには会話の部分がふさわしいと考えています。今回も、会話の部分のイメージ化だけを行いました。それでも、前後の文を参考にしながらイメージ化することは、文章全体を読み直すことにつながります。基本的には、この指導方法を1年間通します。
3 執筆者プロフィール
岡 篤(おか あつし)先生
1964年生まれ。元神戸市立小学校教諭。「学力の基礎をきたえどの子も伸ばす研究会(略称学力研)」会員。硬筆書写と漢字、俳句の実践に力を入れている。
(2018年5月25日時点のものです)

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