国際バカロレア(IB)を取り入れた学校(アオバジャパン・インターナショナルスクール・小澤大心先生)

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目次

1 はじめに

本記事は、アオバジャパン・インターナショナルスクールの小澤大心先生へのインタビューを記事化したものです。国際バカロレア(IB)を基盤としたアオバジャパン・インターナショナルスクール(東京都練馬区)の取り組みや、通学する生徒の様子、また生徒の評価方法についてお話を伺いました。

2 アオバジャパン・インターナショナルスクールとは

アオバジャパン・インターナショナルスクール(AOBA-JAPAN International School)}は、幼小中高一貫のインターナショナルスクールです。生徒一人ひとりの考え方・ものの見方を尊重し、育んでいく取り組みをしています。1976年に小さな幼稚園として創設されて以降、学校内外を通じて、国際的なものの見方や異文化理解を促す学習環境を作り上げてこられました。

詳しくはアオバジャパン・インターナショナルスクールのホームページをご覧下さい。

3 インタビュー

〇国際バカロレア(IB)を導入している理由を教えてください。

小澤先生:アオバジャパン・インターナショナルスクールで国際バカロレア(IB)を取り入れている理由は主に2つあります。

※国際バカロレア(IB)とは

国際バカロレア機構(本部:ジュネーブ)が提供する国際的な教育プログラム。国際バカロレア(IB:International Baccalaureate)は、1968年、チャレンジに満ちた総合的な教育プログラムとして、世界の複雑さを理解して、そのことに対処できる生徒を育成し、生徒に対し、未来へ責任ある行動をとるための態度とスキルを身に付けさせるとともに、国際的に通用する大学入学資格(国際バカロレア資格)を与え、大学進学へのルートを確保することを目的として設置。

(引用:文部科学省ホームページ

まず1つに、国際バカロレア(IB)が、教員が学校教育を考える際のフレームワークになることです。

文部科学省は、学校教育の基準として学習指導要領を提示していますが、どのような形で授業をするかは各学校や各先生に任されています。しかし、国際バカロレア(IB)は教育プログラムも規定されているので、教員間で授業内容について共通認識が取りやすいです。また、国際バカロレア(IB)を導入している学校であれば、どの学校でもプログラムは共通しているので、教員間の意見交流も図りやすいと感じています。国際バカロレアは国際的な基準なので、インターナショナルスクールである本校にぴったりです。

次に、国際バカロレア(IB)が自立した学習者を育てることに焦点を当てていることです。

アオバインターナショナルスクールでは、国際人になるために生徒ひとりひとりの可能性・潜在能力を最大限に引き出すことを重視して教育活動を行っています。その中で、生徒独自の考え方・見方・価値観を尊重していきたいと考えています。一方で、国際バカロレア(IB)は、自立した学習者を育てることに焦点を置いており、その点で本校の理念と合致しています。また、国際バカロレア(IB)は、生涯学習を見据えた教育方針となっていますが、その点にも非常に共感しています。

〇アオバジャパン・インターナショナルスクールの教育を受けた子ども達の変容について教えてください。

小澤先生:一番変わったと思うのは、生徒が積極的に問いを出すようになったことです。

国際バカロレアの教育プログラムは、生徒の年齢に応じて以下の4種類が設定されています。

①プライマリー・イヤーズ・プログラム(PYP)3歳~12歳を対象として、精神と身体の両方を発達させることを重視したプログラム。

②ミドル・イヤーズ・プログラム(MYP)11歳~16歳を対象として、青少年に、これまでの学習と社会のつながりを学ばせるプログラム。

③ディプロマ・プログラム(DP)16歳~19歳を対象としたプログラムであり、所定のカリキュラムを2年間履修し、最終試験を経て所定の成績を収めると、国際的に認められる大学入学資格(国際バカロレア資格)が取得可能。

④キャリア関連プログラム(CP)16~19歳を対象として生涯のキャリア形成に役立つスキルの習得を重視した、キャリア教育・職業教育に関連したプログラム。

(引用:文部科学省ホームページ

③DPの中に、TOK(知の理論)という授業があります。TOKは、「知るとは何か?」「分かるとは何か?」「知識とは何か?」といった、知識の本質に迫る問いに取り組むワークショップ型の授業です。生徒は、物事をどのように捉えるかということについて思考し、考えを深めていきます。その中で、生徒は自分ひとりで考え、クラスメイトと対話しながら意見を深めていきます。その中でまた新たな問いが生徒の中から生まれていきます。

この授業は、文部科学省が新学習指導要領の中で掲げている「主体的・対話的で深い学び」を促進するものだと思います。生徒は探究型学習を通して自分の興味の幅を広げ、学習に意欲的になり、積極的に自ら問いを出すようになっていきます。そして、自ら出した問いに対して答えを求め、深く探究していくようになるのです。

〇特徴的な教育実践を教えてください。

小澤先生:本校では、小学校1年生から教員・生徒・保護者の三者面談を実施しています。一般的な三者面談は、教員側が保護者に対して生徒の学習や生活の様子について報告する場だと思いますが、本校の三者面談では教員はほとんど話しません。代わりに、生徒が保護者に自分の学びの履歴を説明するのです。生徒は、日々の学習の記録をポートフォリオにまとめ、自分が何を学んだのか、何ができて何ができなかったのか、さらになぜできたのか、なぜできなかったのかを内省します。そして、三者面談の場で保護者にプレゼンし報告します。

なぜこのような三者面談をしているのかというと、生徒に自立した学習者になってほしいという願いがあるからです。生徒にとって、本校での自分の学びを振り返り、自分の学習を評価することは、自立した学習者になるためには必要なことだと考えています。教員は生徒の自己評価も踏まえて成績を付ける責務があり、この三者面談を通して双方向的な評価を実現していると言えます。

4 小澤先生のプロフィール

小澤大心先生(アオバジャパン・インターナショナルスクール教員)
文部科学省IB教育推進コンソーシアム担当。(2018年9月8日時点のものです。)

5 編集後記

国際バカロレア(IB)は、主体的・対話的で深い学びと非常に関連があることが分かりました。国際バカロレアの教育プログラムは、探究型学習を進めていく上では非常に参考になるのではないでしょうか。(取材・編集:EDUPEDIA編集部 大森友暁)

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