語り合いたくなるような経験を、子どもたちへ【桐朋学園小学校取材】

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目次

はじめに

本記事は、桐朋学園小学校のインタビュー記事です。

桐朋学園小学校での自然体験活動や、学校内で大切にしていることについて伺いました。

教育関係者の方には自然体験など桐朋学園小学校が大切にしている取り組みを、教育に関心のある学生の方には教員の楽しさをお伝えできればと思います。

なお、本記事は、2025年4月24日に行った取材を記事化したものです。

桐朋学園小学校での特徴的な活動について

本校では、自然体験や行事、学校生活全体を通して、子どもたちが思わず誰かに伝えたくなる、語り合いたくなるような経験をしてもらいたいと思っています。

自然体験について

学年で取り組む内容はそれぞれあります。第3学年では生活科の授業の中で蚕を育てます。繭かさなぎかという選択の中で、子どもたちは私たち人間が他の生き物の命をいただきながら日々を生きていることや命の大切さを学びます。その翌年の第4学年ではやぎ、チャボ、うさぎを飼育します。

第5学年では奥蓼科林間学校で東天狗岳2640mの山頂へと登る行事を行います。ある年は彩雲が現れたこともあり、それは奇跡のような自然体験となりました。天候によって山頂まで登れないこともありますが、その悔しさも子どもたちにとって大切な経験になるのではないかと思います。学校行事として、経験を分かち合う仲間がいることが重要だと感じています。

第6学年では臨海学校があります。臨海学校での遠泳は子どもたちにとって決して楽なことではありませんが、誰かと一緒ならできるということに気付きます。

行事や学校生活について

本校では、1,3,5学年のときに発表会、2,4,6学年のときに音楽会を行います。最後の発表会に臨む第5学年は創作劇に取り組み、第6学年は半年間かけてオーケストラに挑戦します。本校では「みんなで1つになろう」ということを強調することは少ないのですが、音楽会のオーケストラでは、子どもたちが演奏の1音目のために息を吸う瞬間が感じられるような一体感を経験する機会になっています。

また、本校の伝統として、「1年生おくり」があります。5年生が1年生とペアを組み、相手の最寄りの駅まで送り届けます。2年間のパートナーになるよう、6年生ではなく5年生が担当します。5年生は、入学式後、ペアとなった1年生の保護者の元へ行き、「○○まで送ります」と直接伝えます。守られる立場であった子どもたちが、自分より小さい1年生を守る立場になることで、子どもたちの大きな成長が垣間見られ、5年生の作文を読むと、「自分一人で誰かを守らなくちゃいけない」という責任感の表れや、1年生とのコミュニケーションを楽しむ様子が伝わります。

ある年には、第2学年で「夏みかんウィーク」という取り組みを行いました。これは、学校にある夏みかんの木にちなんで、その週の各教科の授業に「夏みかん」が出てくるというものです。ある児童が夏みかんの木を見て、「食べたいな」と話していたことをきっかけに教員が企画した取り組みでした。生活科では夏みかんのスケッチ、算数では夏みかんのジュースを使ったdLの計算、音楽では、教員が作曲した夏みかんの歌を歌いました。

経験を文章へ

こういったさまざまな経験を日記や作文で文章にすることで、子どもたちは文章を綴る習慣が涵養されていきます。

本校にとって日記とは、教員が1人1人の子どもたちの感じたことを受け取ることができる、大切な対話の場所です。子どもたちが書いた文章を細かく直すというよりも、やりとりを楽しむことを大切にしています。1年生の子どもたちの日記は、「先生、あのね」から始まり、教員の返事を心待ちにしている様子が見られます。

他にも、日記がのる学級通信は、子どもたちが他者の文章に触れる機会となっています。人の文章を知って、「こういう文章を書きたい!」という憧れを持ってほしいと思っています。

教員として大切にしたいこと

カリキュラムの余白

子どもたちが自由であるためには、教員や大人も自由であることが必要なのではないかと思います。本校では、軸として伝統が存在しているものの、カリキュラムに余白も存在しています。そうした余白の中で、「夏みかんウィーク」のような新たなものが生まれても驚かないような雰囲気があるのも、本校で教員として子どもたちに関わる魅力の一つだと感じます。

それぞれの教員の授業には個性があり、教員個人と切り離せないものだと考えています。子どもだけでなく大人も含め、すべての人に個性があって、それを発揮しやすい学校でありたいと考えています。

教室を共に生きる場所に

私たちが教員として大切にしたいと思っているのは、「一人一人の心に行き渡るように子どもたちと関わること」と「教室は学習の場だけでなく、生活の場でもある」ということです。

子どもたちの「今」の連続が「未来」に繋がっているからこそ、子どもたちの「今」を大切にしたいです。

関連記事

こちらの記事では、教育に興味関心のある学生・社会人の方を対象に、2018年に桐朋学園小学校・有馬佑介先生主催のもと開催された教育イベントの内容を紹介しています。

教員の仕事の喜びややりがいについて知ることができるので合わせてご覧ください。

編集後記

子どもたちの「今」を見つめ続けるまなざしの温かさを感じました。子どもたちのかけがえのない成長の瞬間を見ることができる喜びや学校での日々を語る先生方の姿に、私自身が小学校時代にお世話になった先生方とのやりとりや友達との学校生活を思い出し、「私は、『みて』もらっていたのだ」「大切にされていたのだ」と再認識する時間となりました。(下園)

今回の取材は、桐朋学園小学校様の「教員の魅力をもっと発信したい」という思いにより実現したものでした。先生という仕事を心から楽しみながら目の前の子どもたちに向き合う先生方の思いを、記事を通して少しでも伝えることができれば幸いです。(丸山)

(編集・文責:EDUPEDIA編集部 下園絢音、丸山和音)

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