子供は教師を値踏みする2

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目次

1 ファーストコンタクトと日々の関係づくり

この記事の内容は

子供は教師を値踏みする | EDUPEDIA

のflowerさんとほぼ同じことを主張しています。大事な内容ですので、事例を挙げつつ、少し違った角度から書いてみました。

どんな人間関係でもそうですが、人と人は、コミュニケーションをとりながら、相手に対しての理解や信頼を深めていきます。初対面の時点から子供は、「この先生どんな人だろう」と不安と期待と好奇心を持って教師を観察しています。

新年度、初対面時のファーストコンタクトも大事ですし、その後長い時間をかけて築かれていく関係づくりも大切です。いずれにせよ、担当となった子供たちが今までの人生(学校生活)をしっかりした信頼関係の中で送ってきている場合は教師は比較的楽に関係を築くことができますが、不幸にもそうではない場合、関係づくりは慎重を要します。特に過去に学級崩壊の状態があった場合や、保護者や友人等の関係で不信感や不安感を抱いている子供の場合は、教師側の力量が試されることになります。

法則化グループの方々は子供たちとのファーストコンタクトについて「黄金の3日間」や「アドバルーンを上げる」という表現を用いてたくさんの論文を書いています。書籍化されていますので、お読みになるといいと思います。

ここでは、「値踏み」という表現で話を進めます。

2 力量を試されているという気持ちで

子供は教師を値踏みしているなどと書くと、教師も身構えなくてはならないのか、子供を信用してはいけないのかと思ってしまうかもしれませんが、そんなことはないと思います。子供に対する信頼感や肯定的な意識が基本でないと、子供は育ちません。ただ、子供が値踏みをしているといった側面を頭に入れずに、しかも教師としての力量や十分な授業・学級経営の準備もない状態で授業や学級がうまくいくかというと、なかなかそれは難しいです。

3 宿題はいつ出すべきか

例えば、新年度に「宿題は朝、自分の席に着たらすぐに先生の机の上に出しておくこと」といった指示を出したとします。そんなとき、「えー、前の先生は朝の会の時に集めてくれたよー」などと言った訴えが起こります。おそらくこういった状況はかなりあるパターンだと思います。言っていることは同じ内容でも、質は違います。下に行くほど、きつい状況でしょう。

  • 単に「前とは違う」という事実を口にしている。
  • 前がよかったという一応、論理的な意見を提案している。
  • 強く前の通りにしてほしいという「先住権」的な主張をしている。
  • とにかく反発できる機会ととらえ、それに対して教師がどう対応するかを窺っている。
  • そもそも、教師の方針に全く従う気がなく、自分たちのペースに持ち込みたい。

さて、あなたならどう対応しますか。

4 不正解はあっても、正解はない?

宿題を登校してすぐに出すのか、朝の会で集めるのか。そのどちらがいいのかなどと言う事は、判断がつきにくい問題です。

また、同じ訴えでも、上記のように、質が違えば、教師の対応も違ってきます。それぞれの教師のキャラクターもありますから、対応の仕方は、何十通りもあることでしょう。

例えば、

「新しい学年ですから、前とやり方が違う事はあると思います。先生のやり方と違うやり方を提案したいときはしても構いません。ただし、先生だけではなく、人の意見に反対する時は特に、相手が嫌な気持ちにならないように、手を挙げて、優しい言い方で、理由も入れて、言うようにしなさい」
と、切り返すのも一つの方法です。

何か正解の対応があるわけではありません。ただ、不正解は、あります。

ああ、前はそうだったの?じゃあ、そうしようか」

などと、優柔不断な対応をして、どんどん子供のペースにはまってしまう結果になる事です。

5 対応力と信頼関係

ひとえに「値踏み」と言っても、かなり悪意のあるものから、悪意はなくただ「甘え」ている場合もあります。どちらにしても、子供たちは自分や友達の悪意や甘えに教師がどう対処をするのかを意識的・無意識的に観察しており、そうして教師の力量は日々試されていきます。

悪意がある場合、あるいは甘えがひどい場合には、じりじりと教師が後退していく結果になります。

ある日、示し合わせたように数人の子供が学校指定ではない体操服を着用して来て、それをあまりとがめなかったばかりに、1カ月程度でほとんどの子供が好き勝手な服装をして体育の授業を受けるようになってしまったなどというケースはよく聞かれます。昔であればそれは中学校でのケースでしたが、最近は4・5年生でも起こります。

最近の子供は特に、じりじりとラインを引き下げていきます。授業中・清掃中・ふとした会話の中・・・ありとあらゆる場面でプチ悪意やプチ甘えを見せ、その対応を迫られます。放課後、みんなで和やかに談笑中に、「○○さんって、ちょっと服が汚れているよね」とさりげなく差別的な要素を織り込んで教師の反応を見ているようなこともあります。

一旦受容する、ユーモアで返す、論理的に話し合う、叱る、突き放す・・・・・いずれにせよ、それらの対応が積み重なって学級全体が変化していきます。

「ものわかりのよい教師」にこだわったばかりに学級がうまくいかなくなることもあります。大人には大人の都合があるということを理解させることもまた、教育の一つだと思って突き放す必要がある場合もあります。ひとつひとつに論理的な対応をしようとするよりも、一線を引いてはねつけてあげた方が、子供の方も楽だということもあるでしょう。

逆に、大人の都合を押し付けるばかりになると、子供たちと心が離れてしまう場合もあります。「あなたの意見もわかります」「提案してくれてありがとう」などといった言葉で共感を示しながらコミュニケーションをとるのもひとつのやり方です。

値踏みに対しては、その場その場での、対応力が必要であることには間違いないです。その一方で、一年を通して、授業や学級経営をしっかりとやっていくなかで値踏みをするような必要がないような子供たちとの信頼関係を築いていくことが大切だということも、絶えず意識をしておくべきだと思います。

子供は教師を値踏みする | EDUPEDIA

子供は教師の顔色を窺う | EDUPEDIA

も、ご参照ください。

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