逆上がり、クラス全員成功

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作成者:matui hiroshi (Edupedia編集部)さん

平成25年度4年3組、「クラス全員逆上がり成功」

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まずは、ビデオをご覧ください。4月当初、クラスの半分以上の子供が、逆上がりができなかった状況から、少しずつ練習を積み重ね、全員が「5回連続」で逆上がりができるようになりました。
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それほど「熱血指導」ではなく、どちらかというとユルい雰囲気で取り組んできた中で、達成できました。1日十数分程度の取り組みを断続的に、粛々と進めてきた結果です。
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ここ数年ほど、受け持ったクラスの4月時点での逆上がり成功率はだいたい5割前後です。このビデオは平成25年度の4年生で、35人中19人ができないという状況でした。この学校は、運動に関してそれほど抜きん出て力を入れているわけでもなく、だからと言って運動ができない子供が集まっているというわけでもありません。おそらく、平均的な学校なのではないかと思います。このクラスも、(逆上がりに限らず)「運動が好きでない」「運動が苦手」という子供が、普通にいました。
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この学校は国際性に富んでおり「帰国子女の子供がクラスに数名程度の割合でいる」という特徴があります。在住していた国によっては、「鉄棒の授業」というより、鉄棒そのものがないというケースもあります。4年3組に9月から転入してきた子供は帰国子女で、鉄棒経験そのものがありませんでした。
12月の終わりごろ、帰国子女の子供を含め、最後に数名ができないままで残ってしまいました。メンバーを見て、「今年も、全員成功は無理かな」と、思ったこともありました。でも、みんなよく頑張ってくれて、2月の終わりには全員成功を達成しました。本当に「頑張ってくれてありがとう!」というか、「プレッシャーを与えてすまなかったなあ」という気持ちです。
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平成元年、新人教師

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私が新人教師であった平成元年の週録(1週間の取り組みをまとめたもの)を開くと逆上がりに関してこんな記述をしていました。
「逆上がりができない子供が7人もいる」
当時担当していたクラス4年2組は児童数36人。約5分の1の子どもができなかった計算になります。平成25年の学級(19人ができていない)からすると、上出来のクラスなのだけれど、当時は、「えっ?4年生にもなって逆上がりもできない子供が7人もいるの?」と思っていました。昭和40年代に子供時代を過ごした私にとっては新鮮な驚きでした。同時に新任であった私は逆上がりをどのように指導すればよいか分かりませんでした。子供を2人ひと組にして、背中と背中を合わせて、片方が土台になって補助するという方法をとりあえず採用して、その場をしのぎました。それ以外の指導方法も考え付かず、「がんばれ」と声をかけるくらいしか術がありませんでした。何人かの子どもは自主的にできない子どもの補助をしていました。
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逆上がり指導ばかりやっていても、既にできている子供たちには発展がないし、できない子供がそれでできるようになるわけではありません。できる子供には、何か他の技を練習するように指示を出し、できない子供の背中やおしりを支えるなど、私も個別に対応しようとするものの、うまくいきません。そのうちクラス全体に「だらっとしたムード」が生まれてきます。
あまり体育が得意ではない男の子が、「がんばってみてはいるけどもうまくいかないんだよなー」という感じでちらっと私の方を見た時の、悲しそうな顔が今でも思い出されます。学校に逆上がり補助器があったかどうかも、覚えがありません(多分、あったのでしょう)。
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記録がないのでわかりませんが、その年、授業を通して逆上がりができるようになる子どもはいなかったと思います。初めての逆上がり指導に関して思い出せるのはこれくらいしかありません。
その後、受け持ったクラスで、逆上がりが何人できて何人できないのかということに関して、あまり記憶がありません。自分の指導の成果でできるようになった子供も数人はいたかもしれませんが、特に大きな成果をあげたという覚えはありません。あきらめてないようなポーズをとりながら、心の中ではあきらめていたのだと思います。
「できるようにしてあげられないこと」(=自分の指導力不足)
は、逆上がりに限ったことではなかったからです。
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×××跳び箱×××きれいに字を書かせる×××水泳25m×××仲の良いクラス×××計算×××漢字×××音読×××深く考えさせる理科の授業×××話し合い活動×××合唱×××給食の後片付け×××論理的に文章を書かせる×××××××××・・・
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他にいくらでもやるべき課題、やらねばならない課題がありました。そしてどれもこれも、うまくはいきませんでした。授業や学級経営に関する仕事以外の仕事も年々、確実に増えていきます。5年生や6年生を受け持った時はさらに課題が多く、子供の体重も増えているので、もう逆上がり指導どころではありません。阪神淡路大震災や学級崩壊の嵐、大規模な研究大会といった難題に飲み込まれているうちに、逆上がりの事はしばらく頭の中から消えていました。何も指導をしなかったわけではないにしても、できない子供を見た時、「まあ、こんな程度だろう」「今はこっちの課題を優先しなくては」といった気持ちが働いてしまっていたのだろうと思います。
低学年を持った時には「まだ無理かな」、高学年を持った時には「もう無理だろう」という気持ちがあったのだろうと思います。それで、クラスに何人できない子供がいるのかも特に気に留めておらず、記憶にも残っていませんでした。全員ができたというクラスは1クラスもなかったという記憶だけは確かです。
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平成18年、クラスの半分が逆上がりができない!

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教員生活を10年ほど経過したあたりから、逆上がり以外の課題で「これだけは、クラス全員ができるようにしてあげよう」と思って取り組む余裕と気力が増してきました。経験値が増えてきたこともあって、いくつかの課題を解決することができ始めました。「クロール25mを確実に泳がせるようにする」という課題もクリアできるようになってきました。一つ一つ、課題と対峙していく中で、平成18年に久しぶりに4年生を担任することになりました。さて、逆上がりをさせてみると・・・衝撃の事実が・・・!!
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なんと、4年生で逆上がりができない子供が5割に達していました。平均的な学校の、平均的な学級です。運動が苦手な子供が集まったわけでもないし、何か大きな問題を抱えているわけでもありませんでした。
さすがに慌てて、指導に力を入れました。できない子供16人中(学級人数30人)、2人ほどができるようになりました。新人の頃に比べるとできている子供を伸ばす術も身に着けており、クラスの中にちょっとした鉄棒ブームが起こり、逆上がりよりレベルの高い技(いわゆる「空中さかあがり」等)ができる子供も増えてきました。
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この平成18年を機会に、いったん私の「やる気スイッチ」が入りました。諸事情があって、19年度より再び4年間ほど中断したものの、平成23年に体制を立て直してからの3年間、意欲的に取り組みを重ねました。それで、小学校教員になってやっと25年目に「クラス全員逆上がり成功」に到達しました。
平成23年は50%(4月)→86%(最終)、平成24年は51%→86%、平成26年が46%→100%です。この3年間に少し新しい手法も考案して指導を重ねた結果、全員成功となりました。それにしても、25年もかかってしまいました・・・感慨深いと言えば感慨深いし、情けないと言えば情けない・・・
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情報過多と情報不足

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今回の成功は、何と言っても丁寧にスモールステップを作ったことが要因です。
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スモールステップという「原則」
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逆上がりのスモールステップと言えば、「だんだん踏み台の角度(高さ)を低くする」とか、「ベルトやひもを使って補助する力やバーと体の距離を変える」などが古典的な方法で、私もそれらを採用してきましたし、今回も踏み台を変えながら指導しています。この3年間は、それにもう一つ、スパイスを足し、さらに、全体的にかくし味をつけています。これらについて書き始めると、かなり長くなっていくのでまた別の機会にアップしたいと思っています。
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それにしても、それにしても、なぜ逆上がり指導の解を得るのにこんなに時間と期間が必要だったのでしょうか?実は自分のやり方が本当に正解なのか、あまりよろしくないのかさえ、よくわかっていません。
平成元年からの25年の間に、学校に流れ込んでくる情報(=対処すべき仕事)は倍以上に増えていると思います。一方で、「逆上がりを確実にできるようにする指導法」という古典的課題に対処する情報や逆上がり指導の成功例は、少なくとも私の周りにはあまり届いていなかったと言えます。では、周りの学校はどうなんだろう?、日本全国ではどうなんだろう??と疑問は尽きないのに、確かな情報がいまひとつ見えてきません。学校は情報過多と情報不足が同時に起こっているような、妙な状況に取り囲まれている・・・そんな感じがします。おそらく学校は、情報を共有したり数的根拠を示したりすることが苦手なのではないかと思います。
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この「逆上がり全員成功」はシリーズとして、数回に分けてアップしていきたいと考えています。今後のアップロードに、「どいうやって達成したのか」はもちろん、情報共有や数的根拠に関する「学校の課題」にも関連させながら考察していきたいと思っています。今後の展開と発展にご期待ください。
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