子どもを劇的に成長させる学級、授業経営(石坂陽先生)

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目次

1 はじめに

本記事は、2017年10月7日(土)に石川県女性センターで行われた「第3回 谷和樹&石坂陽 ブレイクスルーセミナー」(NPO法人いしかわ子ども未来ネット 主催)を取材し、編集させていただいたものです。石坂先生が実践している、子どもを大きく成長させるための学級経営、授業運営上の知恵の一部を紹介しています。

2 質の高いルーティンが学級全体の能力を高める

実践内容

石坂先生による小学校5年生国語の授業の冒頭では、最初は生徒2人で机を向い合わせ、百人一首かるたの対戦をさせます。石坂先生は途切れることなく一首あたり2,3秒前後で次々と読み札を読み上げていきます。

百人一首が終わり生徒が片付けている間に、石坂先生は黒板にその日の新出漢字を書いていきます。生徒が片付けを完了し元の位置に戻ると全員で、新出漢字を画数を声に出して数えながらタイミングを合わせて空書きします。授業開始からこれが終わるまで8分40秒です。

石坂先生による解説

この場面では生徒の動きがきびきびしていて、生徒にとって無駄な時間がまったくありません。生徒にとって暇で無駄な時間を作らないことは、授業運営の上で大切なことです。

このことを実現するのは決して難しいことではありません。毎日同じことを繰り返すのが大切です。私の学級でも4月の最初の時期では上記の行程に20分程かかりますが、繰り返していくうちに早くなっていきます。

私が求めているのは淡々としているけど、高い質を目指すことです。
研究授業や行事の時だけ頑張るのではなく、高い質を毎日継続するからこそ、さらにレベルが高まっていきます。ですから、2回目や3回目で思うような姿に達しなくても、できる時は来ると信じてあきらめないことが重要です。

また、国語の授業前にだけこのルーティンを行っているのではありません。私の学級では、運動会の開始前の待機時間であってもいつものように百人一首と新出漢字の空書きを行っています。
可能な限りルーティンを変えたくない、いつも一緒でありたいのです。

3 様々な角度からほめる(運動会シーズン中、教室で)

例えば先ほど運動会の話が出ましたが、運動会予行演習で、私は行進部門 歌部門 体操部門 返事部門 と観点を決めて子どもを観察し、終わった後に皆の前で、優秀だった生徒の名前を呼んでほめます。

そのあと、いくつの部門で呼ばれたかを皆のいる中で生徒に発表させ、達成度を感じてもらいます。教師は普段から子どもをほめる様々な視点を持っておくべきだと思います。

4 子どもと対等な立場で議論に乗る

学校行事についての日記に私が書いたコメントに対し、細やかに反論してきた生徒がいました。私のコメントは間違っているということを、その子なりの根拠をもって主張してきたのです。こうしたとき、あなたならどうしますか?生意気だとたしなめますか?私はこの主張に対して、これまた根拠を持ち出して反論を仕掛けました。するとまたそれに対して反論が返ってきて、さらにまた反論をする… 楽しいものです。

そもそもこうしたことを書いてくる生徒が現れるためには、知的な討論ややり取りを、対等な立場で歓迎するという姿勢を普段から見せておかなければなりません。子どもはこうしたことを書いても先生が怒らず、むしろ喜んでくれることを分かっているから書いているのです。

時には子どもを一人前の人間として認めることが大切です。上から目線の指導ではなく、対等な立場の人間としての触れ合いを経験させることは子どもにとって嬉しいことであり、人間としての成長につながると思います。

5 講師紹介

石坂陽(いしざか あきら) 石川県公立小学校教諭、TOSS会員(向山一門次世代事務局、北陸中央事務局、TOSS SUNRISE代表)(2017年10月7日現在のものです。)

6 編集後記

今回紹介された石坂先生の実践の一端には、学級という集団としての成長、個人の成長という二つの視点があり、さらにそれぞれの中の「何を」成長させるのか、多様かつ具体的な視点が盛り込まれていたように思いました。
 学校は成長の場ですが、漠然と成長といっても何を成長させるのか焦点がぼやけていては成長は生まれないと思います。一方で何か特定の方向の成長だけを求めることは、生徒を一つの指標で序列化することにつながり、適応できなかった生徒は個人の可能性を摘まれてしまうことになりかねないのではないでしょうか。
 特にまだ未分化な小学生に対しては、できるだけ多くの、しかしはっきりした評価基準を持ち、個人個人の得意分野を認めてあげることが大切だと思いました。

取材、編集 EDUPEDIA編集部 高木 敏行

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