1 はじめに
こちらの記事は、静岡県で30年間以上続く教員サークル、シリウスのホームページに掲載されている教育実践法の一つをご紹介しています。
http://homepage1.nifty.com/moritake/
これまでの「生物と環境」についての学習は、以下三つの記事にまとめられています。
★生物と環境1(シリウス)
★生物と環境2(シリウス)
★生物と環境3(シリウス)
2 実践内容
植物は葉に日光が当たると自分でデンプンを作っていること、小さなダンゴ虫のような生き物は植物を食べていることが分かりました。そのほかにも、生物には欠かせないものがあることに気づく授業をおこないました。
(1)人が体の中に取り入れたり出したりしているものは何でしょう
人が生きていく上で欠かせないものは、食べ物・酸素・水です。これらを図で描いてみました。取り入れる〈食べ物〉〈酸素〉〈水〉については、すぐにわかって答えることができました。しかし、体の外に出しているものについては、みんなわかっているだろうになかなか答えてくれませんでした。
- 〈食べ物〉→〈フン〉
- 〈酸素〉→〈二酸化炭素〉
- 〈水〉→〈尿・汗〉
であることを確かめました。では植物はどうなのでしょうか。水や空気を取り入れたり出したりするのか予想してみました。
(2)植物も水や空気を取り入れたり出したりしているだろうか
水 : 取り入れる・取り入れない。
出 す ・出さない。
空気 : 取り入れる・取り入れない。
出 す ・出さない。
以上の選択肢を提示し、児童の意見を聞いてみました。すると、水については全員が〈取り入れる〉の意見でした。これは、これまでにさんざんやってきた学習内容です。しかし、出す方については考えが分かれました。〈出す〉の意見が2人、〈出さない〉の意見が13人でした。それぞれの意見を見ていきましょう。
〈水を出す〉2人
- 「どこかから水を出さないと、根が補給しきれなくなると思うから。」
- 「植物たちもみんな生きていて、私たち人間と同じようにみんな生きているから、空気を入れたら出す、水を入れたら出すと思いました。」
〈水を出さない〉13人
- 「水を取り入れるけど、出すなんてことは見たことも聞いた事もないから。」
- 「水は植物は取り入れているけれど、汗などは出していないから。」
- 「植物から水みたいのが出るのは見たことがないから。」
さて、空気ついては〈取り入れる〉〈出す〉が圧倒的多数でした。
〈空気を取り入れない〉3人
- 「植物は人間みたいに、空気を多分吸わないと思うから、空気は取りいれないし出さないと思う。」
- 「空気を取り入れないと何か成長しなさそうだし、なんとなく。」
〈空気を取り入れる〉13人
- 「植物も呼吸していると聞いたことがある。呼吸は吸って吐くから、空気を吸って何かを出している。」
- 「前にTVか何かで、植物は酸素を吸って二酸化炭素を出すと聞いたことがある。」
〈空気を出さない〉4人
- 「空気を取り入れると育つから、出すと栄養がなくなるから空気を出さないと思う。」
- 「植物には空気を取り入れる場所がないから。」
〈空気を出す〉11人
- 「植物は酸素を吸って、二酸化炭素をだしていると聞いたことがあるから。」
3 プロフィール
静岡県教育サークル シリウス
1984年創立。
「理論より実践を語る」「子どもの事実で語る」「小さな事実から大きな結論を導かない」これがサークルの主な柱です。
最近では、技術だけではない理論の大切さも感じています。それは「子どもをよくみる」という誰もがしている当たり前のことでした。思想、信条関係なし。「子どもにとってより価値ある教師になりたい」という願いだけを共有しています。
(2015年1月時点のものです)
4 書籍のご紹介
「教室掲示 レイアウトアイデア事典」(明治図書2014/2/21発売)
「学級&授業ゲームアイデア事典」(2014/7/25発売)
「係活動システム&アイデア事典」(2015/2/27発売)
「学級開きルール&アイデア事典」(2015/3/12発売)
5 編集後記
「植物は水や空気を取り入れるのか、出すのか」という問いは、大人の私たちからすればすぐ分かる問題です。しかし、初めて学習する子どもたちは、これまでそれを見聞きしたことがあるかどうか、または自分の直観で判断するのだと感じました。
答えをすぐに教えず、まず児童に予想させることで、教師は児童の考えを把握でき、児童も考えをまとめることができるので、一石二鳥だと思います。
この記事のシリーズ『生物と環境1(シリウス)https://edupedia.jp/article/56ad70d55aed04c4ed56a5c5』『生物と環境3(シリウス)』もぜひご覧ください。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 犬塚真優子)
コメント