かさこじぞうとは、どんな物語なのだろうか。よい行いをしたあとには、必ずその報いがあるという道徳的な話なのであろうか。私は、この物語の主題を、じいさまとばあさまの温かい心(愛情)にあると考える。
”おお、おきどくにな。さぞつめたかろう”と言って、生き物ではない石(じぞうさま)に傘をかけてやるじいさまの心。またせっかく作ってやった傘を、一つも売らずにあげてしまった(見方を変えれば捨ててしまった)じいさまを全く責めることなく、”いやな顔、ひとつしないで「おお、それはええことをしなすった”」と答えるばあさま。
ばあさまに済まないと思ったのか”ひとつもちつきのまねごとでもしようかのう”とせめて正月の雰囲気だけでもばあさまに味わわせようとするじいさま。すると”ばあさまも、ほほとわらって”じいさまに付き合う。
こんなじいさまとばあさまの相手に対する思いやりのある温かい心の交流が「かさこじぞう」の主題ではないのかと考える。さて、すげがさを編む場面について学習をした。まず初めに
じいさまとばあさまは、かさが売れると思いながら、すげがさを作ったでしょうか?
全員が <売れると思った> と考えた。当然と言えば当然である。文中から証拠になる言葉を探した。じいさまは、かさが売れることを期待している文をたくさん見つけることができた。
< 売れると思った> 33人
* もちこ 買えんかのう
* それがええ、そうしよう
* せっせと
* 帰りには もちこ 買ってくるで
* 声を はりあげました
じいさまが期待しているのが分かったところで
じいさまは、ばあさまに何と声をかけて、町へ出かけていったでしょうか?
教科書には書いていないが、自由に想像させてみた。「頭のテレビのスイッチを入れてみよう」と声を掛け、じいさまの気持ちを考えた。
- やっともちが食べられるぞ。
- ばあさまにもちを食べさせたかった。
- (おばあさんに)楽しみにしてろよ。
- おいしいものを作ってね。
- いっぱい食べようね。
じいさまは、ばあさまのためにかさを売りに行ったのかもしれない。では反対に、ばあさまはどうであったのだろう。想像をしてみた。
ばあさまは、じいさまに、何と声をかけて送り出したのでしょう?
- かさこ売れるといいね。
- おいしいもの作ってあげるね。
- 無理しなくていいよ。
- おいしいもの買ってきてね。
このように、かさこが売れることをとても期待している。こんなに期待していたものが変えなかったとき、私たちは”いやな顔一つしないで”「おお、それは、ええことをしなすった」と言えるだろうか? この辺りが物語のテーマに迫るポイントになりそうである。
出典:シリウス/静岡教育サークル http://homepage1.nifty.com/moritake/index.htm
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