本単元で身に付けたい資質・能力
本単元では、2位数(2桁の数)÷1位数の計算の仕方を理解し、計算できる能力を養う。また、既習の計算方法を除法として捉え直すことにより、今後の生活や学習に活用しようとする態度を育む。
単元の評価基準
- 知識・技能:簡単な場合の2位数÷1位数の計算の仕方について理解し、計算することができる。
- 思考・判断・表現:簡単な場合の2位数÷1位数の計算の仕方について、数の構成に着目して考え、説明することができる。
- 主体的に取り組む態度:簡単な場合の2位数÷1位数の仕方について、既習の計算などを基に考えようとする。
授業構成のねらい
本授業では、2時間を通して「スモールステップによるできたの積み重ね」を重視している。
授業1では、計算のしやすい10の倍数について、次のようなステップを用いて扱う。
- 九九の範囲内で解ける計算
- 九九の範囲内では解けない計算
我々がわり算を行う際にも、無意識に上記のような区別をしているだろう。「できること(既習事項)」と「できないこと(未習事項)」を整理することで、児童に授業の目標を理解させやすくなる。
ここでは、以下の2点を理解させることが肝要だ。
- 九九における規則や、九九と割り算の関連
- 「何十」は「10が何個分」と考えられること
これら「わり算の基礎的な考え方」が、次の授業への土台となる。
授業2では、10の倍数でない2位数について、次のようなステップを用いて扱う。
- 九九の範囲内で解ける計算
- 九九の範囲内では解けないが、九九から推測することが容易な計算
- 九九の範囲内では解けず、九九から推測することが大変な計算
このように、段階的なステップを踏むことで、児童のつまずきを防ぎながら、確かな理解と定着を図る。
授業1:2段階で学ぶ2位数(10の倍数)÷1位数
ここでは、次の2ステップで授業を行う。
- 九九の範囲内で解ける計算
- 九九の範囲内では解けない計算
教員が「10の倍数であれば計算が簡単だ」と決めつけてしまうのではなく、児童にそうと思わせることが目的である。
そのためには、普段我々が行っている思考プロセスを基にさらに細分化し、配慮しすぎるくらいがちょうど良い。
ステップ1:九九の範囲内で解ける計算
導入として、「2位数÷1位数を扱うこと」、「本時の2位数は10の倍数であること」のみを伝え、これらが既習内容かどうかを確認する。
- 九九の話(40÷5や30÷6等)が出てきた場合
→各々で計算問題をつくり、ペア活動で互いに作問した問題を解き合う。 - 九九の話が出てこなかった場合
→初めて扱う問題であるかのように40÷5や30÷6等を解かせて、気付かせる。
→その後、出てきた場合と同様のペア活動を行う。
ある程度解けるようになったら、九九について(ほぼ同義だが)以下の2点を確認する。
- かけ算わり算では、「数のまとまり」を基に考えていること
- 九九の規則(特に、7の段は7ずつ大きくなっていくこと)
ステップ2で「10のまとまり」を意識させるので、かけ算わり算の理解に心配があればマグネットやブロックを使って視覚的に見せてもよい。
ステップ2:九九の範囲内では解けない計算
次に、60÷2を考えさせ、九九では解けないことを確認する。
最初に扱う問題として、20÷2や50÷5等の九九から数えれば簡単に推測できてしまうものは避けた方が良い。
ここでは、かけ算で30×2を「3×2=6だから60」とした計算を振り返り、10の塊を意識させることで十分に理解させられるだろう。
児童の理解が早い場合には、上記のことを教員が教え込むのではなく児童のグループワークから引き出したい。
九九の関連から、「10の段を考える」という発想を与えてみるもの良いだろう。中高生では11の倍数などを扱うことも多いため、九九から視野を広げられるきっかけには十分な価値がある。
授業2:九九からの推測や数の分解を用いた2位数÷1位数

ここでは、次の3ステップで授業を行う。
- 九九の範囲内で解ける計算
- 九九の範囲内では解けないが、九九から推測することが容易な計算
- 九九の範囲内では解けず、九九から推測することが大変な計算
大まかな流れは上記の通りだが、児童が既習事項から自由な発想ができる場合には、それらを引き出すことを最優先に考えると良い。
ステップ1:九九の範囲内で解ける計算
最初に、45÷9や42÷7など、九九で求められる計算から入る。
「10の倍数でないから難しい」という気持ちを持った児童は少なくないだろう。
復習がてら「できた」を積み重ね、安心して手を動かせる環境をつくることが大切だ。
ステップ2:九九の範囲内では解けないが、九九から推測することが容易な計算
次に、九九では直接求められないが、数えればわかる問題へ進む。
ここでは、「数の見通し」が立てられるようになるのが理想。
以下のステップで授業を展開する。
- 次の4つを同時に出題し、ペアで話し合う。
「33÷3」、「36÷3」、「39÷3」、「42÷3」 - グループワークにて、気付いたことを話し合う。
- 全体で共有し、解き方を確認する。
- 演習
グループワークでは、「解き方」はもちろん、「数字の関係性や規則性」「30÷3ならできた」等の気付きを引き出したい。
前時に九九の規則性を意識させたことが活きてくる。
意見が出なかった場合には、「21÷3」「24÷3」「27÷3」「30÷3」の規則性を考えさせた後に再度グループワークを行うことで対応できるだろう。
演習中、解く前に「だいたいこのくらいかな?」と予測させることで、見積もり力も同時に育つのでおすすめだ。
ステップ3:九九の範囲内では解けず、九九から推測することが大変な計算
最後に、九九から推測するのが大変な、やや複雑な問題へ進む。
ここで学ぶ簡単な場合の2位数÷1位数とは、十の位、一の位がそれぞれ割り切れる数であることに注意。
つまり、
- 良い例:84÷2、96÷3
- 悪い例:58÷2、96÷8(筆算を学ぶ際に扱う数)
以下のステップで授業を展開する。
- 「84÷2」をペアで考えさせる。
- グループワークにて、気付いたことを話し合う。
- 全体で共有し、解き方を確認する。
- 演習
ここで初めて「10のまとまりと1の位の数に分けて考える」方法を導入する。
例:84÷2の場合
→80と4に分けて、80÷2=40、4÷2=2、だから40+2=42
やはり、「何十」という形は扱いやすいことを繰り返し伝えるのが非常に重要である。
余力のある児童には、上記の「悪い例」で示したわり算を考えさせてみるのも良い。
例:96÷8の場合
→ 80と16に分けて、80÷8=10、16÷8=2、だから10+2=12
ただしこの考え方を扱うのであれば、以下の条件を満たした児童に限定することをおすすめする。
- 九九の理解が十分であること
- 十の位の数と一の位の数で分けることの理解が十分であること
最後に、「悪い例」で示したわり算の式のみを全員に紹介する。
ここでは、「既習内容」と「未習内容」を整理させ、次回学ぶ際に起こる拒否反応を少しでも軽減する工夫をしてまとめる。
執筆者
まき先生
中学高校で数学を教えている。体系的に教えるためには算数から学びなおす必要があると感じ、算数の授業案についても学習をすすめている。
実践的かつつながりを意識した授業案の作成に努める。

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