本単元で身に付けたい資質・能力
本単元では、時刻と時間の概念、日、時、分の単位やそれらの関係を理解し、時刻や時間の求め方を考えることができる能力を養う。また、それらを日常生活や今後の学習に活用しようとする態度を育む。
単元の評価基準
- 知識・技能:時刻と時間の区別や日、時、分の単位やそれらの関係を理解し、時刻や時間を適切に求めたり、表したりできる。
- 思考・判断・表現:時計や図を用いて時刻や時間の求め方を考え、説明することができる。
- 主体的に取り組む態度:時刻や時間の数学的な考え方を、日常生活や今後の学習に活用しようとする。
【導入】「時こく」と「時間」の違いに気づかせる
本導入の目的

日常的に使う「時間」という言葉は大きく2つの意味を含んでおり、場面によって無意識に使い分けている。
本導入の目的は、この無意識に使い分けている2つの「時間」を意識させることである。
2つの時間とは以下の通り。
- 時刻:何時何分で表せるもの(その瞬間)
- 時間:時こくと時こくの間の長さ
「時こく」と「時間」の違いを体感させる導入実践

導入では、次のような遅刻の場面設定を用いる。
「今、皆は自分の部屋にいる。
この後、学校前で友だちと待ち合わせの約束をしている。
家を出る少し前にうとうとしていたらいつの間にか寝ていた。
『がばっ!』
時計を見ると・・・遅刻だー!」
問題場面をイメージさせつつ、児童に家から学校までにかかる時間を各々発言させ、「時間」を意識させる。
その後、以下の発言を追加情報として伝える。
「集合時間は9時20分だ! 急がなきゃ!」
児童に「どのくらい慌てているか」を尋ねると、多くは答えられない。理由は今の時間が分からないからだ。
次に、集合時間を消して、今の時間が9時20分だった場合を考えさせるが、結果は同じ。
ここで、「1つしか時間を聞けないなら、『なんの時間』が知りたいか」を尋ね、本当に知りたかったのは「残り時間」であることに気付かせる。
その後、時刻と時間の違いを教える。
導入のポイント解説

- 体感型の設定
児童が実際に焦る・急ぐ場面を想像することで、抽象的な概念を具体的に理解できる。 - 生活との結びつき
実際の場面を用いることで、時刻や時間の使い分けやその必要性に関しても理解が深まる。
「算数の時間は何時から何時まで?」「算数の時間は何分間?」と聞くことで「時こく」と「時間」の違いは瞬時に伝わる。しかし、これでは使い分けの必要性までは理解できないだろう。
知識を一方的に教えるのではなく、児童が実際の生活場面を想像しながら学ぶことで、「なぜ学ぶのか」という意義を実感し、主体的に取り組む学習となる。
【展開】「めくりドリル」で学びの個別最適化!
「めくりドリル」とは

演習ではICTを用いた画像付き簡易計算ドリル(以下、「めくりドリル」と呼ぶ)を行うことが有効である。
めくりドリルとは、問題カード(⇒解説カード)⇒答えカード⇒問題カード⇒……(以下、繰り返し)となるように並べたICT上の計算ドリルのことである。
本実践では、画像を挿入することで時計の読み取らせたり、指定された時刻や時間に合う時計の針を答えさせたりできる。時計の読み取りは日常生活の中でも瞬間的に答えが出せるようになる必要がある。そこで、時間制限を設けためくりドリルの活用や、読み取り競争の導入により、速さと正確さを意識させる授業展開が有効である。
展開①|めくりドリルで「時こく」の復習

時計の画像を提示し、針の位置を見て時刻を答える、または、時刻を提示し、時計に短針と長針をかき加えるドリル。
小学1年生で学んだ「なんじ なんじはん」「なんじなんぷん」の復習で、半=30分であったことや5分ごとの目盛についての振り返りができる演習とする。


展開②|めくりドリルで簡単な場合の「時こく」や「時間」を求める

2つの時計(時刻)を提示し、「時間」を答えさせたり、1つの時計(時刻)と時間を提示し、その前後の時計(時刻)を求めたりするドリル。
(例:9時00分から10時15分までは何分間、9時10分から1時間15分たつと何時何分)
ドリルに「1時間たったものを『60分間』と答える問題」を入れ、1時間=60分の関係を自然に理解できるようにする。その直前には「50分間」、「55分間」と答える問題をいれておき、「60分間」に気付きやすい工夫をすると良い。
展開のポイント解説

- 反復による定着とスピードの育成
めくりドリルのテンポよい提示により、児童は短時間で繰り返し練習でき、反射的に時刻を読み取る力が身につく。 - ICT活用による個別最適化
児童ごとに速度や正答率を調整でき、理解の差に応じた柔軟な支援が可能となる。 - 数量感覚と時間感覚の結合
「1時間=60分」という関係を、単なる暗記ではなく実感の伴った理解ができる。 - 楽しさと競争を通じた主体性の育成
時間制限やゲーム的要素を取り入れることで、児童は自然と集中し、主体的に学習へ向かう態度を育てる。
執筆者
まき先生
中学高校で数学を教えている。体系的に教えるためには算数から学びなおす必要があると感じ、算数の授業案についても学習をすすめている。
実践的かつつながりを意識した授業案の作成に努める。

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