本単元で身に付けたい資質・能力
本単元では、異種の2量の割合としてとらえられる数量について、単位量あたりの大きさを用いて比べたり表したりできる能力を養う。また、身の回りの事象を単位量あたりの大きさで考えることにより、数量を的確に捉え、活用しようとする態度を育む。
単元の評価基準
- 知識・技能:速さや単位量あたりの大きさを求めたり、比べたりすることができる。
- 思考・判断・表現:目的に応じて大きさを比べたり表現したりする方法を図や式を用いて考え、表現することができる。
- 主体的に取り組む態度:身の回りの事象を単位量あたりの大きさで考え、数量を的確に捉えようとする。
導入授業の流れ
導入|ジェットコースターで混み具合を考える

並んでいる人数と座席数の異なる2つのジェットコースターを提示し、児童に場面を理解させる。ジェットコースターの乗車可能人数と待っている人の数以外はすべて同じ条件であることは念押しする。
並んでいる人の数の違いを確認したのち、「ジェットコースターに早く乗れるのはどちらか」を問いかける。その後、計算等を用いて根拠を説明させると、児童からわり算の式(またはそれに類するひき算の式)が出てくるだろう。
ここでは以下の2点が重要である。
- 「混む」という言葉を意識的に用いて、「一席あたりの並んでいる人数が多い=混んでいる」という認識を持たせる。
- 図説を用いて、わり算の計算が一席あたりの並んでいる人数となっていることを理解させる。
小学2年生から学んできた「何あたりか(一人あたり等)によって、わる数が代わること」まで復習できると、展開への流れがさらにスムーズになる。
展開|アクティブラーニングで学びを深める

次に、ジェットコースターの座席を消して面積を追記した画像を示し、「どちらの方が混んでいるか」を問いかけ、根拠も含めてグループで考えさせる。
手が動かないグループには、以下のヒントを提示すると良い。
- 「一席あたり」という基準がなくなったから困っている
- 「席」の代わりに「面積」がある
- 席がないなら(マスで)作ればいい(1㎡あたり)
根拠を考える際には、座席による導入をヒントにマスで区切る発想が得られやすいだろう。
グループ内で意見を整理した後、全体で考え方を共有し、比べ方の多様さを確認する。
ここで、一人あたり使える面積(面積を人数でわる)に注目した意見が出た場合には、必ず取り上げたい。
まとめ|思考を整理し、単元の全体観をつかませる

小学2年生で学んだ「一人あたり」等と同様に、面積などの目に見えない数量についても「単位量あたり」として考えられること、そしてその利点についてまとめる。
時間や距離、その他の数量の存在にも触れ、「単位量あたりの大きさ」の全体像を伝えて授業を締める。
導入授業のポイント
スモールステップを意識した題材設定

躓く原因は、「抽象度の高さ」にある。つまり、「混み具合」と「面積」という目に見えない2つのものが組み合わさって出題されることが問題なのだ。特に初めて「単位量あたり」の概念に触れる児童にとっては、視覚的・体験的な導入が欠かせない。そこで本実践では、ジェットコースターを用いた題材設定とした。
「混み具合」の抽象度を落とすためには、「混み具合」とはそもそもどういうものなのかの共通認識が必要であった。そのため、ジェットコースターに並ぶ場面を用いて「並んでいる人の総数が多い=混んでいる」ではなく、「一席あたりの並んでいる人数が多い=混んでいる」という共通認識を持たせた。
「面積」の抽象度を落とすためには、「面積」を様々な形の板ではなく「1㎡の集まり」である認識を持たせることが必要であった。そのため、ジェットコースターという「1枚の板を『席』で区切ってある具体物」を用いることとした。
導入と展開を比較すると、問題、計算ともに小学2年生で学ぶ「人数÷席」から小学5年生で学ぶ「人数÷面積」に代わるだけのシンプルな構成となっている。導入の意義が展開につながるよう意図されている。
アクティブラーニングの導入

比べ方の視点の多様さを生かし、児童に意見共有や理由説明をさせる。図を活用して自らの考えを可視化し、説明できるようにすることで理解を深められる。
特に本実践では、「人数÷面積」か「面積÷人数」か等、異なる意見が出る可能性があるので、相性が良い。
指導上の留意点

抽象度の高い数量を扱っているので、「待ち時間」等、本実践と関係のない数量が入らないよう言葉には注意が必要。
執筆者
まき先生
中学高校で数学を教えている。体系的に教えるためには算数から学びなおす必要があると感じ、算数の授業案についても学習をすすめている。
実践的かつつながりを意識した授業案の作成に努める。

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