一石?鳥  ものがたりをつくろう

35
目次

1.1 リレーで物語を作ります

授業の進め方は、次のようになります。

物語の初めの文を考えて書く。

5W1H などがわかりやすいワークシート(いつ、どこで、などの欄がある)を用意して、簡単な一つの文章を考えて、書きます。添付ファイル

自分以外の別の人の物語に続きを書いて、記名。できたら順次別の席へ移動。

自分の席を立って、別の人の席で作業します。

2.を、何度か続ける。(1~3で3~4時間)

絵を描く余白を含め、1枚の紙からはみ出ない分量にします。

自分の物語に戻り、最後の文を自分で書く。

めでたしめでたし、など、物語を締めくくる文になるようにします。

物語に題名をつけ、自分の名前を書く。

全体を読んで、題名を考えます。誰の物語かがわかるように、ここに自分の名前を書きます。

物語に挿絵を描く。(4~6で1~2時間)

題名と同じで、物語にふさわしい絵を考えて描きます。

全員完成したら、挿絵を見せながら、できあがった物語を朗読する。(1時間)

描いた絵をプロジェクタやテレビ(OHC)などを使って大きく写してみんなに見てもらいながら、できた物語を読んで聞いてもらいます。

原稿用紙などを使ってできますが、人数分のパソコンがあれば、ワープロを開いて、席を移動しながら作業してもいいです。ワープロなら、最初の1行を空けるのは簡単ですが、原稿用紙では、あらかじめ題名を書くための行を開けておくといいでしょう。

パソコンを使う場合には、誤ってそれまでの物語を消してしまう、ということもあり得るので、その点は注意します。

また、「読み逃げ」は禁止として、読んだら必ず書く、というきまりもあるといいでしょう。

1.2 作業を通して学ぶこと

さて、この作業を通して学ぶことには、どんなことをがあるでしょうか?

  • 5W1Hを盛り込んだ、物語の舞台設定となる文章を考える(国語)
  • 物語のそれまでの文を読んで、繋げる文を考える(国語)
  • 物語を閉じる締めの文と題名を考える(国語)
  • 物語を理解してふさわしい絵を描く(国語・図工)
  • 物語を朗読する(国語)
  • 人のいやがることを書かない(情報モラル)

また、パソコンを使うなら、* 文字入力* お絵描きツールの使い方などを練習できます。

このように、ここではたくさんのことを学ぶことができます。

項目を見ると、国語が多いのですが、実は、「人のいやがることを書かない」という情報モラルを学べることがたいへん重要です。

4年生以上で行うと、記名するために、当たり障りのないことを書くかも知れません。それが、3年生ぐらいだと、記名してなお、おかしなことを書く子どもが少なくありません。例えば、登場人物を傷つけたり死なせてしまったり、「物語として好ましくないもの」を登場させたり、諍(いさか)いを起こさせたり、そういう内容に友達の名前を書いたり、といったことです。

こうなると、絵を描いたり、朗読しようとするときに、絵が描けない内容になったり、読む気にならない物語になったりします。

イヤなことを書かれた人、と聞くと、たいていの子どもが手を上げることになりかねません。朗読をしたときに、笑いを取る文章になっていても、書かれた本人にとっては、いい気持ちはしないものです。それ故に、自分がイヤな気持ちになることを、人にしないようにしようね、ということを実感できる単元になっています。

次々と席を変えて書きたいために、文が短くなったり、直前の文をそのまま真似てみたり、よく読まずに適当に書いたり、ということも起こります。物語が繋がっていません。これも、結果的に「イヤなことを書かれた」ということになります。

朗読の際、あるいは、朗読を終えた時点で、どのような指導になるかは、できあがった作品や先生方のお考えによるところですが、一つ一つ見ていくと、「イヤなこと」にはいろいろあって、それを子どもたちに考えさせることで、相手を慮(おもんぱか)る、という情報教育のとてもいい教材になります。

文章を考えて書く(パソコンだと、さらに、文字を入力する)、ということに費やす時間は、個人差がありますが、このように席を変えて作業していると、すべての子どもがどこかの席で書いていることになり、同時に、すべての席の物語にそれなりに文章が溜まっていきます。早く終わって手持ちぶさたの子どもがいません。

[*1] パソコンを使う場合、フォントのサイズを20ぐらいにすると、3時間ほどで適当な分量の文章が溜まることが多いようです。

子どもたちにとってこの作業は、たいへん楽しいことのようです。楽しみながら、いろんなことを学べる時間でもあります。また、先生にとっては、子どもたちの個性が見える、たいせつな資料にもなるのではないでしょうか。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次