高嶋喩氏について~鉛筆持ち方指導

プロフィール

高嶋喩(1929~)

児童かきかた研究所所長。児童かきかた研究会運営。「学力の基礎をきたえどの子も伸ばす研究会」(学力研)常任委員。
1929年、岡山県生まれ。30年以上にわたり、2万人以上の幼児・児童に鉛筆の持ち方と文字の書き方を指導。正しい鉛筆の持ち方、箸の持ち方の普及に努める。幼稚園並びに学校での講演および指導に専心。
ユビックスなどの教材・教具の研究開発は、考案件数が100件以上に上る。工業技術者としての経験を生かした独自の視点から、書字をメカニズムとしてとらえ、姿勢、持ち方、運筆の三拍子そろった美しく正確な書字法並びに書体を独学で開発。

学力の基礎の基礎としての実践は、年々注目の度を加え、陰山英男校長の招きで尾道市立土堂小学校を訪問指導。深谷圭助校長の招きで、京都の立命館小学校の指導にも当たった。神戸市立西山小学校の藤岡大樹先生の実践、きらら学園京都幼児教室など、高嶋式を取り入れた実践は全国に広がっている。

 鉛筆の持ち方はしの持ち方 徹底指導!!!
 添付ファイル

1 高嶋喩の仕事の意味

学力の一つの原点が鉛筆の持ち方にあることを示した

高嶋喩が鉛筆の持ち方と学力との関連に注目したのは、我が子の学力低下からであった。当時、高嶋は自身の工場経営で忙しい毎日だったが、そんな折、子どもの成績が極端に落ちたことに気づく。見ると、我が子がとんでもない鉛筆の持ち方をしていることを発見。「これでは勉強ができるわけがない」と、会社経営のかたわら、持ち前の工業技術を活用して、矯正器具の開発に取り組んだ。その中から生まれたのが「ユビックス」である。

それからの高嶋は、我が子の指導のほかに、近所の子どもたちを集めて、鉛筆の持ち方や書字を指導。それらの経験の中から、鉛筆の持ち方や書字と学力の間には強い相関関係があることを見出す。

たとえば右図は、6人の3歳児の「ぬり文字」を記録した資料だが、輪郭内にしっかりと収め、筆圧も強く書けている子とそうでない子との間には、明確な発達の違いがあった。「最初はクレヨンを5本の指でつかんで、グチャグチャに書き殴ります。この幼児期の癖がぬけないまま、鉛筆を持ち続ける子がいますが、その後の発達、学力に大きく影響します。」と高嶋は言う。これは明らかに大人の責任、つまり家の人と先生の責任であると高嶋は考える。最近は、先生自身の中にも鉛筆を正しく持てない人が増え、“鉛筆持てない世代”は二代目から三代目に入った。日本人の学力や集中力、緻密で正確な仕事への原点が、大きく揺らぎ始めているのだ。

鉛筆の持ち方を、箸の持ち方と関連づけて説明した

高嶋の指摘の中で、大切なものの一つは、鉛筆の持ち方と箸の持ち方との関連づけである。「実は、鉛筆の持ち方の本は、日本でも何冊も出ていますが、箸の持ち方と鉛筆の持ち方を関連づけた本は、今のところ、中国や韓国の本の中にも見つけておりません」と高嶋は言う。これは箸の文化、漢字の文化の中にある我が国にとって、忘れてはならない視点だ。

「箸の上げ下げ」と言って、昔は家の年寄りなどが、小さい頃からそれを口うるさく子どもに指導したものだ。しかし、核家族となり、祖父母が同居しなくなった現代では、その指導を得る機会も失われたのだと、高嶋は考える。

箸を持つとき、親指、人差し指、中指が重要な役割を担う。つまり3点支持の役目を果たしているのだ。この手の形から、下の箸を1本取ると、ほぼ鉛筆の持ち方に近くなる。もちろん、鉛筆を持つときには、3本の指の位置をもっと芯に近い方へスライドさせ、きちんと3点支持になるように、親指を微調整しなくてはならない。しかし、基本はこの箸の持ち方にあることは、間違いがないようだ。

人間の生涯最初の「道具」との出会いは、“食べる道具”との出会いである。しかし、その“食べる道具”との正しい出会い方が、“学ぶ道具”としての鉛筆の持ち方をも支配しているという気づきは、意味深いものを含んでいるように思われる。

合理性とメカニズムに基づいた矯正ツールを開発した

高嶋の仕事の特性の一つに、具体的な矯正ツールを開発したということが挙げられる。そういう意味で、高嶋は理論家ではなく実践家である。論より証拠、彼は具体的な物をもって即指導に当たれるようにと、常に考えている。

しかも、工業技術者としての経験を生かし、彼は人間の手や指のメカニズムを合理的・数値的に計測して、それを指導や教具開発に活かしている。例えば、「鉛筆と紙との接地角度は60度」「正しい持ち方での親指の曲げ角度は120度」などと言ったのは、高嶋が初めてである。したがって、彼の生み出した「ユビックス」「鉛筆持ち方定規」などの矯正ツールは、こうした合理化や経験的統計に根ざした、人間工学的な作品であると言えるだろう。

全国の幼稚園、保育園、小学校において実践指導に当たった

高嶋は、現在80歳を超えたが、児童かきかた研究所での指導のほかに、求めに応じて、未だに精力的に全国の幼稚園や小中学校の現場へと出かけ指導に当たっている。これまで2万人以上の幼児・児童に鉛筆の持ち方と文字の書き方を指導してきたが、現在の間違った鉛筆の持ち方の蔓延速度にくらべれば、それでもまだまだ、とても追いつけないと高嶋は考えている~。

幸い、小池清代美や神戸市立西山小学校の藤岡大樹のように、高嶋の精神を継ぐ若き実践者が出てきていることは、高嶋にとってのせめてもの救いとなっている。

「小一プロブレム」や「学級崩壊」との関連も指摘

「鉛筆の正しい持ち方」という観点は、現代日本教育の一つのアキレス腱であり、学力低下に関する、ある種象徴的な原因の指摘であると思われる。
というのも、今、全国の小学校で言われている「小一プロブレム」の問題や「学級崩壊」の問題は、それ以前の幼児教育期における“教育情報の不足”が原因していると思われるからだ。

この情報化時代に情報の不足?と思われる向きには、それはゲームやテレビ、あるいは偏ったお受験対策の情報ではなく、箸の上げ下げ、鉛筆の持ち方、姿勢、しつけ、お手伝いなどといった、人間教育の基礎の基礎としての情報、従来家庭文化が担っていた情報の欠落を意味するという言葉で返えたい。この幼児期の家庭教育におけるツケが、明らかに小一プロブレムの原因となり、その負担が学校教育の現場にもかかって来ているということを、そろそろ社会や家庭は自覚しても良い段階に入っていないか。

“鉛筆を正しく持てない親”は、人と“もの”との間には正しい関係性があるということの“しつけ”を、我が子に施せない。こうした現状が、「小一プロブレム」や「学級崩壊」、ひいては「モンスターペアレント」などの出現に関して無縁であるかどうか、立ち止まって熟考すべき時期に入っているように思われる。

高嶋 喩の仕事は、そうした時にこそ、その真の意味と効力を発揮するように思われる。

高嶋喩の著書

◆ 幼児・児童向け

  • 「徹底反復 高嶋式 ひらがなれんしゅうちょう」(小学館)

* 「徹底反復 高嶋式 かたかなれんしゅうちょう」(小学館)

* 「徹底反復 高嶋式 かんじれんしゅうちょう」(小学館)

* 「高嶋式 子どもの字がうまくなる練習ノート」(PHP)

 幼児と児童のために、高嶋式の鉛筆の持ち方、運筆練習法が具体的に、緻密に、手順を追って解説されている書字練習帳です。

◆ 保護者・教師向け
* 「高嶋喩の 脳いきいき! 大人の書き方プリント」(小学館)

教育はまず大人の矯正から。正しく持てていない先生や大人のために、書くことの意味や歴史から始め、具体的に書字法を、ひらがな、かたかな、主要漢字について練習します。
お子さんや児童・生徒を、まずあなたから、変えていってください。

高嶋式 矯正ツール(ユビックス)のホームページ

http://www.yubix.co.jp/
*(箸の持ち方)上達くん
* 幼児用おけいこセット
* 名前練習紙セット
* ユビックス
* 小学生用おけいこセット
* 姿勢のよくなるマット
* もちかたえんぴつ三角2B
など、高嶋式の学習ツールが紹介されているページです。

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