倒置法を使って文章に物語性を与える

語順を変えることによって作者の意図がはっきりして、作文に物語性が生まれます。
推敲を指導するひとつとして

  • 文の語順を変えて、一番伝えたい語句から書き始めなさい。
  • 会話文や音から、書き始めなさい。
  • ◎ 会話文二つ(応答)を使って、書き始めなさい。
  • ◎ 音と会話文とを組み合わせて、書き始めなさい。

等の指示を与えます。
倒置法と推敲

倒置法は、よく使われる表現法ですが、使い方によっては、大げさな感じになってしまいます。しかし、倒置法を表現法の課題だと狭くとらえないで、むしろ推敲のひとつだとして捉えると、あらたな意味合いが生まれきます。

【推敲の例 語順を考える】

 A.ももかちゃんが、かわいい子犬をやさしくだきあげました。

 B.ももかちゃんが、やさしくかわいい子犬をだきあげました。 

Bは、やさしいのは子犬なのか,ももかちゃんなのか,誤解をまねきやすい語順です。この場合の原則は、「修飾する語句と修飾される語句は、近くに置く」という原則です。だからAの語順が 一般型です。

また、Bの意味がやさしい子犬という場合は、やさしくかわいい子犬を、ももかちゃんがだきあげました。と語順をかえると文の意味がはっきりします。

ももかちゃんがやさしく、かわいい子犬をだきあげました。と読点をつけるとAの意味になります。「語順を変えたら、読点を打つ」という原則です。

どの段階で、このことを指導したらよいのか、実践の中で検討していきたいです。

【強調の表現としての 語順変化】
ももかちゃんが、かわいい子犬をやさしくだきあげました。

 1.やさしく、ももかちゃんが、かわいい子犬をだきあげました。

 2.かわいい子犬をやさしく、ももかちゃんがだきあげました。

 3.ももかちゃんが、やさしくだきあげました、かわいい子犬を。 

 4. やさしくかわいい子犬をだきあげました、ももかちゃんが。

 5. やさしくだきあげました、ももかちゃんが(、)かわいい子犬を。

語順によって、強調される語句がかわります
いずれの、語順でも、意味は通じます。日本語の文章が、膠着語だからです。
しかし、語順によって、強調した語句が違うので、文意は変化しています。
わかりにくい文章は、このように語順を変えて推敲させます。
このようなの場合はどうでしょうか。いくつか例をあげます。

父が、ボールの投げ方をていねいに教えてくれた。

 1.ていねいにボールの投げ方を教えてくれた、父が。

 2.父が、ていねいに教えてくれた、ボールの投げ方を。

 3.父が、ボールの投げ方を教えてくれた、ていねいに。

 4.ボールの投げ方を、父が(、)ていねいに教えてくれた。

形容詞文の例です。

富士山は、どんな山よりその形が美しい。

 1. どんな山より、富士山は、その形が美しい。

 2. その形が、富士山は、どんな山より美しい。

これらは、いずれも、倒置した前の方が強められます。

 3. どんな山よりその形が美しい、富士山は。

 4. 富士山は、その形が美しい、どんな山より。

いずれの倒置でも、短い文節の方が強調されます。。

下の例は、文節が同程度の長さです。どちらが強調されているのか不明瞭です。
しかし、本来の語順と違っているので、やや前の方が強い感じがします。

 5. やさしくだきあげました、ももかちゃんが(、)かわいい子犬を。

書き出しの表現と語順(会話文から)。
会話文から書き始めなさい(言いたい語句から書き出しなさい)
「やった。」、ぼくは(、)思わず叫んだ。
あきらめかけていた作文が入選したのだ。
母もうれしそうだった。
上の文は会話文の倒置ともいえます。
ぼくは、「やった。」と、思わずさけんだ。が一般的な語順でしょう。
語順を変えたことで、「やった。」が強調され、次の展開が期待される書き始めになっています。
会話文二つを使って書き始めなさい

 

「やった。」{ぼくは、思わず叫んだ。} { }はなくてもよい
「おめでとう、苦労したものね。」
と、母もうれしそうだった。
あきらめかけていた作文が入選したのだ。
となると、とても物語性が生まれてきます。
ほかに、「音と会話文で書き出しなさい。」という指示も有効でしょう。 

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「文章表現の会」より、コンテンツをご提供いただきました。

http://www7b.biglobe.ne.jp/~satoyama39bun/index.htm

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