1 授業内容
東京理科大学の川村研究室で毎週行われている小中高校生向けの実験教室「理科大好き実験教室」から、今回力学分野の「力とは何か」についての授業を取り上げました。
目的
- 力の定義を知る
- ばねはかりを作製し,フックの法則の実験を行い,データの処理の仕方やグラフの書き方を学ぶ。
- フックの法則に関する実験から,ばねの伸びが,ばねにつるしたおもりの重さに比例することに気付く。
授業動画
指導案
力とは何か
【定義】力
「力とは,物体の運動状態を変化させたり,物体を変形させたりする原因となる物理量」
・では,力の大きさを測定するにはどうすれば良いだろうか?(発問)
教卓を押したときの力の大きさはどのくらいか,生徒に尋ねる。
ここで,力の大きさを客観的に測定する必要性を話す。
【実験】ばねはかりの作製
①18cmのステンレス線の一端に,おもりをつり下げる用の,フックをつくる。
②ステンレス線のもう一端の先を1.5cm程度折り曲げて,ばねにひっかける。折り曲げたステンレス線と軸となるステンレス線を巻きこむように,セロハンテープを巻きつける。ここにマジックで印をつけ,これを指針とする。
③アクリルパイプに10cmのステンレス線を通し,ばねをひっかける。
④パイプに通したステンレス線を,持ち手にするための加工をする。
⑤アクリルパイプに目盛りを打つためのセロハンテープをはる。
⑥一番重いおもりをつるし,ばねを伸ばした後にゼロ点をつける。そして軸をセロハンテープの上に書き込む。
【実験】フックの法則の実験
①すでに重さがわかっているおもり(N単位のもの)をつり下げ,目盛りを振る。なお,時間が許す限り,g重の目盛りも振る。
②おもりの重さとばねの伸びについての表を作り,グラフを作成する。グラフの書き方についても説明する。
③はやく終わった生徒から実験データを聞き取るか,予備実験でのデータを用いて,黒板にグラフを書く。
④ばねの伸びが,ばねにつるしたおもりの重さに比例することに気付かせる。
⑤ばねの伸びx〔m〕が,おもりに作用する力F〔N〕に比例する。
フックの法則
ばねに力を加えて引き伸ばし(縮め)、変形した大きさをx、加えた力の大きさをFとすると、
F=kx(k:ばね定数〔N/m〕)
が成り立つ。kはばね定数(弾性定数)と呼ばれ、ばねの伸びにくさを示す。
2 研究生の声
- 生徒ができたかどうか全員に気を配りながら進めていた/雰囲気がとてもよかった。
- 先に作製図があるのは良い/時間が短縮できる。
- ばねはかりを作製する際、セロテープに指針をつける指示が徹底されていなかった。
- データは生徒のものを使ってもよかったのではないか。
(レポーター 清水 祥彦)
3 講師プロフィール
川村 康文先生
東京理科大学理学部第一部物理学科教授,東京理科大学大学院科学教育研究科教授、1959年,京都市生まれ。博士(エネルギー科学,京都大学)。
“ぷち発明”の第1人者。専門は物理教育・サイエンス・コミュニケーション。
歌う大学教授(環境保護ソング,世界平和を祈る歌など、ホームページで無料配信中。サイエンス・レンジャー(理科実験名人)。
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