1 授業内容
2012年7月22日に、2012年7月22日に筑波大学附属中学校で「実験実技講習会」が行われました。その実験講習から、中学校理科化学分野の実験「金属樹」について取り上げました。
2 実験概要
ろ紙の上で、銅樹を生成させ、双眼実体顕微鏡で観察します。また、検流計を使って電流の流れを確認しておくと電池のメカニズムの理解に役立ちます。
3 実験器具・材料
ろ紙、塩化銅水溶液、うすい銅板、うすいアルミ板、ペトリ皿、検流計、リード線、炭素棒2本、双眼実体顕微鏡、ピンセット
4 実験の手順
- 塩化銅水溶液をペトリ皿(シャーレ)に少量取り、ろ紙を浸す。このとき、ろ紙の表面がかなり濡れるくらいまで浸すこと。
- ろ紙の上に、アルミ板の小片をピンセットで置いてそのままにしておく。
- しばらくしてから、アルミ板の小片の端のあたりを、双眼実体顕微鏡で観察する。
- 炭素棒を2本用意し、片方をろ紙に、他方を金属片に当て、検流計につないでみる。どのように電流が流れているかを確認する。
5 実験結果
- アルミ板の小片のまわりから、銅の金属樹が析出しているのが確認できた。
- 炭素棒をろ紙と金属片にそれぞれ当てると、ろ紙から金属片へ電流が流れていることがわかった。
<参考>金属のイオン化傾向
金属板(イオン化傾向:大)を金属イオンの水溶液(イオン化傾向:小)に浸すと、イオン化傾向の大きな金属が酸化して溶解し、イオン化傾向の小さい金属が還元されて金属樹として析出する。
K > Ca > Na > Mg > Al > Zn > Fe > Ni > Sn > Pb > (H) > Cu > Hg > Ag > Pt > Au
今回の実験におけるイオン反応式は以下のようになる。
Al → Al3+ + 3e-
Cu2+ + 2e- → Cu
6 当日の様子
「実験実技講習会」は、現職の先生方や教職をめざす学生が、実際に体験しながら方法やコツなどを見つける講習会で、熱心に実験に取り組む様子がとても素晴らしかったです。
実験はいたって簡単なので、待っている時間を使って他のこともできます。当日も金属片を置いた後は他の実験を行いました。10分程度待つと金属片の周りから金属樹が出てきて、顕微鏡で観察するととてもきれいでした。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 清水祥彦)
7 講師プロフィール
荘司 隆一(しょうじ・りゅういち)先生
筑波大学附属中学校教諭。
「既習の知識を使った探求的な実験」、「小中高での連携したカリキュラムのスパイラル構造」、「科学的なモノづくり的な体験としての実験」、「グループでの活動(学び合い)」を行うことを基本に考えながら実験の指導を組み立てている。
主著に『イラストでわかるおもしろい化学の世界』(共著)東洋館出版社、『板書とワークシートでみる 全単元・全時間の授業のすべて』(共著)東洋館出版社などがある。
『イラストでわかるおもしろい化学の世界2 調べる実験』 東洋館出版社
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