1.1 資料や体験を比較し分析することで課題を設定する事例
この実践は文部科学省から許可を得て、文部科学省ホームページ上の「先生応援ページ」より転載させて頂いております。ここから指導案もダウンロードできます。添付ファイル
単元の目標
鶴見川の観察や調査を通して,鶴見川には多くの生き物や植物などがいることを知り,地元の大学や NPO と協力して鶴見川の自然を大切に守っていこうとする。
評価規準
- 【学習方法】鶴見川に生息する自然についての情報を適切に収集し,鶴見川の特徴的な環境条件に ついて複数の角度から分析している。
- 【自分自身】鶴見川と自分とのかかわりを基に,鶴見川に対する思いを明らかにしている。
- 【他者や社会とのかかわり】地域の方々と積極的にかかわり,自分の思いや気持ちを伝えている。
教材
学校の近くを流れる鶴見川は,一級河川の中でも日本で3番目に汚い川と言われている。しかし, 本校は上流域に位置するためか,学校周辺の流域では生物が多く生息している。思っていた以上に川はきれいで生物が多く存在することに,児童は驚き関心を高めることが期待できる。
そこで,身近な鶴見川の生態系を調査し,その特徴を人間の視点や生物の視点などから分析する活動を行う。実際に地域の人々と河川の保全にかかわる活動を行ったり,その人の思いや考えに触 れたりする中で,ふるさと鶴見川を大切に守っていこうとする心情を育みたいと考え単元を構成した。
主な学習活動
(1)単元の展開(全40時間)
(2)本時の学習
鶴見川の2か所のポイントについての違いを出し合うことで,なぜそのような違いが出るのかを考え,また他の地点はどうなのかといった新たな課題をもつことができるようにする。
指導事例と学習指導要領との関連
小学校学習指導要領 第 5 章 総合的な学習の時間 第 3 の 2 の(2)において,「問題の解決や 探究活動の過程においては,他者と協同して問題を解決しようとする学習活動や,言語により分析し,まとめたり表現したりするなどの学習活動が行われるようにすること。」と示している。
総合的な学習の時間にあっては,児童が自ら課題をもち,その意識が連続発展することが欠かせない。そのために,これまでの児童の考えとの「ずれ」や「隔たり」を感じさせたり,対象への「あこがれ」や「可能性」を感じさせたりする工夫をすることが考えられる。
本事例は,川を教材として扱っている。川の二つの異なるポイントを画像で示し,違いについて話し合わせる。画像を比較することで,児童がどうして違いが生じているのか,もっと他にも 違いがあるだろうかという思いをもつことが想像できる。そこで,実際に二か所に出かけて体験 活動を行う。それぞれのポイントでの体験とその比較検討を行うことで,「なぜ違いが見られる のだろう?」といった課題が生まれるものと考える。このように画像と実体験を比較し検討する 活動を通して,新たな課題を設定していくことを期待して取り組んだ。
【言語活動の充実の工夫】-体験活動を比較し,課題を設定する-
体験前に二枚の写真を提示し,同じ鶴見川でもポイントで違いがあることに気付かせ,「もっ と違いは見つけられないかという課題意識をもって川探検を行った。
ポイントが2か所であることから,その二つを比較して考える学習活動が行われる。比較しな がら分析することで,違いに気付く児童,その原因を考える児童,人と自分の生活を関連付けて 考える児童などの多様な見方や考え方をする児童が生まれる。その際,一人だけではなく,クラス全体で比較し分析することで,自分だけでは気付くことのできなかった視点を発見するなど, 協同的に話し合うよさも味わうことができる。また,マップなどで話合いの様子を整理して示していくことで,その原因を探るだけではなく,もっと違った場所についても調べてみたいという 新たな課題意識が生まれることも期待できる。
引用元
文部科学省ホームページ「先生応援ページ」(授業資料・学習評価等)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/senseiouen/index.htm
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