植物の発芽,成長,結実(理科 指導案)

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目次

1 討論により実験を構想し,協同で追究する事例

この実践は文部科学省から許可を得て、文部科学省ホームページ上の「先生応援ページ」より転載させて頂いております。ここから指導案もダウンロードできます。
添付ファイル

単元の目標

植物の発芽から結実までの過程に目を向けながら調べ,見いだした問題を計画的に追究する活動を通して,生命を尊重する態度を育てるとともに,生命の連続性についての見方や考え方をもつことができるようにする。

単元

本単元では,インゲンマメの「発芽と成長」,ヘチマの「結実」を観察・実験する活動を通して, 植物の発芽,成長,結実についての考えがもてるようにしたい。その中に,発芽,成長,結実に必要な条件を見いだすための方法を話し合ったり,見いだした条件や実験の結果を表に整理したりする活動を位置付けた。このような活動を通して,条件を制御して観察・実験を計画的に行う能力を育てたい。そして,植物の子孫を残す営みを理解し,生命尊重の視点から植物を育てようとする心情を育てたいと考え,単元を構成した。

主な学習活動

(1)単元の指導計画(全23時間)

(2)本時の学習

  1. 目標 しぼんだ子葉に養分がないことから,インゲンマメの成長の条件(養分)に着目し,実験の計画を立てることができる。
  2. 本時の展開
  • しぼんだ子葉に養分(でんぷん)がないことから,発芽や成長に使われた事実をとらえる。
  • インゲンマメがよりよく成長するために必要な条件について話し合う。
  • よりよく成長するために必要な条件を明らかにするための実験を計画する。

【指導事例と学習指導要領との関連】

小学校学習指導要領の第2章第4節理科第2(5学年)の2において,B(1)「植物の発芽,成長,結実」が示され,また,第3の1の(2)において,「観察,実験の結果を整理し考察する学習活動や,科学的な言葉や概念を使用して考えたり説明したりするなどの学習活動が充実するよう配慮すること。」と示されている。
本事例のねらいは,インゲンマメの種子が発芽するために必要な条件について予想を立て,それを明らかにする観察,実験を構想することである。そのため,これまでの栽培経験を基に,種子と発芽した種子の比較から,発芽の条件を明らかにする場を設けた。また,これらの条件が見えるように実験の方 法をワークシートに絵や図で表現させ,これを活用して,条件制御の必要性が明らかになるような討論の場を設けた。

【言語活動の充実の工夫】

種子と芽の比較から発芽の条件を話し合う場の設定

「土を入れた植木鉢に種を蒔いて,水をあげたら発芽したよ。」というように,児童はこれまでの経験から,種子を発芽させる方法を知っているが,発 芽に必要な条件については認識していないことが多い。ここでは,インゲンマメの種子と発芽したばか りのインゲンマメを提示し,比較させ,どうやって 芽が出たのかを話し合わせた。すると,「種を土に埋めて水をあげたから芽が出たと思う。」「固い種の中 に,葉や根が入っていて,水を吸って,出てくるのかな 。」と, 種子が発芽する 条件に着目していった。 そこで ,発芽の条件 に話し合いを焦点化させた 。「水は, 必ず必要だ。」「土は ,栄養が あるか ら必要だ 。」 「寒いところでは,芽が出なかったから,温かいと ころで発芽するはずだ。発芽に温度が関係していると思う。」「日光を当てるとよく育ったから,日光が 必要だ。」と,発芽した条件を予想していった。児童の栽培経験を引き出し,種から芽へと変化した条件を明らかにすることができた。

実験を構想したワークシートの活用による討論の充実

発芽に必要な条件が何か調べるために,実験方法をワークシートに記述させた。「発芽に温度が関係 しているかどうかをはっきりさせるには,冷蔵庫の中に入れた種子と,日なたに置いた種子で比べたら わかると思う。」と,実験方法を考えた児童は,明らかにしたい条件が異なる実験方法を絵と図で表現し始めた (左下図)。すると ,「 温度以外の他の条件はどうすれ ばいいのか。」という疑問が生まれた 。
そこで,実験方法が記述されたワークシートを基に,他の条件についても話し合う場を設けた。ワー クシートには左右並列に,発芽の条件を変えた2つの実験方法を表す絵を描けるようにした。2つの絵の比較から,条件と結果の関係について吟味し,実験方法が妥当であるか検証したのである。

話し合いでは,「もしも冷蔵庫の方が発芽しなければ,発芽には適度な温度が必要だと言える。」「でも,冷蔵庫の中は,真っ暗なはず。日なたに置いただけでは,光の条件も違っているから,温度が条件だと言えなくなる。」「じゃあ,日なたに置いた種子も暗くすればいいんじゃないかな。」と, ワークシートを活用して,条件制御の必要性について討論が深まっていった。このように,「もし も…」と仮定法を用いて結果を予想させることで,条件を焦点化させ,計画的に追究する力を高め ることができる。この後,ワークシートには,条件を制御した実験の構想が記述された(右下図)。
発芽の条件に着目しただけでは,実験を構想することはできない。ワークシート等に明らかにしたい実験方法を記述し,その妥当性について他者と討論することで,条件制御の必要性が,児童の中に位置付き,理解が深まっていった。このように,討論・協同といった言語活動の充実を図った。

引用元

文部科学省ホームページ「先生応援ページ」(授業資料・学習評価等)

http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/senseiouen/index.htm

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