モデルづくりでサイコーに楽しい理科授業~腕のモデルづくりで、からだの動きを知る~

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目次

1 はじめに子どもたちが喜ぶものづくりは、より大きくて動くものです。そして、自分で考えて作ることができた時です。

そんな子どもたちの喜ぶ顔が見られるような腕のモデル(腕の動きが分かる簡易模型)づくりを考案しました。実物大の大きさにもでき、自分の腕の様子を見ながら、骨と筋肉の関係を考えて作ることができます。

また、モデル化する過程を通して、友だちと話し合い、本物の体のつくりのすばらしさも実感できるはずです。

2 本時の授業

単元名

動物のからだのつくりと運動(小学校4年生)

授業の準備

〈材料〉

  • 手指・前腕を印刷した紙(27.3cm)、上腕を印刷した紙(14.3cm)
  • その紙を貼り付ける板目表紙
  • 赤のスズランテープ2 本(80cm、90cm)

〈道具〉

ホチキス、セロテープ、はさみ、のり

3 3 授業の流れ(60分)

腕のモデルづくりを通して、腕のつくりとその動く仕組みについて、個で考え、友だちと交流することで骨と筋肉の関係を考えられるようにします。

(1)腕を調べよう(5分)

まず、自分の腕を曲げ伸ばしし、腕の表面が凹凸するのを見たり、触って硬さの変化を観察したりします。その変化は、誰にも共通するものかを知るために、友だちに変化の様子を話して確認するようにします。

子どもたちは、骨に関することで「けっこう硬い」「太い骨がある」「肘が飛び出てくる」などと言います。また、筋肉に関して「ここ(上腕部)が飛び出る感じ」「力こぶがすごい」「ぷにゅぷにゅしている」「何か、動いている」「硬いところがある」など、多くの意見を出してくれるでしょう。出された意見は、骨と筋肉に分けて板書して見えるようにします。ここでは、骨と筋肉に分けて書いていることは、子どもたちには言いません。

(2)どうやって曲がるのか、想像しながら調べよう(5分)

「みんなが気付いて言ってくれたことは黒板に書きました。何で2つに分かれて書いたのか、分かりますか。」
と発問します。子どもたちはすぐに、骨と筋肉であると答えます。そこで、
「骨が関節で曲がる時、筋肉はどのようになるかをよく見てください。」
と指示します。

子どもたちは、上腕二頭筋のふくらみ(力こぶ)に注目して、その動きやどう動かすと硬くなるのかについて、発言するようになります。およそ「腕を曲げると、力こぶが出る(または硬くなる)」とまとめられるはずです。

(3) 腕のモデル(腕の骨と筋肉の模型)を作る1 (25分)

腕の骨と筋肉の動き( 腕を曲げると力こぶが出る)について、気付いたことをモデルを作って確かめようと提案します。作る手順は次の通りです。

まず、手指・前腕と上腕を印刷した紙を、板目表紙にのりで貼り付けます。そして、板目表紙ごと手首・前腕部分と上腕部分をはさみで切り取ります。

次に、のり付けした図を上にして、のりしろの部分を山折りにします。机の角を使って、90度に曲げます。曲げたのりしろ部分をのりで接着し、さらにホテキスで3 箇所止めて補強します。
 
 

できたと思って喜んでいる子どもたちに、何か足りなくないかと質問します。
即座に、「筋肉」と返ってくるはずです。そこで、赤のスズランテープ(80cm)を配って、筋肉を作ります。ここで、筋肉らしくするためにちょっと加工します。まず、2回折って20cmの長さにします。次に、横に2回折って細くして、その両端をセロテープで巻きます。最後に、スズランテープを縦に3列裂きます。鉛筆でもいいですが、コンパスや押しピンがあると裂きやすいです。これで、上腕二頭筋の完成です。そして、
「この筋肉をどこに付けたら、力こぶができるでしょうか。」
と問いかけます。子どもたちは、その筋肉を上腕部や前腕部に指で仮押さえしながら、どこにつけると腕を曲げると力こぶができる状態になるかを再現しようと試行錯誤します。そのうち、筋肉の一端を上腕部の肩近くに止め、もう一方を前腕部の肘近くに止めると、腕を曲げると裂いたスズランテープが盛り上がる(力こぶができる)ことに気付く子が出てきます。気付いた子が複数人になると、その情報が隣の子から他のグループに伝わり、確認しながら腕のモデルづくりが進みます。全員ができ上がった時、
「自分の腕の筋肉とモデルの筋肉とを比べて、モデルは本当に自分の腕の筋肉と同じ動きをするようになっていますか。」
と発問します。同じだと言う子が、多いと思います。しかし、腕の下の筋肉(上腕三頭筋)が動いていることに気付く子もいるはずです。全員ができ上がった時、
 

「自分の腕の筋肉とモデルの筋肉とを比べて、モデルは本当に自分の腕の筋肉と同じ動きをするようになっていますか。」
 

と発問します。同じだと言う子が、多いと思います。しかし、腕の下の筋肉(上腕三頭筋)が動いていることに気付く子もいるはずです。
「下にも筋肉があって、硬くなったり柔らかくなったりしている。」
このような発言で、子どもたちは下の筋肉の動きを慎重に調べ、上の筋肉と逆の動きをしていることを発見するようになります。

(3) 腕のモデル(腕の骨と筋肉の模型)を作る2 (25分)

そこで、2本目のスズランテープ(90cm)を配って、下の筋肉を作ります。どのように付けると、上の筋肉と逆の動きになるか、試行錯誤が始まります。指で仮止めをして、モデルの腕の曲げ伸ばしをして、本物の腕の動きに合うように工夫し、腕のモデルの完成を目指します。

なかなか思うようなモデルができず時間がかかるかもしれませんが、十分、時間をとるようにしましょう。

こうしたモデル作りは、見えないものを見えるようにすることで理解を助けることになります。もう一つ、直接見えないものの仕組みを知るためには、モデル作りが有効であるという学習技能を身に付けるという重要な意味もあるのです。


資料pdf

 添付ファイル

4 おわりに

 簡単なモデルづくりですが、スズランテープの力こぶが盛り上がる様子に感動した子どもが多かったようです。この感動が、骨と筋肉の関係への興味を高め、モデルの完成度を高める力になりました。

5 投稿者プロフィール

群馬県藤岡市立鬼石小学校 大谷雅昭先生
子どもと子どもたち、つまり個と集団を相乗効果で育てる独自の「まるごと教育」を進化させると共に、「教育の高速化運動を推進してる。また、「学びの場com」(http://www.manabinoba.com/index.cfm/1)の「教育つれづれ日誌」で、子ども自身が成長を実感し、自ら伸びていく様子を綴っている。

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