1 はじめに
この記事は、坂本哲彦先生が運営されているホームページ「坂本哲彦 道徳・総合の授業づくり」から引用させて頂いたものです。
坂本哲彦先生のホームページはこちら→ http://sakamoto.cside.com/
2 対象
小学校3年生
3 ねらい
「おにだって、いろいろあるのに。おにだって……」について話し合うことを通して、美しく気高い行いに改めて気付き、よりよく生きようとする心情を高める.。3-(3)
4 学習内容
(1)おにたの気持ちについて考えること
- おにたのけなげな優しい気持ち
(2)まこと君や女の子に鬼に対する見方について考えること
- 鬼に対する一方的な見方
- その見方の不合理さ
5 資料
「おにたのぼうし」(あまんきみこ ポプラ社)
あらすじ
気のいいおにの「おにた」は、隠れて住んでいる家の子ども「まこと」のために、内緒で親切な行いをしていたが、節分の豆をまかれる。おにたは「にんげんっておかしいな。おにはわるいって、きめているんだから。おににも、いろいろあるのにな。にんげんも、いろいろ いるみたいに」とつぶやき、家を出て行く。
次に隠れた家では、女の子が熱を出した母を看病していた。何も食べていない女の子のために、雪の降る外に出て行って、あたたかそうな赤ご飯と鶯色の煮豆をもってくるおにた。おんなのこは、よろこぶも、「わたしもまめまきしたい」と言う。
おにたは、「おにだって、いろいろあるのに。おにだって……」とつぶやききゅうにいなくなる。むぎわらぼうしだけを残して……
6 学習過程(45分授業)
①ゆっくり資料を聞く。(15分)
※絵本を使って、ゆっくり2度読み聞かせる。
※子どものつぶやきは、共感的に受け止め、他に広げる。
②女の子に「おにだって、いろいろあるのに。おにだって…」と言ったときのおにたの気持ちについて話し合う。(30分)
発問1:「おにだって…」の…に続く言葉を考えて発表しましょう。
–
1. (おにだって)いろいろある。いい鬼もいるんだよ。
2. (おにだって)人間と同じようにいろいろなんだよ。
3. ぼくは、優しい鬼だよ。
4. 優しい鬼だから、これからも仲よくしてよ。
5. 人間って鬼をみんな悪いものだと決めつけている。
6. それは、いけないよ。ちゃんとその相手を見て、いい人かどうか判断してほしい。
発問2:おにたが麦わらぼうしだけを残していなくなったのは、どんな気持ちからだと思いますか?
概ね、
1. 「自分の女の子に対する思いやりの気持ちが伝わらなくて、とても悲しく、人間との交流をやめた」とする意見と、
2. 「女の子のために自分が黒いまめになった」とする意見のと二通りに分かれる。
どちらの意見が正しいかは国語の時間にでも追求するとして、ここでは、まことくんや女の子に対して「美しく気高い行いをしているおにた」のよさやすがすがしさを感じ取らせるようにする。
③自分の中のおにたを書く。(5分)
発問3:「今まで自分もおにたのようにやさしく温かい行いをしたことがありますか?」
自分の中にも「おにた」に似たような「やさしく温かい行いのできる部分」があることに気付かせ、そのよさを一層伸ばしていこうとする心情を高める。
7 実践者プロフィール
坂本哲彦(さかもとてつひこ)
山口県山口市立徳佐小学校教頭。
1961年生まれ。
山口大学卒業。山口大学院修了。
山口県内公立小学校教諭、山口大学教育学部附属山口小学校教諭、山口県教育庁指導主事等を経て、現職。
自身の経験を活かして、道徳実践をHP、メルマガで数多く配信している。
坂本哲彦 道徳・総合のページ
http://sakamoto.cside.com/
8 編集後記
誰かに優しく接すること、見た目で判断しない、という大切なことを深く考えさせられる実践でした。絵本ということで、小学校低学年から高学年まで幅広く扱える題材だと思います。先生方にとっても心温まる絵本ですので、ぜひ実践していただきたいです。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 佐竹琴奈)
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