1 はじめに
こちらの記事は、静岡県で30年間以上続く教員サークル、シリウスのホームページに掲載されている教育実践法の一つをご紹介しています。
http://homepage1.nifty.com/moritake/
2 実践内容
1.うんとこしょ、どっこいしょ
この物語の中で繰り返される「うんとこしょ、どっこいしょ」について考えた。大きなかぶの中には、7つの会話文が出てくる。そのうち6つまでが「うんとこしょ、どっこいしょ」である。一回ごとに人や動物が加わっていくのであるが、それぞれをどんな読み方をしたらいいかを検討した。まずは黒板に、会話文を書いた。
2 うんとこしょ、どっこいしょ。
3 うんとこしょ、どっこいしょ。
4 うんとこしょ、どっこいしょ。
5 うんとこしょ、どっこいしょ。
6 うんとこしょ、どっこいしょ。
7 うんとこしょ、どっこいしょ。
ある列を指名して、2~7を読ませた。全員が2~7を同じ大きさの声で読んだ。そこで
先生が、2~7を二通りの読み方で読みます。初めとあとではどちらの読み方がいいと思いますか?
(以下、赤字部分が教員の発問部分です。)
このように尋ね、2~7を読んだ。初めは全て同じ大きさの声で、あとからは、だんだんと声を大きくしていった。子どもたちは、全員が < あとの方 > がいい、と考えた。
<あとの方がいい > 36人
- あとからのほうがいい
- 声が大きな方がいい。
- おじいさんから人がどんどん増えていったから。
- みんなが来たから、声が大きくなっていった。
確かにおばあさんや孫が加わったところまでは、声も大きくなるだろう。しかし、犬やねこやネズミは、人間の言葉をしゃべれない。そこで
ねこやねずみが入って、声が大きくなるのは、おかしいんじゃないですか?
このように子どもを揺さぶってみた。子どもたちは「そうだなぁ」ねこだったら、「ニャンとこしょ、どっこいしょ」犬だったら「ワンとこしょ、どっこいしょ」って言うんじゃない、と動揺している。ここで、かぶを引っぱっている人を表すと、次のようになる。
2 おじいさん
3 おじいさん おばあさん
4 おじいさん おばあさん まご
5 おじいさん おばあさん まご 犬
6 おじいさん おばあさん まご 犬 ねこ
7 おじいさん おばあさん まご 犬 ねこ ねずみ
< 声の大きさが同じところがある > 20人
- ねこだったら「ニャンとこしょ、どっこいしょ」犬だったら「ワンとこ しょ、どっこいしょ」って言うんじゃない。
- 犬とねことネズミは人間じゃないから、4と5、6と7は同じに読む。
< 声の大きさはだんだん大きくなっていく > 16人
- トムとジェリーだって、テレビの中でしゃべっている。
- 声が大きくなった方が、抜けるような感じがする。
- 犬やねこやネズミをしゃべらなくすると、お話がわからなくなる。
何とかみんなを説得しようと必死である。そこで、登場人物について説明をした。
お話の中に出てくる人を登場人物と言います。動物や木や物でも人間と同じようなことをしたり、話をしたりするものは登場人物です。「けんかした山」でも、山や日や月がしゃべっていたでしょう。
こう告げると「あっ、そうか」と納得する子がいた。この後、2~7まで、自分で読み方を考え、読みの練習をした。7では、すごい音量の「うんとこしょ、どっこいしょ」が聞こえてきた。
2.おおきなかぶは本当に甘いのか?
「おおきなかぶ」の中に次の一文がある。
“あまいあまい おおきなかぶができました。”
しかしこの時点で、かぶはまだ抜けていない。まだかぶは抜けていないのだから、この一文はおかしいことになる。そこで次のような発問が考えられる。
このかぶは本当に甘いのでしょうか?
子どもたちはいろいろな意見を言うだろう。実は、あまいかどうかは、作者だけが知っている。
視点の学習が1年生でできないかな?と思いました。このように作者だけが知っていることが「大きなかぶ」の中にまだあるかどうかさがしてみてもおもしろい。
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4 プロフィール
静岡県教育サークル シリウス
1984年創立。
「理論より実践を語る」「子どもの事実で語る」「小さな事実から大きな結論を導かない」これがサークルの主な柱です。
最近では、技術だけではない理論の大切さも感じています。それは「子どもをよくみる」という誰もがしている当たり前のことでした。思想、信条関係なし。「子どもにとってより価値ある教師になりたい」という願いだけを共有しています。
5 書籍のご紹介
「教室掲示 レイアウトアイデア事典」(明治図書2014/2/21発売)
「学級&授業ゲームアイデア事典」(2014/7/25発売)
「係活動システム&アイデア事典」(2015/2/27発売)
「学級開きルール&アイデア事典」(2015/3/12発売)
6 編集後記
当たり前だと思っていたことに疑問を抱き、本当にそうなのか、文章から読み取れるのか、等疑問をもってを調べることは読書力やメディアリテラシー力の元になります。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 水島淳)
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