絵画指導のポイント1 ~図工(シリウス)

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目次

1 はじめに

こちらの記事は、静岡県で30年間以上続く教員サークル、シリウスのホームページに掲載されている教育実践法の一つをご紹介しています。

シリウスのホームページはこちら→ 静岡教育サークル/シリウス

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絵画指導のポイント

これまで、いろいろな方に教えてもらったことを書き出してみました。こうやってみるとずいぶんたくさんのポイントがあるものだな、と改めて思いました。どの教科でもそうだと思いますが、「これが絶対という指導方法はないのだ」と自分に言い聞かせています。ですから、常によりよい方法を探しているつもりです。
またまだ、絵を描くポイントはたくさんあると思います。もっともっといい絵を描かせたいと思います。ひとつの参考までということで、ご了承ください。

一気にこれだけの項目を指導しても子供は消化しきれませんので、低学年から少しずつ積み上げてゆくことが大切ですね。

1.どの題材でもそうですが、画用紙を縦に使った子が多い方がいい。

全体の比率は、横:縦=3~4:7~6くらい。
縦の絵は、バランスが崩れ、ぐらぐらと動きの出る絵になる。横の絵はどっしりと安定してしまう。

2.見学にいくようだったら、機械を先に描く。

人間は学校でも描ける。

3.学校で描く時のために、写真を撮っておく。

見学や校外の写生の場合は周りの風景もあとで使える。

4.描くものは、画面の半分より上の所に描く。【重要!】

一番下に描いてしまうと、色塗りの時に、上は空しかないのでとっても苦しい。そのほかのものをつけ加えることができなくなる。描く前に十分言い聞かせるといい。描写力のある子には、「上から見たように(バードビューで)描いてごらん」と声をかける。

5.下絵は、水性ペン(色は何でも)わりばしペン、絵の具一色などでする。

描くのが遅い子は、水性ペン。早い子はわりばしや絵の具で書く。(おまけ:カタツムリの線を描くにはわりばしや絵の具が良い。)スイスイ描けないので、よく見た曲がったおもしろい線が生まれる。水性ペンは、着色の時ににじむ効果が生まれる。

6.友達同士ならばせない。【重要!】

絵を見合って、同じ構図の絵になる。「隣の人の声が聞こえないくらい離れなさい」と指示する。描き始めたら、見回って近くの子同士を引き離す。同じ絵ばかりだと、展示したときにうまい子だけの絵が目立ってしまう。

7.機械・人物は、大きく描きすぎない。

大きく描くと、人間の描写を追求しなくてはならなくなる。小学生で人間の描写は大変。「ひとつのものは、手のひらの大きさぐらい。」

8.人間は6~7頭身ということをくどいほど言っておく。

必ず、頭でっかちの人間になる。「マンガの顔」にならないように(特に女子にありがち)。

9.離れた対象同士のつなぎを加える。

7を言うと、同じ大きさのものを、ポツンポツン描く子が出てくる。その時には、その離れたものをつなぐ線がほしい。たとえば、田んぼの絵のときはあぜ道や育苗箱などを作って(想像して)描く。

10.線を書くなら斜めに。

画面を二つに分けてしまうような、縦の線・横の線はやめさせたい。使うなら、斜めの線を使うようにする。

11.白い絵の具で修正。

下絵で間違ったときには、白の絵の具で塗って消す。

12.くまどり筆で着色する。

着色段階。筆は、くまどり筆がいい。一本で、細かくも広くも塗れる。

13.チューブから出したままの色は使わない。

つくった色を濃いめに塗る。画用紙の紙の白さが透けて見えないように。

14.パレットの小部屋にいろんな色を出させる。【重要!】

力のない子は、1色か2色しか絵の具を出していない。筆でチョンチョンと色をとり、画用紙にの上で色を混ぜる。こうすることによって、同じ色でも変化のある色合いが出てくる。大部屋は、使わせない方がいいくらい。きたない色をぐじゃぐじゃと作ってしまう子がいる。

15.パレットやバケツはきれいなものを使う。

パレットやバケツが汚れてきたら、きれいなものに交換する。惰性で汚い色をつけていってしまう。

16.黒・白は使わない。黒は強すぎる。白は色がぼやけてしまう。

使っていいときは、黒:髪の毛、車輪、電車のレール。白:水の下塗り、しぶき、背景処理の仕上げなど。

17.ものや人はていねいに塗る。

一般的に子どもは、機械 → 人間 → 背景 の順で塗っていく。
細かい仕事と雑な仕事が混在しているといいので、機械や人間はていねいに塗らせる。細かすぎる絵や不器用な子には、ラッションペンで塗らせる。早いし、見たときの印象が強くなる。

18.機械の部分は白色を浮かび上がらせる。

描写力があり、機械などこまーかく描いた子は、機械の部分を白く抜くといい。回りを紺で塗って、白を浮かび上がらせる。

19.ぜんぶに色をつける必要はない。

画用紙ぜーんぶに色をつけなくてもいい。息苦しくなるので。適当に色をつけていないところがあっていい。

20.下書きの線に神経質になりすぎない。

下書きの線と色塗りの線の割合が適当になるように。子どもの仕事なので、下書きの線が見え隠れするぐらいに塗るといい。あまり神経質に塗りすぎない。

21.絵が下に集中したら「キミコ方式」。

4のように、一番下に絵がきてしまった子。一番下に描いてしまったら、空は「キミコ方式」の空で仕上げる。青のすかっとした絵になる。
「キミコ方式」:一番上を濃い青で筆一本分塗り、一本下にいくごとに、水を含ませて徐々に薄くしていく。最後は青色の水でさっとなでる。全員の絵がこうなるとちょっと不自然な感じがする。

22.「きれいな色を作って塗ろう」と言い続ける。

田んぼの絵の場合は、背景処理のとき、田植えなら水の色、稲刈りなら稲刈りの色がいいようだ。やはり見ていて自然な感じがする。

3 プロフィール

静岡県教育サークル シリウス

1984年創立。
「理論より実践を語る」「子どもの事実で語る」「小さな事実から大きな結論を導かない」これがサークルの主な柱です。
最近では、技術だけではない理論の大切さも感じています。それは「子どもをよくみる」という誰もがしている当たり前のことでした。思想、信条関係なし。「子どもにとってより価値ある教師になりたい」という願いだけを共有しています。

4 書籍のご紹介

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5 編集後記

図工の時間の絵画作成だけでなく、社会科見学や理科の単元のスケッチの時にも使えるちょっとした工夫を数多くご紹介しました。「人間は6~7等身だから、頭が大きすぎるとバランスが悪くなってしまうよ。」など、子どもたちにぜひ一声かけてみてください。

(編集・文責:EDUPEDIA編集部 内藤かおり)

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