1 はじめに
こちらの記事は、静岡県で30年間以上続く教員サークル、シリウスのホームページに掲載されている教育実践法の一つをご紹介しています。
http://homepage1.nifty.com/moritake/
2 実践内容
家のかえってからの宿題をどのように進めていくか子どもたちに説明をしました。まず、黒板に「 自 学 」と書き
今年の宿題は「自学」というものをします。家でやる自分勉強のようなものです。自と学のあとに何か文字をつけ加えて「自学」を説明するとしたら、どんな言葉が入ると思いますか？
子どもたちはおもしろいですね。いろんな言葉を考えました。
「自」分で 「学」ぶ
「自」由に 「学」ぶ
「自」主的に「学」習する
「自」然に 「学」習する
「自」ら 「学」ぶ
こんなにもたくさんの「自学」の意味が出てきました。その通りなのです。自ら自主的に自由に自分で学びの力をつけてほしいと願っています。
しかし、「自由にやっておいで」と言うだけでは、何をやっていいのかわからない子もいます。そこでレストランに入ったときのようにメニューを用意しました。子どもたちはお客さんのように、自分の気に入ったものを選び、ノート見開き２ページおこないます。では、自学メニューとはどんなものでしょう。
Ａメニュー：毎日必ずやるもの（漢字ドリル、計算ドリル）
Ｂメニュー：ねばり強い思考作業を要するもの
Ｃメニュー：知的なドリル作業（現在、教科書で学習している内容）
Ｄメニュー：親、教師、子どもをむすぶもの（手紙や意見交換の場）
そのときどきの状況に応じて、子どもがやってみたいな、と思えるメニューを提供できたらいいなと思います。ただし、漢字・計算は学習の基本ですから、毎日やってもらうつもりです。一日にノート見開き2ページ分、土日は2日で1回分の提出とします。
自学メニューの例
自学メニュー No.1
Ａメニュー：毎日やるもの････やったページには○をつけていく
- 漢字ドリル 2，3，4ページ
- 計算ドリル 2，3，4ページ
Ｂメニュー：ねばり強い思考作業を
- 同じ班の人の紹介（なるべく楽しく書く）
- 学校から自分の家までの地図をくわしく書く
- 5年生のめあて（学習・運動・遊びなど）
Ｃメニュー：知的なドリル作業を
- 国語 授業でやった自己紹介の詩を書く（まねしていい）
- 社会 社会科資料集の絵をうつす
- 算数 算数めいろ（問題とめいろのある地図）をつくる
- 理科 理科の教科書を見ておもしろそうに思った実験の絵をかく
- 音楽 音楽の先生に自分の音楽の自己紹介をする（一番すきな歌など）
- 図工 名前の切り絵（漢字で書いた自分の名前）の設計図をかく
- 体育 体育の先生に自分の体育の自己紹介をする（自分の得意な種目、苦手な種目など）
- 家庭 家庭科の教科書を見て、やってみたいと思ったことを書く
自学メニュー No.2
Ａメニュー：毎日やるもの････やったページには○をつけていく
- 漢字ドリル 4，5，7ページ
- 計算ドリル 4，5，6ページ
Ｂメニュー：ねばり強い思考作業を
- 同じ班の人の紹介
- 今のクラスになって、よかったこと
- いま、一番たのしいこと
Ｃメニュー：知的なドリル作業を
- 国語 「ヤドカリ探検隊」ですきな場面の絵を描く（色つき）
- 社会 米のつぶをよーく見て絵を描く
- 算数 計算ドリルと同じような問題をつくる
- 理科 メダカを見ていて、気がついたことを書く
- 音楽 肥田先生に自分の音楽の自己紹介をする（一番すきな歌など）
- 図工 図工の本を見て、やってみたい勉強を写す
- 体育 体育の先生に自分の体育の自己紹介をする（自分の得意な種目、苦手な種目など）
- 家庭 お茶やお菓子を食べて思ったこと・気づいたことを書く
Ｄメニュー：子供、親、教師をつなぐもの
- 家庭訪問の時に、家の人から先生に言ってほしくないことを親と話す
- 家の人へのお願いを考える「５年生になったのだから○○はやめてほしい」
自学メニュー No.3
Ａメニュー：毎日やるもの････やったページには○をつけていく
- 漢字ドリル 25，27，29ページ
- 計算ドリル 29，30，31ページ
Ｂメニュー：ねばり強い思考作業を
- 同じ班の人の紹介
- 今のクラスになって、よかったこと
- いま、一番たのしいこと
Ｃメニュー：知的なドリル作業を
- 国語 今学んでいる単元の文章を少し写す
- 社会 地球の環境問題で知っていることを書く
- 算数 計算ドリルと同じような問題をつくる
- 理科 今日見た月の形の名前を調べ、絵を描いてみる
- 音楽 いま勉強していること、頑張りたいことを書く
- 図工 家から見える風景を描く
- 体育 鉄棒の技でできる技・できない技を書き、絵に表す
- 家庭 裁縫で作ってみたい小物を考え、完成図を描く
Ｄメニュー：子供、親、教師をつなぐもの
- 家の中で一番光っている人（頭ではない！）
- わたしの見つけたクラスのニュース ベスト3
3 プロフィール
静岡県教育サークル シリウス
1984年創立。
「理論より実践を語る」「子どもの事実で語る」「小さな事実から大きな結論を導かない」これがサークルの主な柱です。
最近では、技術だけではない理論の大切さも感じています。それは「子どもをよくみる」という誰もがしている当たり前のことでした。思想、信条関係なし。「子どもにとってより価値ある教師になりたい」という願いだけを共有しています。
4 書籍のご紹介
「教室掲示 レイアウトアイデア事典」（明治図書2014/2/21発売）
「学級＆授業ゲームアイデア事典」（2014/7/25発売）
「係活動システム＆アイデア事典」（2015/2/27発売）
「学級開きルール＆アイデア事典」（2015/3/12発売）
5 編集後記
自分で主体的に学習する習慣を身につけるための実践です。いろいろな科目で思考力を育てる工夫が満載ですので、ぜひお試しください。
（編集・文責：EDUPEDIA編集部 内藤かおり）
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