1 はじめに
こちらの記事は、静岡県で30年間以上続く教員サークル、シリウスのホームページに掲載されている教育実践法の一つをご紹介しています。
http://homepage1.nifty.com/moritake/
2 実践内容
5年生ではたくさん国語辞典を使ってほしいと考えている。1つの言葉にこだわって調べていくと、それを核としていろいろな方向に学習が広がる。また調べることの基本はやはり「辞書を引く」ことである。辞書に慣れるためにこんな授業をした。
1.国語辞典を書く人の気持ちになってみよう
(問いかけ)「今日はみんなに国語辞典を作ってもらいます。『海』とはどんな意味ですか?国語辞典を書く人になったつもりで『海』の意味を考えてみましょう。」
普段当たり前に使っている言葉の意味を改めて問われて「ええー!」と子どもたち。
それでも何とか次のような意味を考えた。
まだ謎の多い場所。塩水で青い。
国語辞典を引いて意味を調べてみると
【海】 地球の表面上の塩分をたたえた広い場所
とあった。同じように【学校】【右】についても、定義を考える→辞書で調べる、という活動をした。
「学校」についてはなかなかうまく考えていたが、「右」では、問題を聞いて一瞬「へ?」となった。子ども達が苦心して考えた「右」の意味は
- 東側。太陽と月が下りる方。
- お箸を持つほうの手
辞典では
【右】 日の出に向かって南側にある方。南を向いたときに西にあたる方
2.ゲームをして国語辞典を使おう
次に辞書を引くトレーニングを兼ねて、2人1組のゲームをおこなった。
「今から黒板に5つ言葉を書きます。2人1組で協力をして、3分間でいくつ調べられるかというゲームをします。」
[かえる] [楽しい] [げいめい] [グラフ] [むてっぽう]
この5つを黒板に書いた。子ども達は二人で辞書をのぞき込んで必死になってページをめくっている。少しずつルールを変えて合計3回のゲームを行った。
- 1回目:2人共同で5つの言葉をさがす。3分間。
- 2回目:2人共同で5つの言葉をさがす。2分間。
- 3回目:1人ずつ言葉をさがす。2人の見つけたの数を合計する。
1回目で5つ全部を調べられたチームはなかった。
2回目は同じく5文字であるが時間は二分間。「こっちだ」「あった」の声が飛び交う。2分後に聞いてみると4つ調べられた人が1チームでトップだった。確実に早くなっているのがわかる。
3回目は1人1冊ずつ辞書を持ち、2人の合計数で競った。パーフェクトのチームはみんなから拍手を受けた。
3 プロフィール
静岡県教育サークル シリウス
1984年創立。
「理論より実践を語る」「子どもの事実で語る」「小さな事実から大きな結論を導かない」これがサークルの主な柱です。
最近では、技術だけではない理論の大切さも感じています。それは「子どもをよくみる」という誰もがしている当たり前のことでした。思想、信条関係なし。「子どもにとってより価値ある教師になりたい」という願いだけを共有しています。
4 書籍のご紹介
「教室掲示 レイアウトアイデア事典」(明治図書2014/2/21発売)
「学級&授業ゲームアイデア事典」(2014/7/25発売)
「係活動システム&アイデア事典」(2015/2/27発売)
「学級開きルール&アイデア事典」(2015/3/12発売)
5 編集後記
日ごろ当たり前のように引いている国語辞書ですが、素早く引けるようになるのは大変でした。この実践のように、ゲームのように楽しんで練習出来るといいと思いました。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 宮嶋 隼司)
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