私たちのくらしと政治文 13 ~ニセ国会を開こう~

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目次

1 はじめに

こちらの記事は、静岡県で30年間以上続く教員サークル、シリウスのホームページに掲載されている教育実践法の一つをご紹介しています。

http://homepage1.nifty.com/moritake/

2 実践内容

国会の三つの働き

今回は、国会のしくみと働きについて学習をしました。国会には大きく次の三つの働きがあります。
1 法律を作る
・国会は国民を代表して、国民の意見を反映させるための場所。
2 予算を立てる
・国の政治に必要な収入と支出の見積もりをする。
3 総理大臣を決める
・国会議員の中から総理大臣を決め、総理大臣は内閣を作る。
 

国会議事堂クイズ

まずは「国会議事堂クイズ」で、国会についての理解を深めました。

    国会クイズをしてみましょう。まずは自分の力でやってみま
指示1 す。(しばらくたったら)教科書や資料集を見て、間違って
    いるところがあったら直していいよ。
 
本を見ながら、二院制のこと、赤いじゅうたんのことなど気づいたようです。中には修学旅行のしおりを見て、正解を見つけた子もいました。クイズの答えを解説して、国会には上の三つの働きがあることを押さえました。次に法律づくりをしました。

ニセ国会を開こう

法律をつくる

    ニセ国会を開きましょう。クラスを半分にして、一つは衆議
    院、もう一つを参議院とします。それぞれの議会で何か法律
指示2 を作って下さい。法律ができたら、それをもう一つの議会で
    審議します。OKが出れば新しい法律ができたことになりま
    す。もしOKでなければ、その法律は廃案になります。この
    仕組みを二院制と言います。
 

このように二院制の仕組みについて、実際に体験をしてみることにしました。議
長を決めて、席を扇型にすれば、気分はもう国会議事堂です。机を議長の方に向けると、ちょうど国会議事堂のような体型になりました。様々な法案が出たようだが、次の結果になりました。
 1~3班議会:教室の前になる本棚をいつも整頓して綺麗にする
       →4~6班議会で承認、法案は可決。
 4~6班議会:消費税を完全になくす。
       1~3班議会で否決、法案は廃案。

大臣を決める

次に、予算を立てること、総理大臣を決め内閣を組織することについてのシュミレーションを行いました。やはり、クラスを半分に分けて

    それぞれの議会で、総理大臣と議長を決めて下さい。それが
指示3 決まったら、大蔵省、文部省のように各省庁の大臣を決めて
    いきます。ひとりが一つの大臣に就任して下さい。
 

子どもたちは、資料集を見ながら「何省にしようかな」「ぼくは○○省にな
りたい」と決めていきました。各省庁の大臣が決まったところで、日本の総予算
を立てることにしました。平成12年度の日本の総予算額が約81兆円であることを
教えると、その額の大きさに驚いていました。予算がわかったところで、内閣
(大臣)は、予算獲得のために陳情をおこないました。

予算を立てる

    各大臣は、国民のためになるようなことを考えて、予算を請
指示4 求して下さい。予算は81兆円ありますから、各省庁で上手に
    分けて下さい。では、国民のためになることを考えて、ノー
    トに書きましょう。
 

国民のためになること、というのがポイントです。各大臣はどんなことを考えたのでしょう。
 ・文部省:国民のために学校を建設するので、8兆5億円下さい。またよ
      い教科書を作るために1兆円下さい。
 ・郵政省:郵便局を大きくしたい。電波塔を建てて、電波をより遠くまで
      飛ばせるようにしたい。
 ・農水省:田畑を耕すのにお金がなくて、手作業の農家に機械を買ってあ
      げたい。
 ・外務省:外国の子どもと仲よくするために、小中学校に外国の子どもに
      来てもらいので、1~2億円ほしいです。
 ・宮内庁:天皇のために、服も新しく、部屋もきれいにしたい。天皇は日
      本の象徴だから、きれいにすれば、日本のイメージもよくなる
 ・通産省:景気が悪いから、コンビニ、デパート、動物園を作る。10兆円
      くらいほしい。
 ・建設省:レッドバロン(学校近くのいつも混んでいる危ないところ)の
      ところの道を広くする。
 ・防衛庁:軍隊を作るから、50兆円くれ。

超タカ派の防衛庁長官があらわれ、予算の半分以上を要求しました。これは各大
臣から激しく批判され、国会はカンカンガクガクの大混乱となりました。その他
の大臣の政策はどれもステキです。こんな大臣がたくさんいれば、日本の国ももっとよくなりそうです。

3 プロフィール

静岡県教育サークル

1984年創立。

「理論より実践を語る」「子どもの事実で語る」「小さな事実から大きな結論を導かない」これがサークルの主な柱です。

最近では、技術だけではない理論の大切さも感じています。それは「子どもをよくみる」という誰もがしている当たり前のことでした。

思想、信条関係なし。「子どもにとってより価値ある教師になりたい」という願いだけを共有しています。
(2015年1月時点のものです)

4 書籍のご紹介

「教室掲示 レイアウトアイデア事典」(明治図書2014/2/21発売)

「学級&授業ゲームアイデア事典」(2014/7/25発売)

「係活動システム&アイデア事典」(2015/2/27発売)

「学級開きルール&アイデア事典」(2015/3/12発売)

5 編集後記

「ニセ国会」という響きも、大臣になれることも、わくわくしてしまいます。教えてもらったことをその場でやってみることができるので、楽しく印象に残る実践だと思います。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 森七恵)

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