1 はじめに
こちらの記事は、静岡県で30年間以上続く教員サークル、シリウスのホームページに掲載されている教育実践法の一つをご紹介しています。
http://homepage1.nifty.com/moritake/
2 実践内容
国会の三つの働き
今回は、国会のしくみと働きについて学習をしました。国会には大きく次の三つの働きがあります。
1 法律を作る
・国会は国民を代表して、国民の意見を反映させるための場所。
2 予算を立てる
・国の政治に必要な収入と支出の見積もりをする。
3 総理大臣を決める
・国会議員の中から総理大臣を決め、総理大臣は内閣を作る。
国会議事堂クイズ
まずは「国会議事堂クイズ」で、国会についての理解を深めました。
国会クイズをしてみましょう。まずは自分の力でやってみま
指示1 す。(しばらくたったら)教科書や資料集を見て、間違って
いるところがあったら直していいよ。
本を見ながら、二院制のこと、赤いじゅうたんのことなど気づいたようです。中には修学旅行のしおりを見て、正解を見つけた子もいました。クイズの答えを解説して、国会には上の三つの働きがあることを押さえました。次に法律づくりをしました。
ニセ国会を開こう
法律をつくる
ニセ国会を開きましょう。クラスを半分にして、一つは衆議
院、もう一つを参議院とします。それぞれの議会で何か法律
指示2 を作って下さい。法律ができたら、それをもう一つの議会で
審議します。OKが出れば新しい法律ができたことになりま
す。もしOKでなければ、その法律は廃案になります。この
仕組みを二院制と言います。
このように二院制の仕組みについて、実際に体験をしてみることにしました。議
長を決めて、席を扇型にすれば、気分はもう国会議事堂です。机を議長の方に向けると、ちょうど国会議事堂のような体型になりました。様々な法案が出たようだが、次の結果になりました。
1~3班議会:教室の前になる本棚をいつも整頓して綺麗にする
→4~6班議会で承認、法案は可決。
4~6班議会:消費税を完全になくす。
1~3班議会で否決、法案は廃案。
大臣を決める
次に、予算を立てること、総理大臣を決め内閣を組織することについてのシュミレーションを行いました。やはり、クラスを半分に分けて
それぞれの議会で、総理大臣と議長を決めて下さい。それが
指示3 決まったら、大蔵省、文部省のように各省庁の大臣を決めて
いきます。ひとりが一つの大臣に就任して下さい。
子どもたちは、資料集を見ながら「何省にしようかな」「ぼくは○○省にな
りたい」と決めていきました。各省庁の大臣が決まったところで、日本の総予算
を立てることにしました。平成12年度の日本の総予算額が約81兆円であることを
教えると、その額の大きさに驚いていました。予算がわかったところで、内閣
(大臣)は、予算獲得のために陳情をおこないました。
予算を立てる
各大臣は、国民のためになるようなことを考えて、予算を請
指示4 求して下さい。予算は81兆円ありますから、各省庁で上手に
分けて下さい。では、国民のためになることを考えて、ノー
トに書きましょう。
国民のためになること、というのがポイントです。各大臣はどんなことを考えたのでしょう。
・文部省:国民のために学校を建設するので、8兆5億円下さい。またよ
い教科書を作るために1兆円下さい。
・郵政省:郵便局を大きくしたい。電波塔を建てて、電波をより遠くまで
飛ばせるようにしたい。
・農水省:田畑を耕すのにお金がなくて、手作業の農家に機械を買ってあ
げたい。
・外務省:外国の子どもと仲よくするために、小中学校に外国の子どもに
来てもらいので、1~2億円ほしいです。
・宮内庁:天皇のために、服も新しく、部屋もきれいにしたい。天皇は日
本の象徴だから、きれいにすれば、日本のイメージもよくなる
・通産省:景気が悪いから、コンビニ、デパート、動物園を作る。10兆円
くらいほしい。
・建設省:レッドバロン(学校近くのいつも混んでいる危ないところ)の
ところの道を広くする。
・防衛庁:軍隊を作るから、50兆円くれ。
超タカ派の防衛庁長官があらわれ、予算の半分以上を要求しました。これは各大
臣から激しく批判され、国会はカンカンガクガクの大混乱となりました。その他
の大臣の政策はどれもステキです。こんな大臣がたくさんいれば、日本の国ももっとよくなりそうです。
3 プロフィール
静岡県教育サークル
1984年創立。
「理論より実践を語る」「子どもの事実で語る」「小さな事実から大きな結論を導かない」これがサークルの主な柱です。
最近では、技術だけではない理論の大切さも感じています。それは「子どもをよくみる」という誰もがしている当たり前のことでした。
思想、信条関係なし。「子どもにとってより価値ある教師になりたい」という願いだけを共有しています。
(2015年1月時点のものです)
4 書籍のご紹介
「教室掲示 レイアウトアイデア事典」(明治図書2014/2/21発売)
「学級&授業ゲームアイデア事典」(2014/7/25発売)
「係活動システム&アイデア事典」(2015/2/27発売)
「学級開きルール&アイデア事典」(2015/3/12発売)
5 編集後記
「ニセ国会」という響きも、大臣になれることも、わくわくしてしまいます。教えてもらったことをその場でやってみることができるので、楽しく印象に残る実践だと思います。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 森七恵)
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