目次
1 概要
明治新政府の諸政策を考え、交流するという授業。
2 指導者のねらい
1868年に江戸幕府に代わり、天皇を中心とした政府がつくられた。明治新政府は、1853年の黒船来航をはじめ、1858年の日米修好通商条約における不平等条約の改正など、近代的な国家をつくることが急務だった。
西郷隆盛・木戸孝允・大久保利通などをはじめとした、明治の人々が新しい世の中に何を願い、どのような考えで政策を考えたのかを共感させたい。そのため、シュミレーションゲームという形式をとり、既習事項を活用しながら表現する場として、政策を考えるという教育活動を選択した。
3 対象
6年生
4 場面
勤務校では東京書籍の教科書を使用している。教科書の資料を用いて、江戸時代と明治時代の教育や日本橋の様子を比べたのち、五箇条の御誓文・身分解放令を学習した後で実施した。
5 準備するもの
出来事が書かれたイベントカード ※()は関わる政策
- 藩があることで明治政府の考えが伝わりにくい(廃藩置県)
- 外国の脅威(徴兵令)
- 外国人技師がやってきて技術を教えてくれた(殖産興業)
- 税金が安定しなくて困る(地租改正)
- 男女関係なく、せっかく新しい世の中になったのだから勉強したい(学制)
資料集
6 内容
1 江戸時代までの年貢・身分制度・不平等条約について復習をする。
2 「みなさんは明治新政府の一員です。新しい時代に必要な政策を考えましょう。」と話し、個人思考させる。
3 個人思考後、3〜4人グループになり、各グループで3つの政策を考える。
4 途中で2〜3分程度の間隔でイベントカードを出していく。
5 考えた政策を発表し合う。
【児童の政策例】
- みんなで話し合って物事を決める場をつくる。
- 身分に関係なく能力の高い人を登用する。
- 外国に恐れられるように強い軍隊をつくる。
- 外国から学んで、大量生産ができるようにする。
- 税は米ではなく価値が安定しているお金で納めてもらう。
- 国から役員を派遣して、明治政府の考えが全国に伝わるようにする。
6 本時の振り返りをする。
7 次時に明治新政府の改革の内容と自由民権運動の流れを学習させる。
7 授業を終えて
学級内で学力差が大きく、歴史が得意な子も苦手な子も楽しんで参加できる実践をしたいと考えた。
また、予習をして、単語を覚えていても、どのような意図でその政策ができていたのかを知っているか否かで、今後の時代を学習する差が出てくる。
例えば、日本が近代化を急いだ背景を捉えていることで、陸奥宗光や小村寿太郎などによる不平等条約の改正の重要性を感じ取れるか否かなどにも繋がってくるだろう。
授業を終えて、児童は
「明治新政府の人々は、短い間にたくさんの政策を考え、実行していてすごい。」
「今の時代の基礎ができてきた。」
「外国に近代的な国じゃないと認めてもらえないなんて悔しかったと思う。」
などと感想を持っていた。
大日本帝国憲法でも、本時で学習したことや、児童が考えたことは生かされているのかなどと議論になった。
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