【教員採用試験 合格者インタビュー】先生になりたくなかった私

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平成27年度実施の小学校・教員採用試験に合格したEさん(新卒)に、先生を目指すきっかけや、どんな先生になりたいか、卒業研究を通して強まった思いなどについてお話を伺いました。(H27,12月)

先生を目指そうと思ったきっかけは何ですか?

絶対、先生にならない!

私の母は教員をしていましたが、その姿を見て「絶対に教員にはならない」と思っていました。母は仕事が忙しくて家にほとんどいなくて、家ではずっとひとりぼっちでした。「自分の娘にこんなに寂しい思いをさせながらも、学校では他の子を相手にしている。他の子の方がかわいいのか」と思い、どうしても許せなかったです。

そんな私が「先生って素敵だな」と思ったきっかけは、小学校6年生・中学3年の時の先生です。先生に、私が抱えている寂しさを受け入れてもらえたことがとても嬉しかったです。中学の先生からは長文の手紙を頂きましたが、今でも大切にしています。母があまり近くにいなかった分、学校の先生が自分をしっかりみてくれていたことがとても印象に残っています。

そのように、家庭の事情などでひとりぼっちの孤独感を抱いている子がいても、学校でいろいろな人と関わり、支え合えっていけたら良いなと思いました。

どんな先生になりたいですか?

雑巾がけを楽しめる先生

採用試験で提出する面接カードの「自分がなりたい教師像」という欄に、「雑巾がけを一緒にする先生」と書きました。雑巾がけってつらいじゃないですか、冬はすごく冷たいですし。でも、それを子どもたちと一緒に「今日負けたよ~。今日は先生が勝ったぞ」とか言いながら、一緒に楽しみたいです。そんな風に、子どもに寄り添える先生になるのが私の夢です。多分、4月から子どもたちと雑巾がけをしてますね。

先生になったらどんな授業がしたいですか?

実践記録を見たのがきっかけですが、総合学習で「いかだで川下りをしよう」という授業をしたいです、

クラスのみんなで地元にある川をいかだ下りする授業ができたら楽しいなと思います。その川はもともと水が少ないのですが、雨が降ったら水量が上がって下れるようになります。でも、水がない分ゴミが溜まってしまうんです。なので、実際に川に行ってみると、川を下りたいと思っていた子どもたちは、「こんなにゴミがあったら、自分たちが川下りをする時、汚いんじゃないか」と思います。そうなると、「まずは川を綺麗にするところから、自分たちの川下りは始まるぞ」となります。

このように、ただこちらから「川を綺麗にするためにゴミを拾いましょう」と指示するのではなく、川下りという目標に向かって川を綺麗にしたいという気持ちが、子どもの内側から湧き出てくるような授業ができたら素敵だなと考えています。

卒業研究はどんな研究をしましたか?

私の卒業論文のタイトルは、『「ひとりでいられること」の研究』というもので、テーマとしては「孤独」です。このテーマに決めたのは、もともと自分が一人の時間が好きだということもありますが、教育現場で多く言われるような「みんなで○○しよう」という集団としてのまとまりを育む側面に違和感を抱いたためです。

この卒論で述べたかったのは、ひとりでいる状態に潜んでいる肯定的な側面でした。他者に依存することなく、しかし孤立するわけでもなく、適度に人と関わり合って生きていく能力の重要性について述べているのですが、教育現場においても同様の事が言えるのではないかと思っています。

つまり、場面によって、ひとりでいるか他者と協働するか選ぶという判断力を養うといいだろうし、課題に対して「これは誰かと取り組まなきゃ大変だぞ」って子どもが思ったのなら、すぐに他の子と協力しようとするコミュニケーション能力などをつけるべきなのだろうと思うのです。なんでもかんでも「みんな」が尊重されるのではなく、他者を必要とするときに素直に「一緒にやろう」と言える姿勢を育みたい、という思いは研究を通して強くなりました。

子どもや先生との関わりで、忘れられない言葉はありますか?

「厳しいけど、すごく温かい先生」

1つ目は子どもの言葉です。
今は退職されましたが、お世話になった先生がいます。普段は優しいのですが、叱るところはとても厳しく叱る先生でした。私が学校ボランティアをしている時に、その先生が担当をしていた学年と体験学習に行くことがあり、子どもたちとその先生の話になりました。その時、子どもたちは「あの先生はすごく厳しかったんだよね。でも、すごい温かい感じがしてたんだ」と話してくれました。子どもたちには、勉強の内容や先生から言われた言葉だけでなく、先生の厳しさや温かい心など、いろいろなものが伝わっているんだなと思い、先生という仕事の影響力の強さを感じました。

もう1つは、その先生に採用試験の合格を報告した時に言われた言葉なんですが、「先生という仕事は何十年も続けると、すごく辛いこともあると思うけど、終わった時に必ずやってて良かったと思える仕事だよ」という言葉が心に残っています。

先生を目指す方へメッセージをお願いします

昨年の自分を振り返ると、採用試験の勉強をしているというよりも、4月から教壇に立つ準備をしているという意識が強かったように思います。そうした意識をもっていると、面接での質問の意図をくむことや教育政策の理解も進みました。

偉そうなことを言うようですが、教員になることがゴールではなく、スタートに過ぎないという意識をもっていると、採用試験も難なく乗り越えられるのではないかと思います。

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