教員になることを目指し、NPO法人ROJEの「学校ボランティアプロジェクト(VP)」でボランティア活動を行っていた方々へのインタビューをお届けします。
なぜ学校ボランティア活動をしたいと思ったのか、ボランティアをしている中で得たものは何だったのでしょうか。
今回は、2017年度から横浜市の小学校教員になったYさんにインタビューをしました。
「大学生の時から学校現場に入ってみたい」と思う方必見です!
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1 なぜボランティア活動を始めようと思ったのか
私の所属している学科(インタビュー当時)は日本語教育の学科です。そこでは、日本の学校に通っている外国にルーツのある子どもたちに日本語を教えたり、学校生活を支援したりする学科です。
私がその学科を志望したのは、元々先生になろうと思っていたわけではなく、日本では外国にルーツのある子どもたちに対してどのような支援をしているのかを見てみたかったからです。そして教授の紹介で、横浜市の外国につながる子どもが多数在籍している小学校でボランティア活動をさせていただきました。
2 先生を目指すきっかけはありましたか
先ほどのボランティア活動は、大学1年生の1年間だけ通っていました。その際に小学校1年生に入らせていただきました。1年生は早生まれの子と遅生まれの子では、入学した時の体の大きさが全然違ったことに驚きました。
その中に給食を時間内に食べきれず、その後の休み時間の間でも食べきれない子がいました。しかし、活動で一緒に過ごしていくうちに、給食を時間内に食べきることができ、さらにおかわりをしたこともありました。
その姿を見て、私はとても嬉しい気持ちになりました。子どもにとっても、できなかったことができるようになることは、すごいことなのだと強く感じました。
また、そのような子どもの成長を日々見ることができるのが、先生の仕事の魅力なのだと感じました。その時、自分もそんな先生になりたいと思いました。
3 ボランティア活動の一日の流れをおしえていただけますか?
私は、大学1年生の1年間、月曜日に通っていました。
朝の8時には学校に着くようにしていました。そこから着替えて、クラスに入らせていただいている担任の先生とその日の時間割を見ながら、どういうことをするのかを打ち合わせしていました。加えて、私にどのようなことをしてほしいのかも聞いていました。
打ち合わせが終わると登校時間になるので、校庭に出て挨拶です。
授業が始まったら、先生から担当を任されている子の隣に行き、一緒に勉強をしていました。授業中は、問題を簡単な日本語に直したり、今どういうことをしているのかを確認したりしながら、一緒に授業に取り組めるようサポートをしていました。
それを5時間目まで繰り返しながら、2時半に帰りの会をして子どもたちを送り出していました。
放課後は担任の先生とその日の子どもの様子などを確認したり、私のいなかった間、クラスはどのような様子だったのか話したりしていました。
それが終わったら個人の振り返りとして、その日の支援記録を校長先生に提出して15時くらいには学校を出る、というような流れでした。
4 ボランティア活動をしている中で得られたものはありますか?
私がボランティア活動をしている中で得られたことは三つあります。
①先生は忙しい
先生はとても忙しいということをボランティアに行って一番感じたことです。クラスの子ども全員と話をすることを心がけることは、一見簡単そうに見えて非常に難しいのだとボランティアに入らせていただいて感じました。
また私は二つの目で見ることの重要性を感じました。二つの目とは、毎朝子どもの様子を把握する目、授業の時に子どもたちはどのような様子なのかを見る目、この二つです。それを知れたことは私にとってボランティアをしている中で非常に価値あるものでした。
②その場その場で全力になること
私は週に一回しか行けないので、その一回で出来ることは非常に限られていて、自分が子どもたちの成長に関わることは難しいと思っています。なぜなら、自分がいなくても毎日が過ぎていってしまうからです。
なので、自分が子どもに対して「どうすることができるのか」と考えるよりも、全力で一緒にいて話を聞いてあげることが非常に大事だと感じました。それが分かってから、それを意識しながら子どもたちと接するようになりました。教員志望としてではなくて、ボランティアに入る立場として必要なことだと思います。
それに加えて、ボランティアに行き続けることも大事だと思っています。毎日学校に来る子どもたちにとって週に一回は非常に少ないと思います。「○曜日だから、○○先生の来る日だ!」と覚えてもらうと、子どもたちと仲良くなったと実感も湧いてきます。
③先生それぞれの色がある
ボランティアに行く前は、子どもとの上手な接し方が分からないから先生になりたくないと思っていました。加えて、自分は子どもが苦手だと勝手に思っていました。しかし、教育実習やボランティア活動を通して、気づいたことがあります。
それは、先生一人一人のカラーがあるということです。例えば、子どもの関わり方でも、先生と子どもの距離がすごく近い先生もいれば、一定の距離を保って教壇に立っている先生もいました。
私は、ボランティアに入る前に「あの子には、このように接してみようかな」と考えて臨むのではなく、それぞれ違う先生から様々な関わりかたのパターンを学んでいく中で、自分なりの接し方を身に付けていきました。そして、「自分なりの関わり方をすればいいんだ」と思い、安心しました。
5 自分が目指す教師像はありますか?
私が目指す教師像は、「共感できる先生」です。
先生と子どもという立場の中で、子どもたちにこうなってほしい、こういう行動を取ってほしい、といった願いがあると思います。
しかし、自分の思いを通そうとする前に、まずは子どものやりたいことや考えていること、感じていることに対して「確かにそうだよね。」と思える心に余裕のある先生になりたいと思っています。これは、ボランティア活動を通して気付いたことです。
6 今後ボランティア活動をしてみたい・教員志望の方へメッセージ
私が最後に言いたいことは二つあります。
①ボランティアという立場をすごく大事にしてほしい
子どもと同じ立場に立って学校生活を送れるのはボランティアだからできることです。その立場をすごく大事にしてほしいと思います。
また、その立場でしか学べないこともあったし、その立場に立つ経験があったからこそ私自身の目指す教師像が定まりました。試しに数回行くだけではなく、継続的に活動することで学びは大きくなります。
②様々な子どもがいるという視点を持つことが大事さ
私は、ボランティアしていたこともあり、外国にルーツを持つ子どもへの思いが強いです。将来先生になる立場として、いろいろな子どもたちがいるという視点は大事だと感じています。
その子が生まれた背景や、言語的・文化的にも今まで接したことのないタイプの子どもたちが学校現場にはいる、ということを知ってほしいと思います。また、ボランティアでは、その子がどういう背景を持っているのか、ということも意識して活動してもらえたら嬉しいです。
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