【教員採用試験 合格者インタビュー】忘れられない 子どもたちの顔

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京都府小学校・教員採用試験に合格したYさんに、先生を目指すきっかけや、印象的な先生との関わり、現場でのボランティア経験での具体的なエピソードについてお話を伺いました。(H27,12)

先生を目指そうと思ったのはいつ頃からですか?

勉強に魅了を感じさせてくれた先生

初めて教師になりたいと思ったのは中学1年生の秋のある夜でした。小学校3年生から野球を続けていて、当時プロ野球選手になる夢がありました。そのための計画を立てていましたが、自分がそこまで上手くないことに気づいて、プロは無理だと悟り諦めました。

そこで、次の目標を何にしようかと考えたときに、「先生」という選択肢がなんとなく浮かびました。それは、両親祖父母がみんな教師で、身近に触れてきた職業だったからかもしれません。他の仕事を全く知らなかったというのもありますが、父が生徒と電話で連絡を取る姿や母がテストなどの丸つけをする姿を見ていたため、先生という仕事がイメージしやすかったのだと思います。

それから高校3年生までは、なんとなく教師になりたいなという感じでしたが、高校3年生の選択科目で地理の授業を受けた時、自分の中で変化がありました。地理担当の先生がすごく面白くて、海外での経験談などを話してくれました。私は小さい頃から地図が好きで、国名や首都は覚えていましたが、その先生の授業を受けてさらに地理の勉強に魅力を感じるようになりました。それがきっかけで、「教師になりたい」という漠然としたイメージから、「高校地理の先生になりたい」という具体的な目標になりました。そこで、高校地理の免許がとれる大学の地理学専攻へ進みました。

小学校の先生を目指そうと思ったのは、何かきっかけがあったのですか?

教育NPO団体での経験

大学1回生の時、サークルで野球をするのは止めておこうと思って入りませんでした。何か将来に生かせることがしたいという思いで、教育NPOの団体に入りました。団体では毎週土曜日に勉強会やワークショップを行い、仲間と教育について語り合いました。高校生までは自分の受けてきた教育しか知らなかったけれど、大学生になり、それぞれが経験してきた教育について語ることができたのがとても新鮮でした。

その団体で私は、東日本大震災で被災し京都市に引っ越してきた子どもと勉強をするという活動を行いました。週1回の活動でしたが、小学生・中学生と関わる機会を持つことができました。その活動を通して、勉強を教えることや休憩時間に一緒に遊ぶことも含め、小学生と関わることが楽しいと感じました。それまでは高校教師を目指し、中高の免許取得のみを考えていましたが、小学校教師になることも視野に入れ、大学1回生の夏に通信大学で小学校の免許をとろうと決意しました。

小学校ボランティアでの経験

それと同時に、小学校の学校現場にも入ってみたいと思い、長期休暇中に母校へボランティアに行きました。京都府教育委員会中丹教育局が「サポートメイト」という学校ボランティアを募集していたので、それに応募しました。学校では、基本的にはT2(担任の補助として授業を支える)としてクラスに入ります。主に学習補助や運動会のダンスの練習補助をしていました。期間中は1つのクラスに入っていました。2回生時は6年生で、3回生時は2年生でした。一度だけ、2年生の合同体育の授業を僕の主導でさせていただきました。

学校で小学生と接していると、何より自分自身が楽しんでいると感じました。休み時間の外遊びなど子どもたちと一緒に楽しめる時間が多く、授業でのやりとりも反応が分かりやすく、張りあいがありました。それから、高校で地理を教えることより、自分には小学校の先生の方が向いているのかもしれないという考えが出てきました。

大学4回生の6月、教育実習で中学校(社会科)へ行きました。3回生2月から4回生5月まで京都府「教師力養成講座」(以下、教師塾)で小学校に通っていたからか、中学生は思ったより大人で、少し距離を感じました。10月には、小学校の教育実習に行きました。1年生を担当しましたが、教師塾では小学校4,6年生の英語・社会が中心だったので、とても新鮮でした。休み時間はひたすら鬼ごっごなどをして子どもたちと遊んでいました。実習前までは、社会や外国語活動を教えてみたいと考えていたので自分には高学年担当が向いていると思っていましたが、低学年も魅力的だなと感じました。低学年の子は、子どもらしさに溢れていて本当に可愛かったです。目がキラキラしていて、すべてをプラスに持っていくような上向きなエネルギーを感じました。

小学校か中高の先生か、迷いませんでしたか?

絶対に小学校の先生になろうと決意

教師塾が終わった後も、そのまま同じ小学校でボランティアをしていた時のことです。5年生の野外実習の引率(2泊3日県外)をすることになりました。野外実習では、キャンプファイヤー・集団活動・きもだめし・マリンスポーツなどを行いました。

その中でもマリンスポーツの「カッター訓練」がとても印象的でした。2人で1つのオールを持ち、クラス全員でタイミングと力を合わせて漕ぐというものです。他のクラスの船が進む中、自分のクラスの船だけ進みませんでした。たくさん汗をかきながら漕いでいるのに、オールが重くてなかなか進まない、でも進まなければ岸に帰って来られないという状況でした。本当に苦しかったと思います。しかも、自分のクラスの船頭さん(インストラクター)だけがすごく厳しくて、上手く漕げない子を名指しで怒っていました。子どもたちからすれば初めての体験なのにいきなり大声で注意されて、本当にきつかったと思います。

その時の子どもたちの顔が忘れられません。一人一人が人生の中で一番つらいくらいの顔をしていて、泣く子もいました。でも、それはしんどいだけの顔ではなく、「ここを乗り越えたい、やるしかない、やりとげたい、成し遂げて帰りたい」という思いを感じられました。普段は明るくポジティブで上向きなエネルギーを感じる子どもたちなのに、ここでは「つらい中で頑張ろうとする子どもたちのエネルギー」が感じられました。あの時の子どもたちの顔がもう一度見たい、だから絶対小学校の先生になろうと決意しました。

ボランティアや実習で学校に入ると様々な面が見えてくると思います。学校や教師の仕事の嫌な面が見えて、教師になることをやめようと思うことはなかったですか?

私の行った学校は全て「チーム学校」という感じでした。学生ボランティアにも丁寧にフィードバックをくださいました。ボランティアに入ることで、教師の仕事がどのようなものか具体的につかめ、良いことばかりでした。ここにいる先生方と一緒に働きたいと思えました。

印象的な先生との関わりはありますか?

大学3回生の3月、教師塾の授業で図書室にいた時のことです。好きな本を読む時間だったので、私も子どもたちと一緒に本を読んでいました。その時、指導教官から「子どもにうもれちゃだめだよ」と言われました。この言葉にハッとさせられました。この言葉の意味は、子どもとただ一緒に居る、一緒の事をするだけではなく、教師はその間に気づいてできることがたくさんある、ということです。例えば、倒れている本を整理整頓する、剥がれかけている掲示物を直すなど環境整備ができます。教師はどんな時も一歩引いて、周りをみておかなくてはなりません。子どもと同じ目線に立っていることは大切ですが、時には子ども以外に目をやることも必要だということを学びました。

他にも、高校野球部の顧問の先生が印象に残っています。3年生の夏の大会前、バッティング練習で打ち損じ、球を学校裏の山に飛ばしてしまいました。その後の練習メニューがあったので、球を探しにいかず、球探しは下級生に任せようと思っていました。その時に集合がかかり、名指しで怒られました。「自分で打ったボールすらも下級生に任せる自己中な3年生がいたら話にならん」と言われ、私は自分が自己中な人間だということを突き付けられました。これまで先生から怒られることはほとんどありませんでしたが、自分自身の弱い部分を指摘してくれました。

きっと先生は、この時以外でも私のことを自己中だと感じていたと思います。部活日誌のコメントでも、「納得したことはとことんやる性格で、自分に意味があると思うことは頑張れる性格」だということを気づかせてもらいました。この先生に出会い、自分自身の本質に気付くことができました。今になって思いますが、この先生が担任ではなく部活の顧問だったからこそ、このようなことを言ってくれたのかもしれません。

どんな先生になりたいですか?

➀先生がいなくてもクラスが回っていくような子どもを育てられる先生

②児童と一緒に楽しめる先生。同じ目線で悩んだりできる先生

③魅力的でカッコイイと思われる先生

そのために今(合格後から赴任まで)は、英語の勉強をしたり、自分の専門以外でも視野を広げるためにいろいろなジャンルの本を読んだりしています。また、教師は体が資本だと言われるように、体力がないと勤まらないと思い、体力トレーニングも行っています。頭も体も鍛え、視野の広い先生になりたいです。

これから先生を目指す方へメッセージをお願いします。

いろいろな経験をして、それを子どもたちに楽しく話せる先生になれたら良いなと思います。学校にいる先生の姿や話をよく見て、聞いておくと、試験のときに自信をもって発言できます。がんばってください!僕もがんばります!

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