【大学生インタビュー】先生か企業か~先生を目指してきた私が選んだ道~

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目次

1 はじめに

小学校の頃から学校の先生に憧れ、先生になろうと思って進んできた約10年間。
その道のりの中で揺れ動く教育への思い、自分のキャリア。大学4年生の節目に彼が出した答えは?

「学校の先生になりたい。でも、それ以外の仕事も考えている…。」

そんな悩みを抱える方必見です。

2 インタビュー

先生になりたいと思ったきっかけは何ですか?

小学校1、2年生の時の担任の先生の存在が大きいです。結果よりも、そこに至るまでの過程や努力を認めてくれる女性の先生で、私が小学校3年生に進級すると同時に定年退職されました。その先生の影響で、その後の勉強も頑張ろうと思え、その努力が良い結果に結びついて、周りに認められたことで学校が好きになりました。「先生になりたい」と明確に言語化されたのは、小学校6年生の時です。
 

中学・高校時代はどのように過ごしたのですか?

中学生の時は、行事も熱心で授業も面白い先生に影響を受けて、数学や英語の教員に興味を持っていました。高校になると、本が好きなこともあり国語が得意で、難しい文章を分かっていく面白さにはまって、国語教育に関心を持ちました。「授業をしっかり聞けば何かしら得るものがある」「新しいことが分かるのが楽しい」という学習の姿勢を、先ほど話した小学校の先生の授業で身に付けていたので、国語の授業は日常や知らない世界を深く知ることができる教科でした。
 
高校3年生の時の国語の授業は特に印象的でした。実際の入試問題を用いた演習・解説型の授業なのですが、「近代と現代」「日本文化」「常識論」「身体論」などいくつかのテーマに分けて、入試問題を通して様々な概念を学べる授業でした。教養としての授業と入試対策が両立している授業で、とても楽しかったですし、今でも理想の授業の1つだと思っています。
 


(高校3年生の国語の授業ファイル)

大学進学後は先生を目指して、どのように過ごしていたのですか?

大学2年生の春、大学の先輩に誘われて、島根県の海士町で「なぜ先生になりたいのか」というプレゼンテーションを高校生を対象に行ったのですが、その時に明確な理由が出ず、自分は本当に先生になりたいのか悩むようになりました。
 
そんな時、教師である私の親に「学校で自分が授業をする経験を増やせ」というアドバイスを貰いました。「頭でっかちに考え過ぎるのではなく、実際に子どもと関わることが大切だ」という親の言葉をきっかけに、実際に授業実践をしてみようと決心して、その後は大学での中高インターンシップ、NPO団体の活動を通して、現場で授業をする実践経験を積みました。
 
実際に授業をして感じたのは、私は子どもとのやり取りを楽しむこと以上に、自分の学びが授業に繋がるということに、魅力を見出していました。もともと自分が成果を出すことに喜びを感じる自分の気持ちに、子どもの成長が喜びとなる教職に自分は向いているのかと悩みつつ揺れていました。
 

先生か企業か、最終的にどちらを選択をしたのですか?

私は親が教師で、それ以外の仕事をあまり知らなかったので、教師以外の道に進むことをあまり考えていませんでした。しかし、所属していたNPO団体で様々な社会人の方と関わる中で、行政、広告、人材系など、今までの人生ではそれほど身近ではなかった、教師以外の働き方の選択肢も知ることができました。
 
3年生の後期からは、就職活動と教員採用試験の対策を同時並行で行いました。就職活動中に行った教育実習を通して、「先生になる前に企業で働く経験を積む必要はない。むしろ教員になりたかったらいち早くなるべきだ。」ということを感じました。なぜなら先生の専門スキルである授業や大勢の子どもをまとめる力は、他のどの仕事でも身につかないからです。

しかし、先生になりたいという思いの一方で、「自分の実力が目に見える成果になる仕事をしたい」という思いも私にはありました。(教師に社会人経験が必要なのでは?)と思って迷ったわけではありません。どちらの道にも進みたいというのが自分の正直な気持ちでしたが、最終的には「先生⇒企業」よりも「企業⇒先生」という道の方が可能性があると判断して、教育系の企業に就職することに決めました。
 

そこまで関心を持ち続けられる、教育の魅力は何ですか?

これまでの自分の全ての経験や学びが、実際の授業や子どもとの関わりに活きることです。私は本を読むのが好きなので、学級文庫に本を置くなどして、子どもたちにたくさんの言葉を紹介したいです。「自分の体験はこの言葉で表すことができるんだ」などという体験を通して、日々色んな経験をする子どもたちに、本の言葉を通して「はっ」とさせる瞬間を導きたいです。
 
例えば、私が読んだ『あん』(ドリアン助川、ポプラ社)という本では、「なぜ人は生きるのか」という問いに対して、作中の登場人物に「ただ存在しているだけで価値があるのだよ。」と答えさせていました。直接子どもにこの言葉を伝えるのではなく、登場人物や物語を通して子どもたちに感じてもらうことで、様々なことで悩んでいる子どもたちの気持ちが少しでも軽くなり、前を向けるきっかけになるかもしれません。
 

これから教師を目指す方へ伝えたい事はありますか?

今まで自分が経験してきたことは無駄にならないということです。例えば、私は高校3年生の時から続けていた新聞のスクラップを使って教育実習で国語の授業を作りました。人と話したり、本を読んだりしていても「これは授業に使えるぞ」というアンテナを張っています。
 

(高校生の時から続けている新聞スクラップ)

このように、学校の先生は、今まで自分が蓄積してきた経験が、子どもたちの学びに繋がる可能性がある職業だと思います。「全ての経験が学びに繋がる」という思いでいろいろなものに触れると、普段は気付かなかった面白さを感じたり、物事への感じ方が豊かになったりすると思います。
 
私自身は大学を卒業した後すぐに教師になるわけではありませんが、どのような経験も活きると信じて、これからも進み続けたいと思っています。

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