【指導案】大好きなあなたに愛を込めてラブレターを書こう(関西中高まなびプロジェクト)

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目次

1 はじめに

この記事は、NPO法人ROJE(日本教育再興連盟)関西中高まなびプロジェクト(以下関西まなぷろ)のキャリア教育をテーマにした授業実践をまとめたものです。

今回は2018年5月24日(木)に京都市内の通信制高校の高校1年生を対象に実施した「大好きなあなたに愛を込めてラブレターを書こう」をご紹介します。この授業では自分の好きなものについて書いて発信することで、生徒一人一人の自己理解を進めます。

指導案やワークシートのデータも添付しております。ダウンロードして毎日の授業ですぐに用いていただけます。

※関西中高まなびプロジェクトの詳細については本記事の最後に掲載してあります。

2 授業の主題・ねらい

〇授業の主題

 大好きなあなたに愛をこめてラブレターを書こう

〇授業のねらい

  • 自分の好きなものについて考え、なぜ好きなのかを振り返ることで、自己理解につなげる。
  • 自分の好きなものについて、自分の言葉で書けるようにする。
  • 自分のことについて、より詳しく他者に説明できるようにする。

3 主題設定の理由

①生徒の実態

対象の生徒は、京都市内の通信制高校に通う高校1年生15人。普通科の高校に馴染めず、編入という形でこちらの高校に通う生徒が多いです。「馴染めない」という経験を持つ生徒、「人より劣っている」という考えを抱えている生徒もおり、彼らは自分自身や他者と向き合うことに対して抵抗がある場合が多いです。そのため、自己理解を通したキャリアの構築が難しく、進路選択が上手くいかないこともあります。

②ねらいについて

自分の好きなものについて考え、なぜそれが好きなのかを自分の言葉で振り返ることで、自己理解を進められます。また、自分の好きなものについて他者に説明することで自己発信の促進に繋がります。さらに、他者の発表を聞くことで他者とも向き合うことへの抵抗を取り払う効果を期待します。

4 授業形態

人数に合わせていくつかのグループに分け、1グループにつき1人の大学生がファシリテーターとして加わります。また、授業進行を務める司会兼タームキーパーとしても大学生を1人配置しました。大学生ファシリテーター役は班ごとにリーダー役の生徒をおき、先生が各グループを巡回指導することで交代可能です。この場合のリーダー役の生徒は各班の進行状況やまとまった質問を先生に伝える役となり、先生はタイムキーパーや例を示しアドバイスする役になります。

5 授業の流れ

授業時間→50分

①3つのお題に合った単語口頭でをたくさん出す(アイスブレイク)

ワーク①で「好きなもの」について考えるため、あらゆるものをイメージしやすくするために行います。また、スムーズに始めやすいように大学生がアイスブレイクを高校生の前で行い、例を示しました。

②本時の主題の確認と授業説明

  1. 本時の主題「大好きなあなたに愛を込めてラブレターを書こう」を確認する。
  2. ラブレターの完成版を例示しながら授業の流れを説明する。
  3. 授業のルールを確認する。

③ワーク①

  • 好きなものは何か
  • 好きなものはいつから好きか
  • 好きなもののどんなところが好きか
  • 好きなものにまつわる思い出

上記の4点ををワークシート①に記入します。
ワークシート①↓

④ワーク②

ワークシート②にワークシート①の項目を板書の例を参考に手紙風にまとめる
例↓

⑤ワーク③

書き込んだワーク②を班内で共有する。

⑥まとめ

本時の主題とねらいの確認。

6 指導案

指導案のダウンロードはこちらから↓
Wordファイル→指導案(Word)
pdfファイル→指導案(pdf)

7 パワーポイント(板書)・ワークシート

〇パワーポイント(板書)

パワーポイント(板書)のダウンロードはこちらから↓
PPTファイル→板書(PPT)
pdfファイル→板書(pdf)

〇ワークシート

ワークシート①

ワークシート②

ワークシートのダウンロードはこちらから↓
PPTファイル→ワークシート(PPT)
pdfファイル→ワークシート(pdf)

8 指導にあたっての特記事項

テーマがラブレターだからといって、恋愛へ発展させないように気を付ける必要があります。あくまでたとえの表題であって、メッセージカードであることを意識してほしいからです。特に、芸能人など「特定の人物」を好きなもの・ことに選んだ場合は気を付けておく必要があります。
 授業の本題である「ラブレター」を書く前に、アイスブレイクとして、①好きな食べ物②自分へのご褒美として買いたい物③休みの日にしたいことを単語で挙げてもらいます。このアイスブレイクは本題の準備としての意味も持たせました。
 授業作成の工夫として、ワークシートをラブレターに見立てることで、生徒に親しみ興味を持って取り組んでもらえるようにしました。

9 授業後記

〇授業をやってみての感想

自分自身の「好きなもの」を掘り下げ自己理解に繋げようという思いで、今回の授業を考えました。今まで生徒自身、自分の興味あることや、好きなもの・ことに対して深く掘り下げたり、振り返る機会が少なかったようでした。そのため、この授業を通して、自分が何に興味があるのかを改めて知ることができたのではないかと思われます。
 一方で、慣れていないワークのために、戸惑う生徒も一定数いたように感じました。しかし、たとえ上手く文章にまとめることができなくても、どんなことが「好きなのか」を生徒が自分に問い直すことで書けるようになりました。そして、新しい学校に入ったばかりで緊張している1年生にとって、周りの人に自分を知ってもらうことができたと思います。

〇生徒の反応

* 項目は上がっても文章にできない(箇条書きをしてしまう)子
箇条書きをしてしまう生徒には、板書パワーポイントにある大学生が作ったお手本を見てもらったり、文章を一緒に考えたりするなどして対応しました。

* ブレインストーミングがなかなか進まない子
自分の好きなものを考えるのが難しい生徒には、生徒の持ち物や趣味、最近はまっていることや流行のことなどから大学生が聞き出すように努力しました。一方で、無理に聞くことが生徒の負担となることもあると考えられるので、そういった場合は無理に声を掛けずに生徒が自発的に書いてくれるのをゆっくり待つように心がけました。

〇生徒がどのように変わったか

最初は「ラブレター」の文字を見て、少し躊躇する生徒もいましたが、アイスブレイクやワーク中に大学生や周りの生徒と話していく中で、取り組みを見せてくれるようになったと思います。
 中にはまだ自分の考えを文章で書くのが苦手という生徒もいますが、今後こういったワークを積み重ねて、自分なりの言葉で伝えられるようになれれば良いなと思いました。

〇ねらいは達成できたか、テーマは適切だったか

好きなことを掘り下げるというテーマのもと取り扱った「ラブレター」という題材は生徒のうけも良く、行って良かったと感じました。生徒の多くはワークシートをある程度埋めることが出来ていて、最後のグループ内の発表もできているように感じました。

10 プロフィール

NPO法人日本教育再興連盟(ROJE)関西中高まなびプロジェクト
京都市内の大学に通学する大学生20人ほどで活動中。
月に1度、京都市内の通信制高校でキャリア教育ををテーマに授業を企画及び実践を重ねており、「自分を知ること」や「進路を決めること」を、高校生と大学生が学び合いながら一緒に考えています。また、京都市内の私立中学校でも不定期でイベントを開催中。前回のテーマは「想定外の未来で青春の在り方を拡張する」です。
詳しくは以下のリンクから↓
HP【https://kansaimanapro.amebaownd.com/
Twitter【https://twitter.com/rojekansaikouko

11 編集後記

自分の本当に好きなものを改めて問われると、大人でも回答に困ることがあるのではないでしょうか?そんな質問から生徒たちの戸惑いながらも真剣に考える姿が見受けられました。この考えている時間に生徒一人一人が自分と向き合うことができていたのではないかと思います。
(編集・文責:関西中高まなびプロジェクト)

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