主体的に一人一人が思考力を育てるグループ学習!
指導要領解説で、「数学的活動とは、算数の問題を見い出し、自立的、協働的に解決する過程を遂行すること」とあります。算数は、系統性があり得手不得手の差が表れやすいため、一人一人がよさや楽しさを感じながら思考力、判断力、表現力を育てる算数となるよう、伝え合う活動として「グループ学習の学び方」の指導を実践しました。
☆グループ学習のよいところ
①子ども同士で学習を進めるので,教師はグループをまわり、認めたり方向付けをしたり児童の誤りをきめ細かく確認し,随時、助言や指導・修正をしていくことができます。
②子どもたちは自分たちで何とかしなければいけないので、既習事項(学習のわざ)を使い、「~にやるんだよ」「あ、そうか!」など子どもたちの言葉での教え合いが生まれ、思考力が育ちます。
③まとめの段階では、子どもたちの言葉や教師が変換した言葉でまとめていき、「グループの中で主体的に学習をして、自分たちで解決できた!」という子どもたちの満足げな笑顔が見えます。
深まるグループ学習が、すぐできるわけではないので、段階を踏んで進めました。
そのステップは、次の通りです。
学ぶわざを土台に 子どもたちに任せて フォローする
1 グループ学習の素地を身に付ける
①「教室は、まちがうところだ!」を学ぶ。
「誰でも、得意、不得意はあるから、まちがえたら教わればいい!」
「間違えたりわからなかったりする人には、教えればいい!」「おたがいさま!」
「そうして、みんなで伸びて行こう!」
・・・これらの気持ちを、生活の中で日々育てていくことが土台です。
②伝え合い方を、学級の一斉学習でも全教科の授業を通して学ぶ。
初めは掲示物に沿って、繰り返すことで、学び方を身に付けます。
{つなげることば 話し方}
伝える ☆「はじめに」「次に」「最後に」
見つけた ☆習った ~~ の勉強を使っていると思います。
☆○○さんのよい所は・・・。
☆○○さんの,~ を直せば,もっといいと思います。
確かめる ☆・・・どうですか? ☆ここまで,いいですか?
つけたし ☆ ~ に,つけたして・・・。
理由 ☆そのわけは・・からだと思います。
例を上げて ☆たとえば・・・。
くらべて ☆私は○○さんにさんせいで・・。○○さんとちがって・・。
☆~と~の同じ所は・。ちがう所は・・。☆なかまに分けると
☆いつでも使えるきまりは・・。 ☆かんたんに・・。
まとめて ☆つまり・・・。
{つなげることば 聞き方}
◇なるほど! ◇そうか! ◇わかった! ◇本当だ! ◇おしい!
◇どういう意味かな? ◇わからないなあ ◇質問しようかな?
質問 ☆もう1回,言ってください。 ☆どういう意味ですか?
☆なぜそうやったのですか?
2 算数の学び方に沿って、グループでの学び方を学ぶ
算数の学び方として大切な場面は、子どもたちが課題と出会い→分析をし→どんな方法で解決できそうか見通しをもつ段階です。それを土台として、自分の問題ととらえ、解決しよう・やってみようとする意欲をもつことができるのです。その段階を、授業の初めに必ず位置付けるようにしました。
グループ学習は、基本的に司会がカードを見ながら、グループのみんなと進めていきます。慣れてくれば、自分たちで進めていきます。
算数の学び方 {かいけつするために 見通しを 立てよう!}
◇この問題は どんな問題か?
☆気づいたことは・・
☆前と~が同じ。~がちがう。
↓
学習問題を作る
◇かいけつの やりかたは?
☆習った ~ の勉強を使うといい。(黒板の右上に既習や復習の板書・掲示)
☆かいけつのわざを使えば→図,計算,式,言葉,数直線,表,物など
☆答えは,~ に なりそう。
{3年 グループ学習の進め方カード!}
◇司会進行
①今日グループ学習することは,☆~~~~~ です。
②今日の説明する順番は,・・さん,・・さん,・・さん,・・さん,です。よろしくお願いします。
(ならんでいる順で)
③はじめに・・さん,お願いします。 「○○○○ です。どうですか?」
④しつ問ありますか?いいところを見つけましょう。直した方がいい所は?
⑤次に,・・さん お願いします。 →全員終わるまで
⑥みんなの考えで,にてるところは ありますか?
⑦みんなの考えで,ちがうところは ありますか?
⑧ ○はんの まとめをしましょう。
⑨発表のじゅんびや練習をしましょう。(発表用紙や黒板に、まとめて書く)
3 わり算(包含除)・あまりのあるわり算の授業を通して
~学習過程のどこでグループ学習をするか(比較検討の場面・問題解決の場面)~
わり算の単元で、初めに等分除の学習を、一斉学習で行いました。その中で、わり算の解決の方法(わざ)を全員で学び、それを活用して包含除・あまりのあるわり算のグループ学習は、子どもたちに任せるという計画にしました。その授業記録は、以下のとおりです。
※わり算の解決の方法(わざ)
・ブロック分け方の操作、図、ことば ・かけ算との関係(□の式 単位 何の段)
A わり算 6/13時間め 包含除
【比較検討場面=異なる解決方法のメンバーのグループで】
各自で自力解決してから、異なる解決方法のメンバーのグループで比較検討し、まとめていきます。
伝え合いのめあて「みんなの説明の中で,似ているところはどこかを見つけてまとめよう」
☆自力解決したことを各自で伝えるので,全員が説明する経験をできる。
⇒A 授業記録
B あまりのあるわり算 2/5時間め
【自力解決場面=同じ解決方法のメンバーのグループで協働解決】
各自課題の解決方法を決めてから、同じ解決方法のメンバーのグループで協働解決し、他の方法と比較のために説明の準備をします。
伝え合いのめあて「1番わかりやすい、よい言葉・やり方を選んで○○の説明を書こう」
☆上手な友達の説明を聞き、理解を深め,共に成就感を味わえる。
⇒B 授業記録
4 授業の様子
5 おわりに
今、思考力・表現力も育てたい! 子どもたちが学び方を身に付けるまで繰り返しが必要ですが、グループ学習での子ども同士のやりとりを聞いていると、子どもたちの力はすごい!と思うことがたびたびあります。型にとらわれず任せてみると、子どもの新しい面が見えて、伝え合いも上手になります。最後に「みんなで解決できたね!」と、教師は、脇役になりたいものです。
グループ学習の他の型として、適応練習問題の時、教えっこ型(自力→ペア→グループで)協働グループもあります。
コメント