コンパスで上手く円が描けない子供に対する支援

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とりあえず、普通に指導する

コンパスで円を描くことは、3年生の子供にとってけっこう難しい作業です。私のクラスでは7人程度が、かなり苦労をしていました。でも、苦労が悪いわけではありません。まずはザックリとした指導をして、自分で試行錯誤をさせながら乗り越えるように促します。

  • 黒い部分(持つ場所のことで、黒とは限りません)だけ持ちます。・・・それ以外の所を触るとずっと同じ長さの半径で書けないよ。→→→ 教師用コンパス(あるいは書画カメラとプロジェクター)で良い例・悪い例を実演してあげてもいいですね。
  • 針と鉛筆の先を5cmぐらい空けます。→→→ 最初は厳密な半径を求めません。それだけで教師・児童の両者にストレスがかかります。
  • 親指と人差し指だけで空中で回してみてね。右回りも、左回りも。
  • 力を抜いて回します。
  • 下敷きを外してノートにしっかりと針を刺します。
  • 針が外れないように、ゆっくり円を書いてみてね。・・・力を入れすぎると回せないよ。力を抜きすぎると針が外れるよ。自分で調節してちょうどいい感じをつかんでね。
  • 何回、何個描いてもいいよ。
  • (上手になってきたら、)鉛筆が進む方向にコンパスを傾けてみてね。→→→ これも実演できるなら、見せてあげるといいですね。

この程度で、私のクラスでは7割強の子供が円を描くことができるようになりました。既に家や塾でできるようになっていた子供も数名いたようです。最初のうちは薄いとか途切れているとかは大目に見て、合格を出してゆきます。合格者がクラスの半数ぐらいまで増えてきたら、コンパスを傾けて描くことを教えてあげます。

自力でできるようにならない子供に

不器用な子供、気持ちが焦る子供には、きれいな円を描くのはなかなか難しいようです。自力での克服が大事だと思うので、まずは自分で、それでだめなら周囲の子供たちに支援をしてもらいます。

それでも難しい場合に、「じゃあ、先生がサポートしてあげるね。」と、言って、下の写真のようにダンボールを用意してあげます。

ダンボールなら針が抜けにくいため、楽に円を描くことができます。机が傷つくので、ダンボールの下には薄い雑誌やノートを置いておくといいですね。最初は直接ダンボールに描かせて、できるようになったらダブルクリップでダンボールに紙をとめて描かせてもいいですね。

これによって全員がきれいに円を描けるようになりました。

最初から全員にダンボールを渡してあげればいいじゃないかと言うご意見もあるかと思いますが、私は、試行錯誤しながら学ぶことが大切だと思うので、敢えて最初から万全のサポート体制で臨むことはしないでおこうと考えています。

きれいな円が描けるようになれば、次々に発展課題に取り組むことができます。下記サイトにはとても面白い「円で描かれた模様」のプリントがアップされています。おススメです。

ぷりんときっず「円と球 – 作図の応用問題」

同心円が書けたり、教科書程度の作図の問題をできたりした子供には、どんどん「自分で考えた模様作り」や上記のような難しい作図に挑戦させるとよいと思います。

少しの支援で

できないままずっとノートに円を描かせていたら、子供たちがストレスをためるだけの結果に終わったり、自信を喪失してしまう結果になったりするだけかもしれません。

この記事の「コンパス初体験時のちょっとしたサポート」に限らず、子供たちは少しのサポートがあるかないかで大きく結果が違ってきます。おそらく教師が思っているよりずっと多くの場面で、有効な支援の方法があると思います。きっと、まだまだあると思います。ちょっとしたアイデアがたくさん共有され、教師にとっても子供にとっても、学校が楽しい場になるとよいなあと思います。

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