1 概要
この実践は(株)教育同人社の許可を得て、「はなまるサポート」の学習指導ポイント一覧より転載しています。
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添付ファイル
2 はじめに
□が用いられる場合について
3年生では□は未知の数量を表す記号として使い、問題の示す通りに数量の関係を立式し、□にあてはまる数を調べることができるようにします。つまり□を「数を書く場所」として扱うのです。そして次第に未知の数量を表す記号として使えるようにして、5年生の「文字と式」で□のかわりにa、b、xなどを使うように指導していきます。
□+6=15、□−8=7、15−□=6、□×5=30、□÷7=8などのように問題に示されている順序に従って立式することのよさを味わわせるようにします。そして□はおおよそその立式の逆算で求められることを知ることになります。
3 □を使った指導例①
「式の意味」から考えさせる方法(柳瀬 修先生のアイディア)
①問題を提示する。
あめが1ふくろと、ばらで6こあります。あめは全部でなんこありますか。
何算で求められますか。
「たしざん」という声があがります。
先生が式をたてました。1+6です。
このように式をたてると、「ちがう!」という声が出てきます。教師の示した式では、ふくろの数とあめの数をたしていることに気づきます。そして、ふくろの中のあめの数がわかればいいことに気づかせます。
ふくろの中のあめの数はわかっていないので□と表しましょう。
そうするとさっきの式は、□+6 と書けます。あめは「□+6」こあるということですね。
②□+6を数量とみて、関係を表す式 □+6=18を導く。
ふくろの中のあめを数えてみよう。
と言って、ふくろの中のあめをばらのところに出して一緒にしてしまいます。
うぁっ、これはしまった。一緒にしてしまった。しょうがない,全部を数えてみよう。
といって、児童と一緒にあめを数えます。
すると、全部で18個あることがわかります。しかし、ふくろのあめがどれだかわからなくなりました。
さあ、ふくろの中のあめはなんこあったのか、さっきの式をつかって書いてみよう。
6こと一緒にしたら18こになったんだね。とすると…。
ここまでくると、□+6=18という式がたつことがわかります。
③□+6=18の求め方を考える。
④まとめ
まとめでは、「問題の意味はたし算になるので、分からない数を□にして式に表すと、□+6=18のように たし算の式になることがわかった。」のようにまとめます。
4 指導上の留意点
この展開例では、その前提として私たちが理解しておかなくてはならない大切な点があります。それは「式の意味」です。式には、
数量についての事柄(フレーズ)を表す式と、数量の関係(センテンス)を表す式があります。
数量についての事柄(フレーズ)を表す式
3+4、□+6、6×9、□×4、… など 事柄やその結果としての数量
数量の関係(センテンス)を表す式
□+6=18、5×4+6×4=44、a+b>c+、,… などの関係
この展開では、ふくろの中のあめとばらのあめの合計の表し方として、□+6を採用しています。この考えは、□+6を数量についての事柄(フレーズ)を表す式として認識させるという意図が明確です。そして、それが全体の18こと同等の関係にあることを表す方法として、□+6=18 を指導しているのです。
数量の関係を表す式については、4年生でさらに明確になります。4年生では、変量を表す記号として□,△などを用いた式を適切に用いることができるようにすることが目標です。例えば、正方形の一辺の長さと周の長さの間の関係を□×4=△と一般的に表す場合が考えられますが、変量を□、△などを用いて式に表すと数量の関係を簡潔に表すことができることを学びます。
6 実践者紹介
山﨑 憲
元東京都算数教育研究会会長。
「小学校時代から現在までで,今が最も算数がすき」と,小学校退職後も算数教育に没頭し,現職時代に引き続き年に数回研究授業も試みている。
現在東京学芸大学講師として初等算数科教育法を担当。
またボランティアとして東村山市算数教室を開催し算数好きの子どもの育成を目指している。
7 サービス紹介
同社の「はなまるサポート」では、若い先生のための授業ヒント集として、毎月の学習指導ポイントを細かく解説しています。また、不明点や疑問点などを無料で相談を受け付けています。
http://www.djn.co.jp/support/
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 佐藤 睦)
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