『はたらく人とわたしたちのくらし』農家の仕事(教育出版3年社会科)~前単元・前時の学びと本単元・本時の学びをつなげる~

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目次

本単元で身に付けたい資質・能力

本単元では、地域の産業の様子を、人々の生活との関連を踏まえて理解するとともに、調査活動、地図帳などの資料を通して、必要な情報を調べまとめる技能を身につけるようにする。また、地域の産業の特色や意味、人々の生活との関連を考える力や、考えたことを表現する力を養う。地域の産業の様子について意欲的に調べ、特色や相互の関連、意味について粘り強く考えたり、調べたことや考えたことを表現しようしたりする主体的な学習態度を養う。

単元の評価規準

知識・技能

農作物などをつくる仕事の種類や、資料から田や畑の場所や産地の分布などを読み取り、生産に携わっている人々と地域の人々との関わりを理解している。

思考・判断・表現

農作物などをつくる仕事に関する資料から問いを見いだし、地域の暮らしと比較・関連づけ、社会への関わり方を適切に表現している。

主体的に学習に取り組む態度

地域に見られる生産の仕事について、予想や学習計画を立てたり、見直したりして、主体的に学習問題を追究し、解決しようとしている

単元の展開【1~7時】

1時(第1次) 地いきでつくられる野菜

  • 前単元「店ではたらく人と仕事」において、スーパーマーケットの見学を行った学習を思い出させる声かけをする。(例、「スーパーマーケットにはどんな野菜が売られていた」「どこでつくられた野菜がありました」など地元で生産されている農作物に関心を持てるような声かけをする。)
  • 地元で生産されている食材について詳しい人(例、農家の方、栄養士、栄養教諭など)をゲストティーチャーに招き、地元で生産されている野菜について知る。(「地域でその野菜がつくられた時期」「その野菜の栄養素」「その野菜についての豆知識」など、その野菜に興味を持ってもらえるような話をしていただく。)
  • 個人で振り返りを行う。(振り返りシート)

2時(第2次) 学習問題をつくり、学習の見通しを立てる

  • 地元でつくられている野菜の種類と場所を調べる。地元の地図に書き込めるワークシートを準備する。
  • 個人でワークシートを見て分かったことや疑問に思ったことを考える。
  • 単元の学習問題(例、「農家の仕事にはどのようなくふうがあり、わたしたちのくらしとどのようなつながりがあるのだろう。」)と問いかけ、予想をする。
  • 地元でつくられている野菜農家に行って確かめるという意欲を高め、社会科見学の計画を立てる。

3・4時(第3・4次) 地元農家をたずねる

  • 地元農家を見学して、分かったこと・農家ではたらく人の説明をメモする。
  • 地元農家の見学を終えての感想を書く。
  • 個人で振り返りを行う。(振り返りシート)
  • 事前に地元農家側と打ち合わせをし、今後の学習計画につながるような話をしていただくようにお願いをしておく。(例:畑やビニールハウスについて、出荷先、野菜づくりの過程や作業、工夫や努力など)

5時(第5次) 地元農家の工夫

  • クラス全体で作物カレンダーや見学メモを見て、地元野菜づくりの期間と仕事を確かめる。
  • 見学メモやインターネットなどを活用して、個人で農家の仕事の工夫について調べる。
  • 農家の仕事の工夫について個人で調べたことを、班で共有する。
  • 個人で振り返りを行う。(振り返りシート)

6時(第6次) 地元野菜はどこへ

  • 見学で見た、地元野菜の収穫の様子を振り返る。
  • 地元野菜の出荷先について確認し、その場所がどこにあるか調べる。調べたことは、地域の地図・日本地図・世界地図などを用意し、出荷先を矢印などで書き込む。
  • 個人で振り返りを行う。(振り返りシート)

7時(第7次) まとめる

  • 個人で学習問題について考える。(振り返りシート)
  • 班で学習問題に対する自分の考えを発表する。
  • クラス全体に発表する。

前単元・前時の学習と本単元・本時をつなげることについて

社会科単元の学習は学んだことを次の学習へ活かすことができます。例えば、スーパーマーケットの学習から「地元の野菜が売られていたな」「トラックで野菜が運ばれてきたな」「働いている人がたくさんいたな」などその後の単元で学ぶきっかけやヒントとなることがあります。それを先生が意識し授業をつくることで、子どもの学びはより深まります。

そのためによく使う言葉が、「前の単元・学習はどうでした」など前単元・前時を振り返る言葉かけです。いきなり、「今日はこれを学習します」では学ぶきっかけとしては気乗りがしません。それより「前、どんなこと勉強しましたか」「前にもこんなことなかった」など学習を振り返ることで、前単元・前時の学習を本単元・本時につなげることができます。

つながった思考はより強力に深まります。「前単元・前時の学習は本単元・本時につながる」ということは先生だけでなく、子どもも意識、もしくは子どもが学びのつながりを感じてほしいです。「そういえば、この前同じようなことがあったな、似たようなことがあったな」で十分学びのつながりを感じています。

では、どのように学びのつながりを感じることができるのか。それが、振り返りです。振り返りの積み重ねが学びのつながりを生み出していきます。そこで今回は、私が実際に使っていた1枚の振り返りシート(裏表)を紹介します。

(表)

私が単元で毎時間使っていた「社会科単元のウェビングマップ(振り返りシートのこと)」です。活用する際の概要を説明します。

① 第一時(場合によっては、第二時)の学習から中央の単元の学習問題を設定し、記入します。

② 6つの枠は、一時間毎の学習課題を記入し、一時間の終末に学習課題に対する自分の考えを記入します。これが、一時間毎の振り返りになります。
下に、3つの楕円枠がありますが、一時間の授業で自分が大切だと思った言葉(キーワード)を記入します。キーワードは3つまで書くことができるとしています。1つでも2つでも構いません。4つになると多すぎると思います。

    ③ 単元によって枠は6つもいらなかったり、少なかったりします。使わなかったり、付け足しをしたりします。大事なのは、「学習問題を解くために、一時間毎の振り返りをしている」ということを子どもが意識しているかです。これなら、単元で学んだことが一目で分かります。

    裏に続きます。

    (裏)

    ④ 表で書いた振り返りをもとに、いよいよ学習問題を解決していきます。「単元の学習問題について、キーワードを3つ使って、自分の考えを150字以上200字以下でまとめましょう。」と示します。ここで、思考・判断・表現の評価をします。

    ⑤ 最後に、「この単元を終えての感想を教えて下さい。」と示します。ここで、主体的・自分から学びに向かう姿勢の評価をします。
    もちろん、思考・判断・表現・主体的・自主的に学びに向かう姿勢の評価はここだけですることではありません。しかし、どこかで子どもの書いた振り返りやレポートなどの評価やフィードバックは必要不可欠です。意欲はもちろん、客観的に評価できるものであり、次の学びにつながったり、学びを深めたりすることができます。

    以上、私が使っていた「社会科単元ウェビングマップ(振り返りシート)」の概要を説明しました。参考までに載せましたが、先生のやりやすいよう変えてもいいですし、子どもの実態に合わせて変えてもいいです。大事なのは、「学習問題を解くために、一時間毎の振り返りをしている」ということを子どもが意識しているかです。

    [参考出典]

    ・教育出版「令和6年度版『小学社会3』年間指導計画・評価計画」 

    執筆者プロフィール

    nanalalala

    元小中学校教員。「思考を深める」(アクティブラーニング・思考回路図の活用など)、「安心して学ぶことができる」(ユニバーサルデザインを意識した授業計画・環境整備など)、「SST」「理解教育・インクルーシブ教育」などを意識し、教育活動・学習活動などに取り組んできた。現在は自身の経験を伝えるWebライターとして活動中。

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