忘れ物を減らすために

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作成者: 大造 (Edupedia編集部)さん

1 生徒の忘れ物を「減らす」には

今も昔も、忘れ物が多いことが課題となっています。または、何人かの忘れ物が直らない子どもがいて困っているというパターンもあります。絶対に忘れさせないという策はないとは思います。なくすと言うのは無理だと思います。どうやったら「減らす」ことができるのか、いろいろと考えてみました。

宿題を忘れる子への対応
も、ご参照ください。

2 忘れ物をする子どものパターン

緊張感がない

教師が生徒に厳しく接しないと、生徒に緊張感がなくなってしまいます。生徒に厳しくすることは大事だと思います。しかし、だからといって厳しくしすぎると、クラスのムードは悪くなります。
例えば、何人かの忘れ物が多い子どもを叱るために、他の子どもが怯えてしまうほどの迫力で叱ってしまうことはありませんか。忘れた当人は平気であったり、なおらない状態であったりするのに、周りの子ども達に緊張が走り、忘れ物をしないかを毎日心配して、神経質になり過ぎるといった事態になってしまうこともあります。

教師が出した指示や、黒板に書いておいた宿題・準備物を覚えていない

低学年であれば、毎日連絡帳をチェックする時間もあるかもしれませんが、中学年、高学年になるにつれて、そういった時間がとりにくくなります。また、ほとんどの子どもにとってチェックの必要がなくなってきます。これが、忘れ物をしやすい子ども達にとってはマイナスに働くことが多いです。必ず連絡帳を書く習慣を身につけさせていく必要があると思います。声をかける、連絡帳を書いていない子どもだけチェックをする・・・などの対策が必要だと思います。

とにかく、やる気がない

宿題をしようにも、分からない、時間がかかる、面白くない。学校に来てもなんだかさえない、面白くない。そんな場合には、忘れ物が多くなりがちです。

3 生徒の個別の事情にも配慮して

家庭環境が悪いために、忘れ物が多くなってしまっている子どももいます。親の帰りが遅く、ご飯も食べずにテレビを見ながら留守をしている子どももいます。あるいは、家庭の中に問題を抱え、落ち着いて勉強や準備ができない子どももいます。安定している家庭環境で育った教師にはこういった問題を抱えている状況が想像しにくい場合が多いのですが、忘れ物が多くても実はその子なりに頑張っているという状況もあります。

また、何らかの発達障害や障害に近いものを持っている子どももいます。その子の努力や気合だけでは、どうにもならないケースもあるのです。
だからと言って、叱らないわけにはいきませんが、その子の様子を見ながら、叱り方も個別に対応する配慮はあってもよいと思います。

4 対策

根気強く注意喚起

すぐに効果を表す魔法のような方法はないかもしれませんが、注意喚起を根気強く行っていく必要はあると思います。こちらが注意喚起にくじければ、子ども達の油断は一気に広がります。
家庭に対しても、注意喚起を行っていく必要があると思います。家庭で少し気をつけてもらうと、ぐっと忘れ物が減る子どももいます。

忘れ物ゼロを褒める

注意喚起の手段として、クラスで忘れ物がゼロであったときに褒めるという方法をとることがあります。忘れ物をしたことを責めるのではなく、忘れ物をしなかったことを褒めます。忘れ物が多い子供にプレッシャーを与えすぎないように配慮することが大事です。忘れた個人にチェックを入れるような名簿やグラフを作って人目にさらすのは酷です。

行う上での注意点

「忘れ物ゼロ」を壊してしまう子ども(よく忘れる子ども)に対して、同調圧力的を掛けてしまう点には気を付けなければいけません。「褒める」という一見プラス志向に見える方法の中には、「褒めてあげない」という懲罰的な意味合いが含められることになる可能性があります。また、最初の項で述べたように、あまり強い圧力をかけると一部の子どもが神経質になり過ぎる可能性もあります。
忘れ物はあくまで個人の問題であり、全体の課題にしてしまうことによって圧力をかけるようになるのは、あまり好ましいとは思えません。もちろん、全体の気が緩んだムードの中で忘れ物が多くなることはあると思うので、その時は全体を叱ればいいし、少なくなれば、褒めればいいと思います。

なぜ忘れ物をしてはいけないかをクラス全体に伝える

わかりきったことかもしれませんが、あまりにも忘れ物をする子どもが多い場合には、クラス全体に対して「なぜ忘れ物をしてはいけないのか」を再確認しておく必要があります。私は以下のように話しています。
「注意深くて忘れ物がほとんどない人もいるし、逆に、うっかりしていてしょっちゅう忘れる人もいます。いずれにしても、忘れ物は誰でもすることがあると思います。ある程度は仕方がないことだとは思います。ただ、あまりに油断をしていて、忘れ物が癖になってしまっている場合は、困ります。学校で勉強が十分にできなかったり、宿題がいい加減なことになってしまったりすると、緊張感がなくなってしまって、力がつきません。自分で自分のことに気をつけられるようになっていくことは、大人になっても大事なことです。」

連絡帳に「○わ」で連絡する

親には、子どもが毎日学校でどのように過ごしているのかが見えにくいものです。忘れ物をしていても、子どもが上手に隠しておけばわかりません。
学期末の学級懇談会で「お宅のお子さん、忘れ物が多くて困っています」等と言われても、親としても改善することができません。できれば、親が日々子どもの状況を確かめられるようなシステムを作った方がいいと思います。
そこで、忘れ物をした子どもには、連絡帳に「○わ」(「わ」を丸で囲みます)と書かせ、忘れたものの名前を赤字で書かせます。「○わ 計算ドリル」というように。
これによって、毎日忘れているような子どもは自分で自分の状況を振り返ることができます。そして、親にも確実にその状況が伝わることになります。
私は数年前からこれをやっていますが、子ども達は何とかしてこの「○わ」を書かずにおこうとあの手この手と知恵を絞って防戦します。これに負けずに、必ず「○わ」を書かせるように、次のような決まりを作っています。

  1. 忘れ物をしたら赤鉛筆で「○わ」を必ず書きます。
  2. 書かなかった場合は、2つ分の忘れ物なので、先生が「○わ「○わ」を書く」と書きます。
  3. 先生に必ず見せます。先生がサインをします。
  4. 宿題などを集めるときに探しているふりをして「後で出す」などと言って逃れる子どもがいるので、)提出物を集めるときに、「○わ」を書くのが遅い人がいたら、集める人が、忘れ物をしている人に提出物を渡しなさい。「○わ」が書けたら連絡帳に
  5. 授業中に先生に言いにくるときには必ず「○わ」を書いた連絡帳を見せてから、「○○を忘れたので、~~します。」と言いに来なさい。

これくらいのしつこさ、細かさで根気よく当たらないと、抜け道をかいくぐって開き直られてしまいます。子ども達との根競べです。がんばりましょう。

連絡帳で家庭に報告する

「○わ」が溜まったら、家庭に連絡を入れます。1ヶ月に一度、連絡帳を提出させてチェックします。クラスの状況によりますが、私は1ヶ月に7個忘れれば連絡を入れることにしています。

「○○君、忘れ物が多いですよ」と、電話で連絡するのは、教師としても少々気が滅入ります。そこで、連絡帳に下のような報告書を貼りつけます。そして、必ずサインをもらってこさせます。名前だけだと子どもが勝手に判を押したり、自分で書いたりしますので、「見ました。山田」というように、必ず手書きでサインをしてもらうようにお願いしておきます。

「○わ」と併せて家庭連絡をするという手段で、個人の忘れ物の記録を追っていく機会を設けることになります。その中で、忘れ物が減っていく子どもを見つけることができます。そんな時には、十分に個人をほめてあげるといいと思います。

チェックをする

忘れ物のチェックをどうするかも、なかなか難しいものがあります。提出物、準備物があるたびにチェックをするのが望ましいとは思いますが、昨今の多忙な事情の中、細かいチェックを続けることは難しいものがあります。教師のノートに忘れ物をしている子どもをチェックしていくというのも、面倒な作業です。上記のように連絡帳に「○わ」を書かせて子ども自身に記録をさせておくと、教師側が記録する手間は省けます。その上で、提出物の数を数えたときに、「○わ」の連絡帳が提出されていない場合に、必ず呼び出して、注意をするようにしましょう。

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ご連絡     月  日(  )
(      )さんの忘れ物が多くなっています。学校でも気をつけて指導しますが、ご家庭でも当面は、気をつけて見てあげてください。
今一度、次のことに気をつけてあげてください。
1. 連絡帳のチェック → いつ、何を忘れているのか、赤字で書かせています。
2. 連絡帳のチェック → 毎日、学校で書いています。毎日、宿題は出しています。
3. 学習準備をいつするのか(朝にやらない)を確認。
4. いっしょに準備をしてあげる。(最終的には自分でチェックする習慣を。)
5. 生活のリズムを取り戻す。

このご連絡について、「見ました+氏名」のサインをお願いします。
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添付ファイル

工夫を促す

忘れ物の中でも、特に困るものについては、工夫をさせるようにしています。例えば尿検査の場合、忘れると大変困ったことになります。そんな場合は、
「夜寝る前に、便器のふたをしめて、その上に採尿する容器を置いておきなさい。家族にはその後にトイレに行っても、必ず元の状態に戻してもらうように言っておきなさい」です。また、プールの用意などは、前日から持ってきて教室においておいてもいいことにしています。

私自身、どうしても忘れてはならない連絡があるときには、胸のところに名札のようにして、テープで用件を貼って教室に行きます。そうすると子ども達が「先生、胸のところに貼ってある『山田君に9時にTEL』って何ですか??」と、口々に聞いてくれるので、「9時に電話しないといけないんだよ。みんなも覚えておいてね。」と、言っておきます。こんな風にちょっとしたユーモアも交えながら、忘れ物を減らしていく工夫を重ねていくと、子ども達も前向きに考えるようになってくれます。

教師が預かっておく・学校で宿題をする

家庭に連絡しても改善が見られない場合は、学校に学習の準備を預かっておくのもやむをえないと思います。例えば毛筆のセットの用意をいつも忘れているような子どもの場合、教師が1学期間、ずっと預かっていてもいいかと思います。いつも忘れて叱られて、学習に支障が出るようでは、本人も踏んだり蹴ったりです。「○○君は、いつも忘れて困るから、特別に先生で預かっておくことにします」と、他の子どもを納得させてから、預かりましょう。

また、宿題は家出する習慣をつけたほうがいいのですが、どうしても忘れることが多い子どもについては、休み時間や放課後に学校でさせるという形をとらざるを得ないかもしれません。

学校ではきちんと身の回りを整理整頓する癖をつける

忘れ物が多い子どもは身の回りのことができません。机の中、ロッカーの中、ノート・・・いろいろなところで整理整頓をする癖がついていません。普段から整理整頓をしっかりさせるよにしましょう。

5 学校が楽しい状況を作る

最後に、教師側ができることを。宿題をきちんとして、授業もきちんと受けていれば力が伸びたことが実感できるような指導ができるといいですね。「明日」が楽しみで、準備をきちんとしたくなるような学級・学校づくり、授業づくりができるといいですね。

なかなか、難しいことですが・・・。

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