1 はじめに
こちらの記事は、静岡県で30年間以上続く教員サークル、シリウスのホームページに掲載されている教育実践法の一つをご紹介しています。
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2 実践内容
「違いの違い」という授業をおこなった。様々な違いについて考えるなかで、どのような違い(習債の違いや個人の好みの違い)なら受け入れることができ、どのような違い(不平等や権利の侵害)が受け入れられないのかを話し合った。
最初に人には共通点も多いが、相違点も多いことを簡単に説明し“違い”について考えることを告げた。
発問1:「違いの違いゲーム」をしよう
班の数だけカードを用意し、ゲームのしかたを説明した。
ゲームのしかた
1.カードを全てふせて机の上に並ベる
2.ジャンケンをして誰から始めるかを決める。
3.最初の人は、2枚のカードを裏返し、そこに書かれている文章を読み上げる。
4.2枚のカードに書かれている違いが、許せるものであるか、そうではないかについて、理由を付けて説明する。
5.もし2枚のカードが両方とも許せる違い、または、両方とも許せない違いであったら、その2枚を取ることが出来る。そうでなけれぱ、カードを元通り伏せる。
※ カードを取る人は、どんな理由でも、とにかく2枚のカードの違いが許せる(または許せない)ことを、グループ内の人に説明する。
6.みんなが納得したら2枚のカードが取れるが、納得が得られなかったら、元に戻す。
7.このようにゲームを進め、全てカードがなくなるか、時問いっぱいになるまで、ゲームを続ける。
ゲームを十分楽しんだあとで、仲間わけをした。
発問2:自分のカードの数を数えた後で、各グループ毎全てのカードを3つの山に分けましょう。(A許せる違い、B許せない違い、Cどっちとも言えない違い)
自分の取ったカードを、それぞれ3つの仲間に分けていった。だいたいのものはAかBの仲間に入るのだが、班の中でも意見が分かれるものがあった。それをCの仲間として集めた。
班ごとCの仲間を発表していった。中でも、26)野球場では、上級生は全くグランド掃除をしなくても良いが、下級生はいつも掃除をしなくてはならない、に問題意識が集中したため、これを取りあげることにした。
上級生がグランド掃除をしないのは許せない違いですか
< 許せない違い >
いくら先輩だって、同じようにグランドを使っている。
自分たちだけが、グラウンドを掃除しないのはずるい。
いくら先輩が、下級生のころ掃除をしたとしても、それを仕返しみたいに、また下級生にやらせるのはよくない。
同じ人間なのにおかしい。差別しているみたい。
< 許せる違い >
先輩たちだって、下級生のころに掃除をしてきた
同じことを先輩たちもしてきたから、おかしくはないと思う。
このような意見が出された。 < 許せない違い > と考える子の方が、多かった。
もうすぐみんなは中学校に行きますよね。こんな部活があるかもしれません。その時に「先輩、それはおかしいです。ちゃんと掃除をして下さい」って言えますか?
・「絶対言えない」
・「言えない、言えない」
といった声がたくさんあがった。現実問題、中学校の先輩に対して「先輩、それはおかしいです」とは言いづらいものである。
先輩にもいろんな先輩がいると思います。尊敬できる先輩、尊敬できない先輩など、いろいろです。自分がどんな人になりたいのか、いい先輩を選びたいですね。
発問3:どんな違いが許せて、どんな違いが許せないのですか?
最後に、許せる違い・許せない違いを分けるポイントは、何であったかを考えてみることにした。
- 外国と日本のように習慣が違うものは許せる。
- 勉強とかバレンタインのように、自分自身の努力でできたりできなかったりするものは許せる。
- 人の好みとか、その人の自由で違うのは許せる。
- お医者さんのように、いなくてはいけないところにいないものは許せない
- 命に関わることなのに、ちゃんとしていないのは許せない。
- 見た目で人を判断するのは許せない。
- 人を差別しているのは許せない。
このように違いにも、許せるものと許せないものがあること。それにはいくつかポイントがあることを話し合った。時間があれば、許せる違い・許せない違いの例を出し合いたかった。
3 プロフィール
静岡県教育サークル
1984年創立。
「理論より実践を語る」「子どもの事実で語る」「小さな事実から大きな結論を導かない」これがサークルの主な柱です。最近では、技術だけではない理論の大切さも感じています。それは「子どもをよくみる」という誰もがしている当たり前のことでした。思想、信条関係なし。「子どもにとってより価値ある教師になりたい」という願いだけを共有しています。

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