1 はじめに
本記事の実践を提供してくださった牛嶋先生が所属する早稲田アカデミーの教育理念は、「本気でやる子を育てる」です。講師が「本気で」、情熱を込めて生徒と向かい合うから、「やる子を育てる」ことができます。
本記事では、「本気でやる子を育てる」ために不可欠な、生徒をほめることに関するコツをまとめています。
ほめる対象として、生徒だけでなく保護者も含んでいます。保護者面談のコツとして使うことも可能です。
本文は以下のような構成です。
- acknowledgementの重要性
- acknowledgementの手順
- acknowledgementの視点
- 編集後記
- 講師プロフィール
なお、牛嶋先生を取り上げた他の記事( http://p.tl/Gm8i )も併せてご覧いただくと、より理解が深まります。
2 acknowledgementの重要性
人はほめられたり、承認されたりすると達成感をもち、自分が成長していることを実感できるものです。承認することを
「acknowledgement」
と呼びます。以下にacknowledgemntの重要性を示すエピソードを紹介します。牛嶋先生が国語で伸び悩んでいる生徒の個別カウンセリングをした際に、お母様から頂いた感想です。
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「テストをして、その後にすごい解説を見せられると思って構えていたのですが、全然イメージと違いました。娘の様子を先生がよく見ていて、初めてなのにこれまでずっと見てきてくださったような安心感をもちました。
問題に取り組む前にその意図の説明があり、正しければその点を心からほめ、間違っていればその原因を娘に問いかけ自分の言葉で語らせる。そんなことを繰り返しているうちに、先生のご指摘と娘が返す言葉のテンポがよくなってきて、とても楽しそうでした。3時間があっという間でした。」
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また、ほめる際には、生徒だけでなく、保護者に対して子ども 生徒をほめることも重要です。
主役は生徒であることを意識してもらい、どうすることが成績向上のポイントなのかを共有しましょう。緊張するものですが、面談の準備をしっかりと行って臨めばよい面談をすることができるはずです。
3 acknowledgementの手順
acknowledgeの手順は以下の三段階です。
①相手が何を達成したのか、どのように成長したのか、事実を知る。
②自分が見た(感じた)ものをはっきりと言葉に出して、伝える。
③ackowledgementが相手に届き、受け入れられるのを待つ。
4 acknowledgementの視点
acknowledgementには、3つの視点が必要です。
① YOUの視点
相手のよいところを評価する視点です。伝え方によってはほめているつもりでも不快感を与えることもあります。相手の受け取り方には注意が必要です。
例 「君は~だね。よくやった!」
② I の視点
自分がどう感じたかを相手に伝えることで、相手の心にストンと入ります。
例 「先生は君の記述の内容に感動した。しっかりとポイントをつかめたね。嬉しいぞ。」
③ WEの視点
相手の影響で、自分のみならず皆が感動したことを言葉に出して伝えます。関係をより深くする高度なacknowledgementです。また、保護者にほめるようお願いすることで、WEの視点を取り入れることもできます。
例 「君のがんばりをみて、みんなもやる気になってるぞ!」
5 編集後記
私が小学生の頃、先生がほめていた、と母に聞き心から嬉しかったことを思い出しました。保護者を巻き込み、WEの視点でacknowledgementを与えることは生徒のやる気を引き出すのに最適ではないでしょうか。ぜひ実践してみてください。
(編集・文責 EDUPEDIA編集部 徳川龍一)
6 講師プロフィール
牛嶋孝輔 (うしじま こうすけ)
早稲田アカデミーで25年間勤務。教育事業推進部事業推進課上席専門職「教師力養成塾」チーフインストラクター。授業開始時3分間の重要性を「学習する空間づくり」という形で、小・中・ 高・大や私塾での指導に力を注いでいる。社内外の研修、講演活動等を担当。NPO法人Teach For Japan 研修開発部顧問。
教師力養成塾e-講座(http://youseijuku.jp/)
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〜2014年度年主な協働の履歴〜
東京都足立区初任者教員研修年間サポート(http://bit.ly/19gImkH)
東京都その他の区でも初任者教員夏期宿泊研修や校内研修を担当
大阪市スキルアップ講座(http://bit.ly/1EpnH7d)
大阪府立佐野高等学校校内研修(http://bit.ly/19gH9tr)
沖縄女子短期大学教育方法論(特別講義)(http://bit.ly/1DKvkEX)
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