【中1ギャップ】対策としての【小中連携】教師ができる「7か条」と【DJポリス】の語りかけの共通点

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目次

1 はじめに

2010年夏休みに中学校(大規模校)の校内研修会に呼んでいただいて、模擬授業の提案はしてみたのですが、中学校の先生方の日々のご苦労に応える内容とは言えないという気持ちが残りました。
むしろ「教師は授業の始まりのチャイムを教室で聞こう」(どの授業にも全教師が遅れて来ない)という取り組みを、大規模校の先生方が実践しておられることに感動しました。(なかなかできることではありません)
教師の姿(生徒に手本を示すこと)で生徒を指導する教師集団に心から敬意を表します。

2 中1ギャップ対策は【小中連携】で

そんな時に、たまたま図書館で「中1ギャップ ー中学校生活になじむ指導のポイントー」(学事出版)という本を見つけました。
北海道の小学校と中学校、東京の特別支援学校の3人の先生の共著です。
文才がなくて、つまみ食い(ごめんなさい)みたいな紹介しかできませんが、本当は、本書を直接お読みくださることを、ぜひオススメいたします。
中学校区研究会などで、小中学校の先生が論議する時の、具体的な参考になるのではないでしょうか。
では、紹介させてください。

中学校入学までに、つけておきたい20の力(学習面)

  • 国語辞典が使いこなせる。漢和辞典も使える。
  • 主語と述語がわかり、助詞の使い分けができる。
  • 動詞と名詞と形容詞の区別ができる。
  • できごと順に作文が書ける。
  • ローマ字の読み書きができる。
  • 漢字の90%が読めて80%が書ける。
  • 詩歌やことわざの暗唱を経験させる。
  • 適度な速さで、板書をノートに書ける(後から読める字で)
  • 一定の分量の話のメモがとれる。
  • 古典文学や歴史小説や伝記などを6冊以上読む。
  • 加減乗除ができる。
  • 基本的な単位の換算ができる。
  • 基本的な図形が見分けられる。
  • 時間と距離と時速の関係がわかる。
  • 割合があかる。
  • 日本列島の略地図が書け、47都道府県の位置がわかる。
  • 世界地図の略地図が書け、おもな国々の位置がわかる。
  • 憲法が読める。
  • 定規やコンパスやハサミや色鉛筆が使える。
  • 1時間の家庭学習(自主勉強)の習慣がある。

【かなり要求のハードルが高いので、論議して精選したいものです(私の感想)】

小学6年生の担任へお願いしたいこと(10のポイント)(生活面を中心に)

  • 進学の不安を取り除くためにできることは何かを常に考えてやってほしい。
  • 中学1年生の1年間の流れや、大きな行事について見通しを持たせてほしい。
  • 友だち同士で問題解決する力を育ててほしい。(担任がいつも教室にいるわけではない)
  • 板書を書き写すスピードを速くしてほしい。(量が格段に増えるので速さが求められる)
  • 週に1度は外遊びをする習慣を定着させてほしい。(特に女子は激減する)
  • ユーモアのセンスをみがいてやってほしい。(苦しい場面をのりきる知惠になる)
  • 寒暖に合わせて、衣類の調整ができるようにしてほしい。
  • 場に応じたあいさつができるようにしてほしい。
  • 身のまわりの整理整とんができるようにしてほしい。
  • 九九やローマ字、漢字、定規の操作、視写など、学習の基本を定着させてほしい。

【この10個、できるできないはともかく、担任が意識することが大切です(私の感想)】

中学1年生の担任へお願いしたいこと(10のポイント)

  • 小学校の行事を見に来てほしい。(運動会などでの6年生の動き)
  • 小学校最高学年での経験を生かしてほしい。(引き継ぎで聞いてほしい)
  • 知り合える機会を多く創出してほしい。(4月の出会いの演出)
  • 多様な発言の場を確保してほしい。(グループ学習など)
  • 学び方を指導してほしい。(予習の具体例をいろいろ、テスト勉強の具体例もいろいろ)
  • 具体的例示も示しながら授業も行ってほしい。(とりわけ数学は抽象度が増すから)
  • 小学校で身につけた技能に着目してほしい。(小の国算ノートで、そこそこわかる)
  • 子どものよさの情報交流を活発に行ってほしい。(教科担任どうしで)
  • 力関係のシステムを発動させない指導を意識してほしい。(給食など目の届きにくい所)
  • 人間関係の様々な枠組みを取り入れてほしい。(小学校は子どもの組み合わせが多様)

【不安と緊張の中学校生活になじむため、学年担任団で意識したいことです(私の感想)】

特別な支援が必要な子どものために全教師にお願いしたいこと

  • わかりやすい情報提供こそ、コミュニケーションを成り立たせる。
  • いつ、どこ、だれ、なに、の情報をわかりやすく示してあげてほしい。
  • 行動を分析する目を鍛えよう。(共感的に発想して、今までの常識を疑おう)
  • 支援の情報を得て活用することに、いつも注意をはらおう。(知らなければ調べよう)
  • 「特性」と「こだわり」の活用が改善への近道と考えよう。
  • 過敏性への配慮をすること。(視覚、聴覚、触覚、味覚、臭覚過敏の子がいる可能性大)
  • 過去の苦しい記憶を思い出させないような支援をしよう。
  • 音声情報よりも視覚情報を活用しよう。
  • 「耐えさせること」に絶対の価値を置いた指導は排除しよう。(その場面での子どもの苦しい気持ちを教師が代弁しながら、他の場所に移動させよう)
  • 保護者や同僚と情報を共有しよう。

【「つらかったね。ほっとする所へ行くよ」という共感的な声かけと場所移動、教師が「そのままでいいんだよ」というOKサインを出してあげることで、パニックになりそうな局面を、うまく避ける行動が徐々に身につくそうです(私の感想)】』

すでに取り組んでおられる点も数多くあるかも知れませんが、本の紹介は以上です。
改めて、本書を直接お読みくださることをオススメいたします。
小中学校が連携するための論議の、すばらしいたたき台になります

以下は、その時、中学校:校内研修会に持参いたしました資料の一部です。
使えるところが一つでもあれば、ご活用ください。

3 中1ギャップ~学級づくり(生活指導・学習指導)のベース:7箇条

① 朝の健康観察で生徒の心の様子を見抜こう

朝の健康観察でクラス担任が一番大切にしなければならないことは、生徒一人ひとりと目と目を合わせてみることです。
目を合わさない生徒は要注意です。
生徒のまなざし、表情、仕草、返事、声の状態等、毎朝どの生徒にも目と目を合わせてみるのを続けていると、
その子が心から元気に出席しているのか
その子がイライラした心で出席しているのか
沈んだ心で仕方なく出席しているのか
今日の気になる状況の子はこの子とあの子というふうに、一瞬で感じるようになります。 
そうなれば、その日、声かけを意識的にしてやらなあかん子がカウントできます。
気になる子には、そっと声をかけます
それで、家で何かあったことを背負ったまま登校してきたことがわかれば、保護者への対応が必要か教師間で即相談できます。
部活の朝練や、朝の教室などであった生徒同士のトラブルを引きずっていれば、話を聞いてあげて、早急に対処することもできます。
教師は忙しい仕事ですから、後手に回るより、先手必勝です。
つまり、朝の健康観察こそ、積極的な生徒指導のシンプルな実践なのです。

② どの先生も同じ思いで、同じこと言わはる

4月最初の1週間で、
どの先生も同じ思いで、同じこと言わはる
先生たちは口先だけちゃう
と生徒たちに思わせることが、生徒指導上いちばん大事なことかも知れません。とりわけ、
学習に必要のない物を持ってきてよいかどうかの○×は、全教師が一致結束すること
完全下校時刻を守らせることの徹底は、たった一人の部活顧問も、勝手に例外をつくらないこと
この二つがおろそか(見て見ぬふり)になると、持ち物や時間を守らない生徒が増えます。
部活終了時刻は、体育館、グランド、武道館など、それぞれの場所で、隣同士の部活の顧問が、お互いに声をかけ、全教師が徹底して部活終了時刻・完全下校時刻を守る手本を生徒たちに示しましょう

③ 授業の導入だけは教師間で交流しよう

ただでさえ忙しい職員室ですから、最低限、日々の授業の導入だけでも教師間で交流しましょう。
毎日の授業の導入の善し悪し(出来・不出来)の積み重ねが、学級づくりを左右します。
生徒が食いついてくるような導入、生徒の瞳が輝くような導入を、日頃から同学年部や同教科の教師間で交流し、導入の『引き出し』をたくさん共有している教師集団になってほしいと思います。
もちろん、あの手この手を使っても、なかなか学習に集中できない生徒は、決して少なくありません。
A君、こっち向いて」→「うれしいな。向いててや
Bさん、教科書出して。○ページ開けて」→「すばやいな。えらいぞ
C君、ノートに書くんやで」→「できるやん。さすがは△年生
このような当たり前のことが出来ていない生徒にこそ、
こまめに指示を出して→ほめること』(豆つぶのようなスモールステップ)のくり返しを、4月から6月まであきらめずに粘り強く続けてみてください。
勝手気ままに立ち歩く生徒らとのガマン比べになりますが、3か月やり通したらクラスは、きっと徐々に落ち着きます。

④「失敗は成功のもと」の体験を共有させること

国語の音読です。挙手したA君、硬くなり読めません。
周りの子は「早く」とせかします。
先生は「手を挙げたの、えらいね。一人じゃ緊張するもんなぁ」とA君に微笑みながら「なあ、みんな」と周囲にも同意を求めました。
周りの子も「わたしも緊張するわぁ」「ぼくもや」と相づちを打ちました。
温かい雰囲気になりました。
これでほっと安心できたA君は、次の先生の問いに挙手して指名され、今度は大きな声で答えました。
以上、立ち直りへの支援が自立をうながす実践の紹介でした。
この先生は、A君が挙手した意欲を「えらいね」と共感し、
読めなかったことは「緊張するもんなぁ」と支援しながら、
なあ、みんな」と周囲にも共有させて、
再度A君を指名して自立をうながしたのです。
どの教師でも、ちょっとした配慮・気配りで毎日できる実践です。

⑤ みんなの前でうまくしゃべれない子のために

みんなの前で話すのが苦手な子は、
うまく言えなかったら・・・」
笑われたら・・・」
と思っています。
過去にけなされたり、否定された経験があるのでしょう。
4~5月は、そのこわばりをほぐしてあげる時期です。
間違わない子は一人もいない、間違うことは賢くなるために大切などなど、教師から日々具体的に発信します。
ボソッ
と単語で発言したり、
モゴモゴ
言っちゃう子だって、気持ち(思い)はいっぱいあるはずです。
だから、それをみんなに予想させて、その子の代弁をしてもらうのです。
△△君が言いたいことの続きがうかんだ人、いるかなぁ?」
△△さんが言いたいのは、たぶん、こういうことやと言える人、いるかなぁ?」
というふうに、ボソボソ発言・モゴモゴ発言は、つまずき(失敗)として流す(切る)のではなく、みんなの発言をつないでいく貴重な出発点として評価してあげるとよいのではないでしょうか。
こういう教師の姿が毎日・毎時間見られるクラスでは、安心して発言しやすい空気が教室全体に生まれてきます
さらに、
ちぇっ、先に言われてしもうた
というつぶやきが減り、みんながお互いの発言を聞き合おうとするムードが教室中に広がってくるから、教師の『ひと言』って大きいですね。

⑥ トラブルはその子とつながれる絶好のチャンスだ

それでもトラブルは起こるものだと思っておきましょう。
トラブルが起こったら、その子とつながれる糸口だと思いましょう。
その子の言い分をウーンと聞いてあげます。
困ったねぇ
と言いながらも、安易に同調(他の子や他の教師への批判)はしません。
あれこれ言い訳をするうちに、その子のさびしさ・かなしさ・くやしさをチラッと見せてくれます。
それを逃さず、
きみのくやしい気持ち、よーくわかったで。ほんまにくやしかったんやね
そうか、つらかったんやねぇ。それで腹が立ったんやぁ
と、その子の気持ちには共感(その子の思いをその場で代弁)したあげたいものです。
そういう教師のひと言があるか、ないかによって、その後の教師の指導(語りこみ)がその生徒の心の中まで届くかどうかが決まります。
その前に、その生徒の背景(過去・現在)を教師が理解しているかどうか(その子とどうつながれたか)で、教師の言葉のトーン(その子にどう聞こえるか)が変わってきます。

⑦ 「テスト勉強の方法なんか、わからへんもん」

帰りの会、連絡帳に宿題「テスト勉強」を書くD君(中学1年)がつぶやきました。
「どうせ、テスト勉強の方法なんか、わからへんもん」
次の日、学活の時間『すばらしい中学生になるために テスト勉強大作戦』プリントと、1週間のテスト勉強計画表を配りました。
中間テストの1週間前が来るまでに、もう一度テスト勉強の計画表づくりと、テスト勉強のいろんな方法を知って練習するためでした。
そのきっかけを、D君がくれたのです。
計画表は作るのを楽しむつもりでやろう
色分けしてカラフルにしてもいい
途中で計画だおれになったら、また新しい計画表を作ったらいい
という話をしました。
計画を立てるのが好きな子になってほしかったのです。 
テスト勉強の方法は三つ教えました。

毎日こつこつ勉強法(例:その日習ったページを音読するのを、毎日やってみよう)
くり返し勉強法(例:単語を書くのを何度もくり返すと、覚えるのが得意になるよ)
五感勉強法(例:声に出して読むと耳からも入るし、書くと目からも入り、二倍お得)
継続は力なり
くり返しも力なり
『目だけとちがうで!手も口も耳も力なり
を実感してほしかったのです。
大事な所に線を引く、手で隠して試しテストをする、友達と質問合戦もしてもらいました。

4 すばらしい中学生になるために『三つの勉強法』大作戦

テスト勉強は、次の『三つの勉強法』をおすすめします。
この『三つの勉強法』は、京都の中学校の先生方による実践です。

五感勉強法

五感勉強法』とは、目、耳、口、頭、手を全部使う方が、どれかひとつを使うより、覚えやすいし、忘れにくいということです。
見る(読む)、聞く(自分の音読する声は耳から頭に入る)、話す(音読するなど、声に出す)、考える(問題をやってみる)、さわる(手でペンを持って、ここだと思う所をノートに箇条書きする)など、体の全ての器官を総動員してみましょう。
声に出して音読したり、マーカーで大切だと思う所に線を引いたり、手でかくして言えるか試してみたり、大事だと思った所をノートに書き出したり、いろいろやってみてください。 
五感は力なり」「手も耳も口も力なり」です。

毎日コツコツ勉強法

毎日コツコツ勉強法』とは、その日習った所を声に出して読むという復習もふくめて、最も大事な勉強法です。
身について離れない力(実力)をつけるための、勉強のコツは、毎日コツコツ続けること以外にはなく、このことこそ、遠回りのように感じる人もいるでしょうが、一番の近道(王道)と言っても、言い過ぎではありません。
全部覚えてしまおう、というくらいの気持ちでやりましょう。
毎日、時間を決めて、短時間でもいいから続けることです。
長時間だと、長続きしません。
プロのスポーツ選手など、世の中で成功した人たちが、成功の秘訣を聞かれて、答える言葉で多いのが、
継続は力なり」なのです。

くり返し勉強法

そして、最後の決め手が、『くり返し勉強法』です。
テスト前の一夜漬け勉強では、本番で覚えていられる部分がどうしても少なくなってしまいます。
ところが、同じことでも、くり返しくり返し覚えようと意識していると、だんだん覚えることに慣れてきて、そのうちに忘れにくくなるのです。
不思議ですが、「くり返しも、また力なり」と言えます。

以上、『五感勉強法』『毎日コツコツ勉強法』『くり返し勉強法』の三つについて書きましたが、この三つの方法を組み合わせて、やってみてください。
自分に合う方法が見えてきますよ。
自分に合う方法が見つかれば、続けられるようになります。
そうすれば、きっと、じわじわと身について離れない力がついてくるでしょう。
今からチャレンジしていけば、相当な実力アップができるはずです。

生徒指導(おまけの復習)

① 生徒への声かけは、わざと「こらっ」から入らないことを意識しましょう。
どうしたんや?」
から入る、これができるようになると、教師としての「器がひと回りでっかく」なります。
そういう先生を、生徒たちは尊敬して慕うようになります。
子どもは、自分らの話(気持ち)に耳を傾けてくれる先生の言うことは聞きます。

② 他のクラスの子のキラッと輝く瞬間をメモして、担任の机上へ→担任がその子をほめる『キラッと見つけ』の取り組みを職員室全体に広げましょう。取り組んで成果を上げている小中学校も、けっこうあります。
それは、ほとんど荒れていた学校です。

③ うまく言えなかった発言や失敗発言を大事にする教師は、その子らの気持ちがへこまないように、その発言を生かして、授業をつないでいきます。
いわゆる「聴き合う空気感づくり」の授業スタイル(子どもへの向き合い方)です。(上記の7か条の⑤でふれています)

④口数の少ない子には、その子が言った言葉をくり返してあげる「パラレルトーク」をしてあげると、その子は、その次のことをポツリ「◎◎」と言ってくれることがあります。
それを、教師が「◎◎なんやね」とくり返すと、またポツリと言ってくれ、会話がつながっていきます。

⑤子どもが急に荒れ始めたら、暴力は阻止しつつ、
どうしたの?」
何かいやなことがあったの?」
何かいやなことをされたの?」
と声をかけ、理由がわかったら、その子の理由を代弁してあげます。
「~くやしかったんやなあ
「~腹も立つわなあ
という感じです。
気持ちをわかってくれたと実感できた先生の言葉には、生徒も耳を傾けてくれます。
同じ意味で、先日の渋谷「DJポリス」の若者たちへの語りかけは、見事でした。(あっぱれ!)
あの姿こそ、生徒指導対応のお手本と言えるのではないでしょうか。

5 イジメや体罰を考える

6年生の3学期に取り組めることとしては、校長・教頭・教務・養護教諭・同学年担任など、できるだけ学級担任以外の教師にも授業をしてもらうことでしょうか。
中学校の教科担任制の予行演習みたいな日が、1日でもつくれたらいいなぁと思います。
年度初めに「高学年の担任同士で交換授業をしてみよう」と提案された校長先生もおられました。
中1ギャップ対策として、なかなか興味深い試みでした

2012年8月18日に「いじめのない学校の雰囲気をはぐくむのは、教師集団のチームワークです」というブログ記事を出したのですが、再度、「体罰のない学校づくり」のため、その記事の後半をのせさせてください。

『・・さて、オリンピックと学校を混同するなと言われるかも知れませんが、中学校の県大会(運動部)で何度も優勝経験のある、1人の優れた指導者は、こう語っておられます。

「部活は、部員(生徒たち)と顧問(監督)が、毎日コツコツと練習する中で、スモールステップを与えては「ほめる」という日々のくり返しの「過程」が最も大事なのです。
ミスをしたのなら、そのミスから何を学び、そのミスを前向きにとらえ、創意工夫する生徒、あきらめない生徒を育てられるかどうかが、指導者の力量(器)と言えます。
つまり、問いかけるのが顧問の役割考えて実行するのは生徒だと意識して指導していると、意欲的な生徒が育っていくのではないでしょうか。
指示・命令だけでは、「指示待ち生徒」しか育ちません。
普段の練習で、たゆまぬ努力と、悔しさと、スモールステップを積み重ねてきた結果、試合での勝利や大会での優勝は、決して楽じゃない地道な過程を共に歩んできたことに対するささやかな「ごほうび」なのです。
そう謙虚に受けとめるのが、中学高校の部活指導者として、最低限の心得だと言えるでしょう。」

毎年、主体的な生徒たちを育て続けた上で、何度も優勝に導かれた指導者の言葉ですから、まっこと説得力があります。
教室の、学年の、学校の、空気を変えるための、日々の小さな取り組みを、全教職員で始めましょう。
温かな雰囲気は必ずつくれますから・・。
高圧的だった教員の言葉・行動も、きっかけ(同僚の助言)があれば、きっと変わりますから・・。
そして、教師に、子どもの思いや事情を受けとめてもらえたら、子どもも徐々に変容していきますから・・。
さあ、「無理、ダメ、できない」を簡単に連発して足を引っ張らず、同僚全員で子どもたちとの信頼関係の再構築を1歩ずつ進めてみましょう。
手探りで「3歩進んで2歩さがる」という、じれったいペースになるでしょうが、学校というチームとしてあきらめないで!』

以上です。
さあ、気づいたら、言いにくいことでも進言する勇気と、耳の痛いことを忠告されたら、感謝して受けとめる度量・・そんな学校教師集団へステップアップしてほしいし、子どもの思いを受けとめる気持ちがあれば、きっとできると期待しております。

そこで、会津藩「什の掟」を少し真似させてください。

6 イジメも差別も体罰も「ならぬことはなりませぬ」

 
★イジメかどうかを決める権利があるのは、イジメを受けた被害者だけです。その権利は、加害者にも、その親にも、学校にもありませぬ。やっておきながら、イジメではないと、しらを切ってはなりませぬ。

★体罰かどうかを決める権利があるのは、体罰を受けた被害者だけです。その権利は、加害者にも、他の子どもの保護者たちにも、学校にもありませぬ。やっておきながら、体罰ではないと、うそぶいてはなりませぬ。

★被害者が弱いと、他人が勝手に決めつけてはなりませぬ。誰にも決めつける権利はありませぬ。イジメも体罰も、ならぬことはなりませぬ。

★差別かどうかを決める権利があるのは、差別を受けた人だけです。その権利は、差別をした人にはありませぬ。見て見ぬふりも、してはなりませぬ。

★虐待・パワハラ・セクハラ・DVかどうかを決める権利があるのは、された人だけです。その権利は、加害者にはありませぬ。やっておきながら、していないと開き直ってはなりませぬ。虐待・パワハラ・セクハラ・DV、ならぬことはなりませぬ。

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