子供と学校の強力なサポーター -保護者の進路への理解と協力を進める取組み-(安田賢先生、荻野俊樹先生)

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作成者: EDUPEDIA編集部 (Edupedia編集部)さん

1 はじめに

本記事は、中日新聞東京本社と受賞者から許可を得て、第16回「がんばれ先生!東京新聞教育賞」の受賞論文を掲載させていただいております。
http://www.tokyo-np.co.jp/event/kyoiku/
また、他の受賞論文もご覧いただけると幸いです。
第16回「がんばれ先生!東京新聞教育賞」の受賞論文 まとめのページ
http://edupedia.jp/entries/show/1730

2 子供と学校の強力なサポーター −保護者の進路への理解と協力を進める取組み−

3 はじめに

平成25年10月4日にPTA主催の保護者向け進路講演会を実施した。企業の人事担当者を講師としてお招きし、障害者雇用の取組みを中心にお話をいただいた。講演会で流された知的障害者が生き生きと働いている映像に、多くの保護者が目を奪われ、涙ぐまれていた方もいらっしゃった。

今回も40名以上の保護者が集まり、熱心に師の話に耳を傾けていた。出席した保護者から多くの質問があり、講演会終了後にも講師への質問が途絶えることなく、充実した会となった。

本校は小学部から高等部の3学部の児童・生徒が在籍する知的障害特別支援学校である。子供たちは「自立と社会参加」を目指し、それぞれの進路に向け日々の学習に取り組んでいる。その中で、私は保護者の進路に対する理解と協力が、子供たちの進路選択の幅を広げ、より良い進路選択へと導くことができると確信している。

しかし、情報が氾濫するこの社会で、知的障害のある生徒に対する高等部卒業段階での進路情報は多いとは言えない。また、彼らの進路は福祉や企業に関する法令等によって大きく左右されるが、その情報を耳にする機会が少ない。

これらの解決策として本校が実践しているのは、進路便りによる『情報発信』とPTAと連携した進路行事からの『情報発信』である。

進路便りは平成22年4月から発信し続け、平成25年10月で46号となる。進路便りは、生徒の進路や将来を保護者に少しずつ意識してもらおうと発行している。また、外部の方々にも見ていただけるよう、本校ホームページにアップするようにしている。【文末にURL記載】

PTAとの保護者向け進路行事は、毎回、多くの保護者が集まってくださるからこそ、現在でも継続・発展することができている。

このような本校PTAとの取組みを、この発表の機会をいただき社会に向けて『情報発信』するとともに、進路に対する保護者の理解と協力を引き続きお願いしていきたい。

4 本校の特徴的な進路行事

平成25年度のPTA進路行事は、表1の内容を計画している。ここでは「進路のいろは(進路勉強会)」と「四区合同進路説明会」について、その内容を紹介する。

(1)進路勉強会「進路のいろは」の誕生

進路勉強会は、私のところへ質問に来られた保護者の「子供の将来についてもっと知りたい」との思いを、前PTA会長がすぐに検討してくださり、9月にはPTA主催として、当時の副校長と私が講師役となり第1回の進路勉強会を実施した。 

この勉強会では、保護者の知りたい内容と事前アンケートから質問を集約し、質問への回答を当日の発表資料に反映させていくようにした。第3回からは「福祉就労」と「企業就労」に分かれてミニ分科会を実施し、保護者がより具体的な質問をしやすいようにした。

保護者に伝える立場として嬉しく思うのは、質問される内容の難易度が上がり、保護者の進路への関心の高さや、進路勉強会の場の必要性を実感することができるからである。

今年度で4回目となるが、今回も63名の保護者が参加してくださった。今後も新しい情報を組み込んで、新規の保護者も、継続して参加されている保護者も何らかの収穫があるような企画・運営に努める。

(2)PTAとの共同開催「四区合同進路説明会」

本校は港区、品川区、目黒区、渋谷区の4区を中心に生徒が在籍している。各区によって福祉の取組みは少しずつ異なるので、平成22年度までは区毎に福祉関係機関の方々をお呼びし、説明会を実施していた。しかし、保護者の参加数が少ない区があることと、年度初めの4月、5月に同様の会を4回開く日程調整の困難さが課題であった。

前PTA会長の『4区合同で開催してみては』とのアイデアから、そのイメージを当時の副校長とともに実施案に起こし、PTAと何度も打ち合わせを重ねて形を作った。

この企画は4区の福祉関係者が一堂に会するPTAと連携した進路行事であり、今まで参加されなかった保護者や福祉施設にも関心をもっていただくことができた。第1回から4区の福祉司と福祉施設25施設【その内8施設は資料での参加】に御賛同をいただけたことで80名以上の保護者の参加をいただいた。この会の魅力は、各区の取組みを比較して話を聞くことができ、ワークショップ形式で、興味のある福祉施設の職員の方から具体的なお話を聞くことができることである。

4区合同開催によって、他区の福祉施設の取組みに興味をもたれる方もおり、進路選択の幅を広げるという観点でも効果的であった。

また、関係者に覚えていただきやすい七夕の時期での年1回開催とすることで、課題であった日程調整の負担もなく、区による参加者数のばらつきも解消することができた。

この説明会も今年度で第3回となるが、毎年多くの福祉関係機関の御協力をいただき、保護者が参加してくださる進路行事となっている。今では本校保護者だけではなく、近隣の特別支援学校保護者、就学前施設の保護者、親の会の方にも呼びかけ、様々な方に参加をいただいている。

今年度は今後の継続の有無や改善を検討する節目と捉え、参加者から事後アンケートを取ったが、保護者と福祉関係機関の方々、双方から来年度も参加したいという好意的な評価を多数いただくことができた。

5 PTAとの連携と協力があるからこそ

これだけ充実した保護者向けの進路行事が実施できているのは、PTAの協力体制があるからこそである。前PTA会長と現PTA会長を中心に、本校進路の取組みについて御理解をいただき、PTAの広報誌に進路行事の告知や実施後の総括を載せてくださり、これらの取組みを校外へも発信してくださっている。

特に四区合同進路説明会については、全ての参加者を含めると毎年100名を超える規模となる。参加者の呼びかけから、前日の会場準備、配布資料の増刷、名簿や掲示物の用意、当日の受付・案内、事前・事後アンケート集約等の協力をいただいている。

参加者が100名を超える企画・運営は、本校進路指導部だけで行うことは困難であり、PTAとの連携と協力が得られることで、これだけ大規模な進路行事を円滑に運営することができている。

6 まとめ

私は、進路指導部に携わって6年目になるが生徒たちの『進路』というものは、法令や社会情勢等が絡み合い、とても奥が深い。

本校では引き続き『情報発信』から保護者に、進路について関心をもっていただくよう努力をしていく。進路便りでは、保護者の必要としている情報を見極め、分かりやすく、正しい情報を発信していく。また保護者向けの進路行事では、今年度の新たな試みとして、卒業生の保護者を講師としてお迎えする講演会を企画している。様々な進路を歩んでいる卒業生の保護者を複数名お呼びし、お話をいただこうと考えている。

今後も進路行事の継続、発展を考えると、PTAの連携・協力は不可欠であり、引き続き協力をいただきながら、子供のたちのより良い進路選択のために進路行事を充実させていく。

保護者の進路に対する理解と協力が、生徒の進路選択に大きなプラスとして働き、必ず子供たちに還元される。
【『進路便り』のページ http://www.minato-sh.metro.tokyo.jp/cms/html/entry/16/5.html

7 実践者プロフィール

都立港特別支援学校 主任教諭 安田賢、主任教諭 荻野俊樹
第16回「がんばれ先生!東京新聞教育賞」受賞

8 引用元

第16回「がんばれ先生!東京新聞教育賞」受賞論文『子供と学校の強力なサポーター −保護者の進路への理解と協力を進める取組み−』(都立港特別支援学校 主任教諭 安田賢、主任教諭 荻野俊樹)より引用
「がんばれ先生!東京新聞教育賞」
http://www.tokyo-np.co.jp/event/kyoiku/

本論文は中日新聞東京本社と受賞者から許諾を得て転載しております。
他の受賞論文はこちら→( http://edupedia.jp/entries/show/1730

9 東京新聞教育賞について

「がんばれ先生!東京新聞教育賞」は、東京都教育委員会の後援を受け、平成10年に東京新聞が制定したものです。

学校教育の現場で優れた活動を実践し、子どもたちの成長・発達に寄与している先生方の実像は、ともすれば教育に関わる様々な問題や事件の陰に隠れ、社会一般には充分に伝わっておりません。本賞は、子どもたちの教育に真摯に取り組む「がんばる」先生の実践を募集し、それを広く顕彰・発表することで、先生自身の更なる成長と、学校教育の発展に寄与することを目的としています。

募集は6月から10月中旬にかけて行われ、教育関係者らによる2段階の審査を経て、翌年3月に東京新聞紙面紙上にて受賞作品10点を発表します。受賞者には、賞状・副賞ならびに賞金(1件20万円)が贈られます。

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