身辺整理は宿泊行事の成否に関わる課題

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作成者:matui hiroshi (Edupedia編集部)さん

1 身辺整理をさせていますか? 

掃除がきちんとできていない教室、整理整頓ができていない教室は、喧嘩が起こりやすい、トラブルが多発すると言われます。クラスの子供たちに気持ちの良い環境で過ごそうという意識が薄れてくると、クラスが荒れやすくなるというのは、よく言われることです。
 ところが、教員の中には、整理整頓が好きな者もいれば、苦手な者もいます。苦手な者は年間を通して美しい学級を保つことができるように、注意力を持ち続ける必要があります。
 これは、宿泊的行事においても言えることです。宿泊を伴う行事の中でも、2泊~5泊と、長い目の泊数である場合は特に注意を払う必要があります。特に最近の子どもたちは自立ができておらず、整頓が苦手な子供が多いです。整頓のみならず、精神的な強さの面でも親から離れての長い宿泊には不向きな子どもが多いと思います。
 たくさんのそのような子どもたちを引率し、忙しい中多くの部屋を管理するのは難しいです。そこをなんとかして自律的・自立的な生活を促しながら、帰途につくまで部屋の整理整頓を続けさせ、気持ちよく過ごさせたいものです。林間学校(あるいは自然学校・キャンプ)は短期決戦なので、教室をきれいにするのとはまた違った戦略も必要です。整理整頓をきちんとさせることに成功すれば、林間学校は半分成功したといっても過言ではないでしょう。
では、そのためには何をしていけばいいでしょうか?

2 意義を全員に話す

宿に着いて時間がたってしまってから、乱れた部屋の子どもだけを呼び出して注意しても、もぐら叩き状態となり、なかなか全体がきれいになることはありません。「なぜ、整理整頓が大切か」を全員に説明し、出発までに理解させることが必要です。

○林間学校だけではありません、学校でも、家でも、いつでも美しい環境で生活をすることは大切です。
○しかし特に、これから始まる林間学校では、部屋やトイレを美しくしてほしいです。なぜだかわかりますか?林間学校での生活と学校や家での生活との違いは何でしょう?そうです、みんなで寝泊まりすることです。一緒に寝て、一緒に起きて、一緒に食事をします。そうです、小学校生活で、林間学校が一番長く泊まります。そうです、大勢の人数で行動します。こんなに大勢で寝泊まりする経験は、初めての人が多いです。
○美しい環境で生活をすれば、心も落ち着き、頑張ることができます。みんなが楽しく生活できます。
○逆に、もし、部屋が滅茶苦茶であればどうなると思いますか?(ここは、経験豊富なふりをして)先生が今まで何度も林間学校に行った経験から言うと、部屋が滅茶苦茶だったときは、たくさんのトラブルが起きました。けがをする子、喧嘩をして仲間外れにされて泣いている子、食欲がなくなって病気になる子・・・部屋が乱れるのと同じようにみんなの心が乱れ、ろくなことが起こりません。トラブルがたくさん起こって、みんながうんざりしてきます。
○みんなの部屋・トイレ・食堂、そして旅館全体は、これからみんなの生活する場所です。「みんな」の場所です。「みんな」の場所を大切にしようという気持ちが部屋の片づけに表れます。みんなの場所を大切にしようという気持ちがみんなの中にあれば、今回の林間学校全体の集団生活の中に、みんなの協力ややさしさといった大切な気持ちが生まれてきます。みんなの部屋がきれいであれば、この林間学校は半分成功したと言えます。逆にこれをいい加減にやって、しまえば、さっき言ったように全体が乱れて、面白くない結果になってしまいます。

3 どこまでやれば合格なのかを具体的に示す

漠然と、「部屋をきれいに」と言っていただけでは子どもたちによって「きれい」の感覚が違うわけですから、きれいの感覚レベルが低いメンバーの部屋は当然汚くなります。本人たちはそれできれいにしていると思っているわけですから、そこを叱ってみても、「なんでー?きれいにしてるじゃん??」と反感を買ってしまうだけです。そこで、具体的に、目に見える形で、「きれいな状態とは何か」「いつの時点できれいであればいいのか」と、基準を示してあげる必要があります。

○部屋の玄関の靴(スリッパ)がそろって、靴入れに入っている。あるいはドアの方に先が向いてそろって並んでいる。
○トイレも上と同様。
○部屋の隅にバックが置かれている。
○食事の前、大きな行事で移動する前には、バックの中に荷物が入っている状態にしておく。

などです。あまり細々と言い出すと、守れなくなり、守れないと叱らなくてはならない羽目になってしまうので、ある程度の状況でよしとすることも大切かもしれません。

4 室長や班長に気を付けさせる

整頓をがんばれと言っても、苦手な子どもにとっては、そうすぐにできるものではありません。室長や班長、あるいは部屋係や整頓係がいる場合は、「部屋を離れる際には特に、整理整頓ができていないルームメイトに一声かけてあげるように。」と言って注意を促しましょう。就寝前に班長(室長)会議を開く場合は、そのときに、確認をして、整頓への意識を高めてあげましょう。

5 すぐにチェックを入れる

最初の指導が大切です。宿に着いて、1日目の大きな行事や最初の食事があり、全員集合になった時に、すぐチェックを入れましょう。2日目になって相当乱れが激しくなってしまってから指導をしても、なかなかきれいな状態には戻せません。

6 具体的なチェックを。(集める)

口頭で注意だけしていても、子どもたちにはなかなかピンと来ないものです。また、整頓の悪い部屋だけをチェックするのではなく、全部の部屋をチェックしてみましょう。最近は男性教員が女子の部屋に入りにくい雰囲気意になってきていますので、男性・女性教員が協力してチェックをしていきましょう。
「残念」「もうひと頑張り」「グッド」「ビューティフル」などと3~5段階の評価をつけて、発表してあげるのもいいと思います。
部屋に落ちている物(=バックの中に入っていないもの)を全部拾って(※どの部屋から拾ったものかわからなくならないようにコンビニ袋などに仕分けして)、後で取りに来るようにするのも効果的です。これにはけっこう手間がかかりますが、徹底するのであればここまでやってみる価値はあります。

7 就寝前などに、整頓タイムを設ける

行事のプログラムが多く、時間的にきついと、ついつい部屋が乱れてきます。時間に余裕がないときには、就寝前等に十分な時間をあたえて整理をする余裕をつくってあげましょう。

8 ほめる

最初にきちんと指導をすれば、帰路につくまで、けっこうきれいな状態を保つことができます。「6」でチェックをした後に、食事の終わりの時間などを利用して、手短に各部屋への評価を発表しましょう。この時、一番美しかった部屋をとくに、オーバーにほめてあげるのがいいと思います(たいてい女子の部屋が美しいと思います。)だめだった部屋については、短くダメ出しをしましょう。2・3回目にはきれいな部屋がふえてきます。この時に、

○素晴らしい!○号室をはじめとして、きれいに整理整頓ができている部屋が多くなってきました。こんなにきれいに整理整頓ができているのは、何度も林間学校にいった中で、初めてのことです(←少々誇張でも構わないと思います)。これは、部屋がきれいだということだけではなく、みんなの気持ちが個人個人で勝手気ままな気持ちで生活しているのではなく、この○○人いる○年生全体のことをお互いに気遣いながら生活ができるようになってきている証拠だと思います。実際に今日は「○○○○○○○○○○○・・・・(←今日の人への気遣いという点で良かった出来事を具体的に話す)」ということがありました。みんなの気持ちがひとつになってきているのを感じます。最後まで、この調子を続けてください!!

と、必ず他の「集団生活を送ることに関して良くなってきた要素」も話題に出しながら、ほめます。そうすることによって子ども達の気持ちが上向きになってきます。同時に、何かほめることをみつけようというポジティブな気持ちが教員側にも芽生えてきます。

9 マイナスになりかねない要素をプラスに変換

乱れた部屋では子供たちの言動も乱れてきます。下手をすると身辺整理ができていない状況はストレスの原因、あるいはトラブルの遠因になるなどして宿泊行事をマイナス方向へ引っ張っていく要素になりかねません。子ども達も教員側も、ネガティブモードに入ってしまって、最後まで抜け出すことができないままになるケースもあります。
ところが、このようにして先手を打ち、かけすぎに思えるくらいの手間をかけ、丁寧に計画的にことを進めていけば、けっこううまくいきます。特に宿泊行事は子ども達の気持ちがハイになりやすいので、普段教室ではできていないことであっても、できてしまう場合があります。ここで、上記「6」のようにほめることを続けます。身辺整理という実は誰にでも「やればできる」ことを利用して、「自分たちはできるんだ」というある意味「錯覚」を起こさせながら、最終日までこれを引っ張り、ほめることができる要素、つまりプラスの鉄板ネタとして握り続けることができます。
 学校に帰って来たときに、お迎えの保護者が集まっているなら、そこでもまた、「子供たちは本当に立派に自立した生活を送れることができました」と、報告をすることができます。
 教室でも同様な身辺整理の徹底を1年間(6年間)続けられればいいのですが、平時は教室に担任は1人しかいませんので、宿泊行事ほどの人手がおらず、時間もありません。場合によっては宿泊行事もたいへん忙しくプログラムが組まれていることがあり、ここに書かれているほどの徹底ができない場合もあります。平時も、宿泊行事も、できるだけ余裕を持って整理整頓ができる状況で指導をしていけるようにすることは、大事だと思います。

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