国語・説明文「どうぶつ園のじゅうい」の教材研究資料・授業案です。
本教材は、獣医さんが「する仕事」「そうする理由」を対応させて読むことが目標になる教材だと考えられます。
これは「主張と根拠」「事実と意見」「感想と理由」など、文章には役割があることを知る学習にも繋がるものだと言えます。
また、下巻「おにごっこ」の単元と同じく、自分の生活や経験と結び付けて文章を読むことで、自分なりの感想を持ったり、読書と生活が繋がったりすると思います。
目次
1 段落の内容(仕事、理由、接続詞など)
2 授業案
3 参考資料
1 段落の内容
各段落に書いてある、「いつ」「仕事」「仕事をする理由」「仕事の工夫」「接続詞・指示語」などをまとめました。
1段落 話題(はじめ)
話題:「どうぶつ園ではたらいているじゅういさんのしごと」
わたしのしごとは、どうぶつたちが 元気にくらせるようにすることです。
→仕事(理由)
どうぶつが びょうきやけがをしたときには、ちりょうをします。
→仕事
ある日の わたしのしごとのことを 書いてみましょう。
→次の段落から書かれていることが分かる。(話題)
2段落
いつ:朝
仕事:どうぶつ園の中を見回る
理由:元気なときのどうぶつのようすを見ておくと、びょうきになったとき、すぐに気づくことができるから
理由:ふだんから わたし(じゅういさん)の顔を見せて(声も)、なれてもらうため
補足:動物はよく知らない人には、痛いところやつらいところをかくす。だから、安心して痛いところやつらいところを見せてもらえるように、顔をおぼえてもらう。
接続詞:また(並列)
いろいろな「また」を考える
・誕生日に動物園に行く。また、水族館にも行く。(接:並列)
・誕生日に動物園、または、水族館に行く。(接:選択)
・誕生日に動物園に行った。また行きたい。(副:再び)
本文では何を並べている?
仕事(動物園を見回る)の理由
読解:「安心して見せてくれるようにするのです。」
何を見せてくれるように?
3段落
いつ:見回りが終わるころ
仕事:いのししのおなかに 赤ちゃんがいるかどうか、調べる。
理由:いのししが元気に赤ちゃんを産めるように。
工夫:いのししがこわがらないように、えさを食べさせている間に、そっとおなかにきかいを当てた。
4段落
いつ:お昼前
仕事:けがをしたにほんざるに くすりをのませる
理由:にほんざるのけがを治して、元気にくらしてもらうため
工夫1:くすりをこなにし、半分に切ったバナナにはさんでわたした
→くすりのところだけをよけて、たべてしまいました。
工夫2:こなを はちみつにまぜた
→やっと、いっしょにのみこんでくれた。
なぜ工夫を?:にほんざるは、にがいあじが大きらいで、くすりをのまないから
読解:なぜバナナやはちみつを使った?
にほんざるは苦い味が嫌いだから、甘いものを使って、苦い味を消すため。
感想例
・動物の薬も苦いんだ。
・子どもの薬は甘いのもある。動物の薬も甘くできないのかな。
5段落
いつ:お昼すぎ
仕事:はぐきがはれているワラビーのちりょうをする
理由:はぐきのはれを治して、元気にくらしてもらうため
工夫:三人のしいくいんさんにおさえてもらって、ちりょうをした。
なぜ工夫を?:ちりょうは とてもいたいので、あばれることがあるから。
感想例
・暴れると、治療が失敗して、けがをするかもしれない。
・僕も歯医者さんで、「動かないでください」って言われる。
・人間は麻酔があるけど、動物はないのかな?とても痛そう、、、
・110ページの日記に「麻酔」って書いてる。
6段落
いつ:夕方
仕事:ペンギンがのみこんでしまったボールペンを取り出す
理由:ボールペンを取り出して、元気にくらしてもらうため。
工夫:大いそぎでくすりをのませた。
なぜ工夫を?:いのちにかかわる たいへんなことだから。
感想例
・なんでボールペンを飲み込んだの?
・海のごみが魚たちを殺すって聞いたことがある。気を付けないと。
7段落
いつ:一日のしごとのおわり
仕事:きょう(その日に)あったできごとや、どうぶつを見て気がついたことを、日記に書く
理由:つぎに 同じような びょうきやけがが あったとき、よりよいちりょうをすることができるから
8段落
いつ:どうぶつ園を出る前
仕事:かならずおふろに入る
理由:それ(どうぶつの体にある、人間のびょうきのもとになるもの)をどうぶつ園の外にもち出さないため
接続詞:だから(理由順接)
「なぜなら」を使って言い換える
・転んですり傷ができた。だから、保健室へ行った。
・保健室へ行った。なぜなら、転んですり傷ができたからだ。
指示語:それ
「それをどうぶつ園の外にもち出さないため」
→どうぶつ園の外に持ち出してはいけないもの。お風呂で体を洗うとなくなるもの。
→よくないもの。
→どうぶつの体にある、人間のびょうきのもとになるもの
感想例
・「かならず」お風呂に入るのは、動物だけじゃなくて、人間も元気に暮らせることを考えているからだと思う。
・自分が病気になっちゃうと、動物のお世話ができないから。
9段落 まとめ
ようやく→やっと終わった
2 授業案(全7時間)
第1時
1、時間をあらわす言葉を並び替える
2、段落の役割を考える
第2,3時
3、各段落の内容を読み取る。
第4,5時
4、仕事紹介文を書く。
第6,7時
5、仕事紹介文を交流する。
6、教材文を読んだり、仕事紹介文を書いたりする活動で感じたこと、考えたことを書く。
各時間の内容
1、時間をあらわす言葉を並び替える
・各段落の初めの1文を並び替えて、順序を意識する。
- わたしは、どうぶつ園ではたらいている じゅういです。
- 朝、わたしのしごとは、どうぶつ園の中を 見回ることからはじまります。
- 見回リかおわるころ、しいくいんさんによばれました。
- お昼前に、どうぶつ園の中にある びょういんにもどりました。
- お昼すぎには、ワラビーの家に行きました。
- 夕方、しいくいんさんから 電話がかかってきました。
- 一日のしごとのおわりには、きょうあったできごとや、どうぶつを見て気が ついたことを、日記に書きます。
- どうぶつ園を出る前には、かならずおふろに入ります。
- これで、ようやく、長い一日が終わります。
2、段落の役割を考える
・本文を2~4つのまとまりに分ける。
・大きく「はじめ、中、おわり」に分けられることを知る。
3、各段落の内容を読み取る。
・時間、仕事の内容、そうする理由をワークシート(ノート)にまとめる。
*機械的な抜き出しではなく、先生や子どもたちの経験や疑問を交流しながら進める。
(発問例)
Q学校でも教室を見回っている人がいます。誰でしょう?
・用務員さん、保健室の先生、校長先生
Q薬を飲む時はどうしてる?
・鼻をつまんで飲み込む
・甘いシロップ味のしか飲めない
Q歯医者は好き?嫌い?
・治療中に映画を見られるから好き
・ギギギーって音が怖い
・受付のお姉さんが優しいから痛くても我慢する
*授業後に、好きな段落を選んで、自分の経験と結び付けて感想を書く。
*1回の授業で、3~4段落を扱う。各段落の読み取りは全2時間扱いを想定。
*接続詞や指示語を押さえる。
ワークシート例
(記入例)
ダウンロードはこちらから
「どうぶつ園のじゅうい」ワークシート元版 小2国語.docx
4、仕事紹介文を書く。
・図書館で自分の気になる仕事を調べ、教材文を参考にしながら、時系列に仕事内容とその理由をまとめる。
*絵や図もあると伝わりやすい。
*グループで学校の中の先生にインタビューする活動も考えられる。
(校長先生、保健室、事務室、給食室、用務室、PTA室、空き時間の先生、など。
5、仕事紹介文を交流する。
・自分が最も印象的だったことを伝えられるようにする。それが活動6の感想文の中心になる。
6、教材文を読んだり、仕事紹介文を書いたりする活動で感じたこと、考えたことを書く。
3 関連資料
獣医さんのお仕事(王子動物園)
王子動物園。動物たち命を守るため、毎日の回診や、急なケガや病気にも素早く的確に対応する獣医のおしごとを紹介しています。
リンク集 2年 | 小学校 国語 | 光村図書出版
筆者の植田美弥さんからのメッセージや、実際の動物園で働く獣医さんの仕事内容についてのリンクが紹介されています。
「職業調べナビゲーション 未来の仕事を探せ!」学研キッズネット
以下のカテゴリで仕事を検索できます。
「職業別」「興味のあるジャンル」「働く場所」「自分のタイプ」「休暇」
特集ページには、様々な職業のインタビューが載っています。
「13歳のハローワーク 公式サイト」中高生のための・・・未来のヒントに出合う場所。
こちらもいろいろな職業が紹介されています。
「よのなかにはたくさんの仕事・職業があること」と「よのなかの仕事がつながっている」を知ってもらうための《13歳のハローワークマップ》や、インタビュー動画もあります。
「おにごっこ」国語・説明文・小学2年~説明の順序や段落を意識して読む~
上の記事の授業案では、毎時間の交流において、本文を読んで考えたことを自由に発言する時間をとり、説明文テキストに反応する習慣づくりを主なねらいとしています。
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