新しい教育課題、まずは基礎基本!(集中速習導入講座・堀江秀樹先生)

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作成者: ひろ (Edupedia編集部)さん

1 はじめに

本記事は、2018年8月19日に行われた「集中速習導入講座」の岐阜市立梅林小学校校長の堀江秀樹先生のご講演を基に作成しました。集中速習を特徴とした陰山メソッドを実践された堀江先生の成功体験と、メソッドを導入するときに気をつけるポイントについて紹介しています。

2 集中速習導入講座(岐阜市立梅林小学校 堀江秀樹校長)

梅林小学校に集中速習を取り入れるまで

私は梅林小学校に着任してすぐ、集中速習を取り入れることを考え始めました。本当に集中速習を導入している他校のように成果を上げられるのかという不安もありましたが、「1年目は様子を見てぼちぼち変えていこう、という考え方では子どもに失礼だ」という想いから、入学式の3日後に、思い切って教頭と教務主任に「朝の15分間を使って、音読、計算、漢字練習をやらせませんか」と提案をしました。このときに、教頭と教務主任には
1.集中力を養う
2.脳を活性化させる
3.読み書き計算の基礎を養う
という3つの目的を伝えました。本校ではこの学習を「脳トレ」と呼んでいるのですが、東北大学川島隆太教授の研究によれば、複雑な計算や考え事をしているときよりも、脳トレのように単純計算や音読をしているときの方が脳の全体が活性化するそうです。

この脳トレを取り入れるにあたって一番悩んだのが、日課についてです。本校では朝の会を10分に短縮し、朝の会の後に脳トレを15分行ってから5分休憩を入れて1時間目を始めることにしました。

しかし、いきなりこのような新しい取り組みを始めると職員には抵抗があるだろうと思ったので、最初は学年を絞って脳トレを始め、その2週間後に全職員にその様子を見てもらいました。そしてこの日の放課後の打ち合わせで、私から全職員に対して脳トレを提案し、5月中旬に全校で一斉にスタートしました。

この脳トレを冬まで続けたところ、冬休み明けの県の学力調査で、児童の点数が驚くほど伸び、これをきっかけに、職員がより一生懸命脳トレに取り組むようになりました。

ただし、「理科社会の点数が伸びていない」「国語のB問題の点数が低い」といった課題も残っていたので、3月に漢字計算大会を行って漢字の定着を図ったり、辞書引き学習を行えるように、机の横に辞書を入れるかごを用意したりしました。さらに翌年には反復学習にも力を入れるようになり、理科社会の小テストをたくさん作って子どもたちに何度も解かせるようにしました。

1つの成功事例

勉強することが苦手で宿題も全くせず、梅林小学校全体で取り組んでいる朝の脳トレの時間もやりたくないために遅刻してくる子がいました。漢字テストの大会でもその子なりに頑張っているにも関わらず、いつも喜ばしい結果は出ませんでした。

そんな彼に私は校長室掃除を頼みました。そして、15分間の掃除時間の中で5分間掃除を行い、残り10分を漢字の学習の時間にあてました。そこで陰山メソッドにあるようにたくさん書かせるのではなく、3回くらい集中して書かせる方法をその子に試してみました。そうすると、何回も書くことは難しくても2,3回であれば彼は取り組もうとするので、この学習方法がその子に合いました。そしてその後にすぐテストし、間違えたらすぐそこを直します。次の日は、昨日行ったテストを混ぜ、間違えたところはすぐに直して次の問題へと移ります。これを3週間弱続けました。

その後彼は漢字テストで50点中45点という好成績をとりました。その結果に自分自身が驚いて「僕、校長先生に魔法をかけられた!」と興奮して大喜びしました。

きちんと復習する、定着する学習をするというのはこういうことだと思い、「子どもは無限に育つ」ことを実感しました。

脳トレの効果

1.授業と集中力

「これまでは計算スピードが遅い子を待つ時間が授業で多かったけれど、脳トレのおかげで作業が早くなってきて後半に練習問題ができるようになった。こういうことができるから学力が定着する時間ができるんですよ」というように、授業がやりやすくなったという声を先生から聞きます。

また、「3・4時間目になると子どものパワーがだんだんなくなっていくのですけど、脳トレを始めてからは集中力が持続する」という声も聞きます。特に学力テストでその集中力はあらわれています。学力テストは児童が教室に缶詰になって行い、さらに1時間目から4時間目までずっと続くので大変ではあるのですが、脳トレのおかげで最後まで集中力が続いているようになったようです。
 

2.生活・心の変化

脳トレで基礎学力がついてくると、子どもの生活の様子や心の様子に変化があるようです。

それに気づいたのが養護教諭です。脳トレを始めて2年目くらいに「統計をとっていると怪我をする子が減ってきた」と言います。グラフにして見せてもらったら、なぜか怪我が減っているんですね。それから遅刻も同様に減っていました。

そして、全国学力テストのアンケートで「先生はあなたのことを認めてくれていると思いますか」という項目があります。その項目に対し、多くの子が肯定的に捉えてくれています。また「学校に行くのが楽しいですか」という質問に、まだまだ課題もありますけれども、随分多くの子が肯定的に答えてくれています。

3.基礎ができるから応用へ

集中速習を用いるなどして基礎基本をしっかり固めると、今度は応用がきくようになります

新しい教育課題として2020年から必修となるプログラミング教育があります。これに関して、本校の生徒はPepper社会貢献プログラムスクールチャレンジに参加して、岐阜市で開かれたプログラミングコンテスト小学生の部では最優秀賞をいただきました。また学校にPepperクラブというクラブがあるので、部活動の部(小・中学生)にも参加しました。そこでは優秀賞をいただきました。その後、全国成果発表会小学生の部で銀賞(全国2位)をいただくことができました。

プログラムを組むためにはパソコンでの入力が必要になりますが、子どもたちは反復学習によってローマ字入力が速くできるようになっています。そしてプログラミング教育を行うときにも、自分たちでプログラムを修正して改善することができます。そのおかげでこのようなすばらしい結果をいただきました。

これから新しい教育課程がどんどん始まりますが、まずは「基礎基本」が大事。それから新しい課題に対応できるのではないかなと思っています。

集中速習のススメ

集中速習は初めて担任をもつ人でも成果をあげることができます。基礎基本をしっかり身に付けることで、新しい教育課程が出たときに生徒のやる気も起こり、成果も上がります。

しかし、問題もあります。それは、「学校全体で取り組まないと効果がない」ということです。1つの学級だけが取り入れても、積み上げがないから続きません。

したがって集中速習を行うときは「学校全体」で行うということが大切です。

3 プロフィール紹介

岐阜市立梅林小学校校長 堀江秀樹先生

2016年1月に隂山英男先生の徹底反復研修会に参加。陰山メソッドを初めて学ぶ。2016年4月から岐阜市立梅林小学校に校長として着任。前任の校長から「基礎学力の定着」と「少ない児童数で広い校舎を時間内で掃除すること」が課題であると引き継ぎを受けた。このことが陰山メソッド導入のきっかけとなった。また、2018年9月からロボット掃除機を導入し、週3日間で掃除ができる体制作りを行った。2019年1月から、次の学年の漢字先取り学習をスタート。2019年4月から、従来の漢字ドリル・計算ドリルをやめ、効率よく学べるプリント学習に切り替えた。新しいことを受け入れチャレンジする教職員と児童に感謝の毎日である。 

4 編集後記

何か新しいことを始めるときに周囲の反応が気になったり、不安になったりして一歩を踏み出すことは難しいですが、堀江校長からアクティブに動くことの大切さを学びました。その背景には、「子どものためなら」という思いがあるのかもしれません。
この記事を通して行動していく先生がたが増え、子どもたちが喜ぶ未来を願っています。
(取材・編集:EDUPEDIA編集部 長屋拓暁 平原由羽)

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