校長・教育委員会の学校改革~隂山メソッドの取組~(福岡県 飯塚市立飯塚小学校)(徹底反復 学力向上セミナー inゆくはし)

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作成者:大和 信治 (Edupedia編集部)さん

1 はじめに

本記事は、2016年8月7日に福岡県行橋市(長峡中学校)で行われた「徹底反復 学力向上セミナー inゆくはし」における、飯塚市飯塚小学校校長の石井幸子先生の実践発表を基に作成しました。

当日は、〝飯塚市教育委員会が、組織としてどのように学校に関わってきたか″〝校長として、どのような組織改革を行い成果を出してきたのか″など、豊富なスライドと映像を用いて、未来に向けて進む教育実践について熱く語っていただきました。

2 実践1 飯塚市教育委員会での取組 

*記事内のスライドは、石井先生が、学校教育課 主任指導主事として平成25年2月に筑豊地区教育長研修でのプレゼン内容から、「基礎・基本の学力定着における教育委員会学校との連携」の部分を抜粋して、セミナー発表に用いたものを使用しています。

飯塚市がめざす教育と学力向上のための施策

飯塚市がめざす教育は、未来の飯塚市を担う かしこく、やさしく、たくましい子どもの育成

上の施策の中から、飯塚市教委における徹底反復学習(隂山メソッド)の取組について

(1)飯塚市学力向上推進事業の新規展開

①飯塚市学力向上検証委員会組織の改革

②学力アップ校・学力向上モデル校の指定と支援

・学力アップ校への支援

学力アップ校とは、県の福岡学力アップ推進事業と小中一貫教育調査研究事業を兼ねて、学力向上を目指す学校である。

支援としては、一学期に一回(年三回)の検証委員会を実施した。計算や漢字などの学習データを提出し、どんな効果があったのかということを検証していった。

例えば、百マス計算でいつも同じ問題を解いてなかったり、一週間だけ同じ問題を解いていたりなど、取り組みがバラバラだったことが分かり、それを「やはり最低二週間は同じ問題を続けるべきだ」というような具体的な部分について隂山先生から指導していただいた。

・学力向上モデル校への支援

モデル校については、飯塚市が独自の予算をかけて、隂山先生が推奨する教材を提供し、全学年で統一して使用した。

もう1つは学力向上研修会の改革を行った。研修に関して、隂山先生から次のようなポイントを教えていただいた。

三回の研修を行うなら、第一回目は校長や管理職、主幹教諭や指導教諭。そして二回目に教務主任、学力向上コーディネーター。そして3回目に教職員、一般市民というように対象者を次第に広げていく。

③eチャレンジを活用した学力向上システムの構築

飯塚市で、脳トレ・漢字・計算問題といった基礎コースに加えて、学力調査対策問題(文章問題などの活用力育成の問題)を作成し、全市一斉に徹底反復学習ができるシステムを整備した。問題作成については、eチャレンジ学力向上委員会を組織し、核となる飯塚市各所の先生に力を借りながら取り組んだ。

(参考資料)

福岡県教育庁教育振興部義務教育課より
子ども一人一人の学力向上のために — 学校や家庭で活用できる学力向上の指導資料「学力アップパッケージ」—

(2)学力向上モデル校の具体的な取組

徹底反復研究会のメンバーを講師に校内研修会を実施し、「計算は三週間同じ内容で行う」などの具体的なアドバイスを頂いた。

(3)飯塚市教育委員会での取組の成果

①学力向上システムの構築

各学校任せの実践ではなく、市教委が組織として学力が向上するシステムを構築した。そして教育委員会と学校との連携を強化した。これが強みだと言える。

②数値でみる学力向上

モデル校の実践で明らかになったことは、三週間のサイクルが効果的だということ。当時の学校は、市内22位で、学校は荒れ、病休者もでるような状況だった。ところが今はトップクラスとなる。
 

3 実践2 鯰田小学校での実践

*石井先生は、平成25年度から鯰田小の校長として実践を進める立場になります。
記事内のスライドは、平成27年11月に鯰田小における学力向上の取組を発表したプレゼンから抜粋して、セミナー発表に用いたものを使用しています。

(1)校長の決意

飯塚市の片峯誠教育長は「全ては子ども達の未来のために!」と未来を見据えて様々な施策を打ち出す。その姿に鼓舞され自分も「私はやるぞ。何が何でもやるぞ。」と決意する。

(2)隂山メソッドの体制づくり

①ひと
組織的に行うために、学力向上検証委員会を設置する。また、校内キーパーソンとして、ICTのパイオニアの研修会にも招かれ、日本でも注目されている主幹教諭。そして実践のモデルを示せる学級担任。このような力のある教員を核として組織を作っていくことが大切。

 また、プリント準備は担任外が行ったり、鯰田タイム(反復学習)ではTT体制の補助時間割を作ったり、組織的に行う。

②もの
全学年で、隂山先生が監修する全漢字練習や算数丸ごとスキルといった教材やテストを統一して使用。

③こと
全学年に授業診断として、直接隂山先生に授業見学・指導をしていただく。授業中の教師の目の動かし方や具体的にそのクラスについてご指導いただいたことが本当に役立った。陰山先生に「まだやれる!まだ伸びる!」と言われ、子どもたちは俄然やる気になっていた。

(3)具体的な陰山メソッドの取組

・平成25年度

・平成26年度

前年度の課題だった、理科・社会の取組に力を入れた。

百マスかけ算の成果

鯰田小の学力が上がった秘密は、モジュールタイムにプラス基礎基本の習熟タイムというのを週に1時間設けたこと。

セミナー当日は、鯰田小の取組の様子について約15分のビデオ視聴がありました。
〈石井先生から説明があったポイント〉
* モデルとなる学級の映像を見て、どんなスピード・テンポ・タイミングか具体的に分かってもらう。
* 目標を明確にして、終わったら必ずそれが達成できたかどうか評価する。
* 組織的に計画的にということで、複数体制で教室に入り即時評価する。
* たくさんの教員が関わり、モジュールタイムでも緊張感を与え、だらっとさせない。

4 実践3 飯塚小学校の取組

(1)隂山メソッドの改善

今まで他の小学校では反復学習の時間を朝の1回のみの実施だったが、飯塚小では①朝学習と②算数の初めの5分間の2回実施。

いきなり全クラスで行うのは難しかったのだが、2回実施した組と、1回実施した組では3週間で百マス計算30秒の差がでた。そこで先生方もハッとなり、全クラスで2回実施となる。

(2)ICT推進モデル校の実践

①ICT機器の活用
飯塚小学校は昨年度(27年度)からICT推進モデル校となり、電子黒板・タブレットPCを活用したアクティブ・ラーニングの授業研究を行っている。

②オンライン英会話
ICT機器活用の他に、インターネットの無料通話サービスを活用したオンライン英会話にも取り組んでいる。5,6年生の外国語活動でフィリピンのセブ島の講師とマンツーマンでオンライン英会話を行っている。

*飯塚市教委は2016年9月、市立全22小学校の6年生に英会話のオンライン学習を導入。
以下の新聞記事に、実施に向けての研修・公開授業の様子が紹介されています。

毎日新聞 2016/9/10 地方版より
海外の講師、全22小学校で 飯塚市教委、全国で初めて全市で導入 飯塚小で公開授業/福岡

(3)実践の成果

・百マス計算
4月から2、3カ月で成果が出て、計算タイムを1日2回やった効果が大きいと言える。

・NRT
組織的に取り組んだ成果が出た。他のモデル校とも切磋琢磨していきたい。

さいごに

飯塚市はこれからも教育委員会と学校が手をとり合い、飯塚市が目指す教育の実現に向けて、未来志向・本物志向で子どもたちの未来のために尽力していきたい。

*平成29年1月27日(金)に、飯塚市教育委員会研究指定・委嘱校 研究発表会が開催されます。飯塚市の取組に興味のある方は、ぜひご参加ください。

5 隂山メソッドに関する著書

『陰山式 ぜったい成績が上がる学習法』(毎日新聞出版 2016/7/30)

その他 書籍・出版物一覧

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