モジュール学習による徹底反復の取組~西川タイム・ドリルタイムを通して~(福岡県 鞍手町立西川小学校)(徹底反復 学力向上セミナー inゆくはし)

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目次

1 はじめに

本記事は、2016年8月7日に福岡県行橋市(長峡中学校)で行われた「徹底反復 学力向上セミナー inゆくはし」における、鞍手町立西川小学校の藤田尚子先生の実践発表を基に作成しました。

当日は、西川タイムの具体的な取組や、実践にあたっての留意点について丁寧に説明していただきました。

*西川タイムについての学校取材記事も合わせてご覧ください。
隂山メソッドドリルタイム実践(福岡県鞍手町立西川小学校)

2 西川タイム・ドリルタイムについて

まずは、校内の児童の基本的生活習慣の確立(県の食育の取り組み)を目指す。その後に、学力向上の方向へ進む。

隂山メソッドについて学ぶために、陰山先生が校長を務めていた土堂小学校へ視察に行く。
そこで学んだことを自分の学級で実施し、その様子を映像編集して西川小の先生に見てもらい、校内での共通理解を図る。

キーワードは、

学力の土台となる「集中力」「粘り強さ」「達成感」
学力そのものを上げるのではなく、「学力が上がる仕組みつくり」

(1)西川タイム

毎週木曜日の1校時に設定する。

・年間で1学期11回、2学期13回、3学期8回、計32回実施する。
(授業時数として国語16時間、算数16時間でカウント)

全校西川タイムを設定し、運営委員会が主体的に運営し、全校の交流を図る
第1回(音読)  平成28年  7/ 7実施
第2回(計算)  平成28年  12/15予定
第3回(百人一首)平成29年   2/16予定

・担任外も入って必ず2人体制で行う。

・モジュールの目安として下記のプログラムを参考に実施する。
8:30~ 音読 デジタル
8:35~ 漢字歌
8:45~ 漢字速書き
8:50~ 百マス計算 デジタル
8:55~ 百人一首
(9:15まで)

(2)ドリルタイム

月・火・水・金の13時55分~14時10分(15分間)に設定する。

・モジュールの目安として下記のプログラムを参考に実施する。
13:55~ 音読・漢字歌
14:00~ 漢字速書き
14:05~ 百マス計算
(14:10まで)

*最初に音読をする理由
土堂小学校での効果検証の結果、「ます計算→音読」よりも「音読→ます計算」の方が脳が活性化され効率的だということが分かった。

3 西川タイム・ドリルタイムの具体的な学習内容

(1)ます計算

・全学年で前年度の取り組みを引き継ぐ。

・同じ問題を何度も繰り返す。

記録表に個々のタイムを記録し、伸びを実感させる。

・両面プリントで空白の時間を作らない。

(2)音読

・毎月の共通音読教材を使用する。

拍子木やカスタネットでリズムをとり、テンポよく音読する。

・姿勢、口の開け方を評価する。

・全校西川タイムにおいて、各学年のがんばりを交流し、意欲や達成感を高める。

(3)漢字

①漢字速書き

・3秒ルール…3秒で書けないものは覚えてない。

・漢字練習の効率化…覚えていない漢字だけを繰り返し練習する。書ける字は練習しなくてよい。

②漢字の前倒し学習
・1年生は11月までに、2~6年生は1学期の間に、学年の漢字学習を終わらせる。

③漢字検定の活用

・全学年、3学期に校内漢字検定を行い、漢字力の定着を図る。

・漢字能力検定協会による漢字検定を保護者や児童に呼びかけ、希望者のみ実施する。

(4)フラッシュ教材

・市販の教材データから作成会社の許可を得てスキャンしてフラッシュ教材を作成する。

・大型テレビで見せて行う。

(5)百人一首

・五色百人一首を使用する。

・ある程度の競争心を持たせ、評価は必ず行う。

瞬時に文字を読み取る力、文字に着目する力が高まる。

国語科:モジュール授業実践系統表

(拡大してご覧ください。)

4 徹底反復学習の留意点

①スピード

児童が「少し速い」「油断できない」と感じるスピードで展開することで、学習に追いつこうと自然に集中するようになる。だらだら行うと、だらだらを覚えてしまう。
(例)矢継ぎ早にフラッシュカードを提示する/高速で計算・音読する

②テンポ・タイミング

児童が心地よいと感じる「テンポ・タイミング」によって、集中した状態を保つことができ、学習処理能力も向上する。
(例)文節ごとに区切ってリズムよく音読する/指導者がタイミングよく指示や評価を簡潔に行う

③デジタルコンテンツの活用

50インチの大型テレビでデジタルコンテンツ(フラッシュカードなど)を提示することで、スピード・テンポ・タイミングを重視した学習が可能となる。

④空白時間を作らない

学習への集中力が途切れないように、課題が早く終了した児童に空白を作らないように工夫する。
(例)メニューカードの提示で学習の見通しを持たせる/両面印刷プリントを用意する

⑤TT指導体制の整備

個に応じた指導を充実させるために、学校全体でTT指導体制を整備している。

5 取組の成果

・子どもたちは、テストで100点ではなく、毎日の積み重ねで自分の成長・変化を感じられることが嬉しい。

・学力向上の鍵は集中力

子どもが変わることが教師の喜び。だから楽しく続けられる。

学習調査の結果

・どの教科も全国平均より高い。

B問題の点数も向上。徹底反復学習は同じことを繰り返しているだけにみえるが、そこで養われる集中力が活用力の向上につながっているのではないか。

・観点別にみると技能面の学力が大幅に向上

・国語は対策が難しいが、文字を素早く書いたり、読み取ったりする能力が結果に繋がっているのではないか。

・3段階評価で、1の子がほとんどいない。徹底反復により、どの子にも力をつけられる。

6 西川タイム質問あるある(西川タイムについてよくある質問と回答)

Q.学校総体の取り組みはどうすればできますか?

・管理職を中心に、教材の準備や研修など環境を整える

・二人組み体制

・定期的な打ち合わせで、教師のアレンジ

子どもが伸びたと喜べる、実感できる場が増えた

・隂山先生にみてもらっている安心感、緊張、自信、希望

Q.個別の指導はどうしますか?

個に合った教材・教具→マスの大きさ

・スピード・テンポ・タイミングの雰囲気を味わう

教師が「今日はここまで」とゴールを決める→子どもが自分でゴールを決める→自分で全部できる、というサイクルを作る

Q.徹底反復の教育効果は他にありますか?

・自尊感情評価の向上、「自分ができた!」という実感(データ)

・朝の全校ジョギングで体力もつける

教員も児童も同じ目標を目指し、努力の共有ができる

・中学校まで学力が続く

・古典詩を小学校で扱っているため、抵抗なく取り組める。保護者からも支持。

・「ハッピー通信」よい生活習慣を伝える(早寝早起き朝ご飯、ノーメディアday)

7 取組の充実を目指して

井の中の蛙にならないように

職員が変わっても学力が上がる徹底反復のシステムを共有して継続する。
また、先進校視察や研修会などで全国の実践から学び、基礎力だけでなく活用力を高める西川タイムを作っていきたい。

集中力・主体性の育成

これからの社会で必要なのは、覚えた知識の量ではなく、学習に向かう集中力や主体性。
これらの育成に向かって、職員一同、同じ目標に向かって取り組んでいきたい。

8 隂山メソッドに関する著書

『陰山式 ぜったい成績が上がる学習法』(毎日新聞出版 2016/7/30)

その他 書籍・出版物一覧

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