基礎的な学力を伸ばす~モジュール学習を通して~(岡山県高梁市立有漢西小学校)(徹底反復 学力向上セミナー inゆくはし)

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作成者:大和 信治 (Edupedia編集部)さん

1 はじめに

本記事は、2016年8月7日に福岡県行橋市(長峡中学校)で行われた「徹底反復 学力向上セミナー inゆくはし」における、岡山県高梁市立有漢西小学校の難波和美先生の実践発表を基に作成しました。
 当日は、有漢西小学校における学力向上プロジェクトについての取組やその成果、実施する上で気を付けたことなどを詳しく語っていただきました。

2 実践報告

本校は全校児童60名、特別支援学級を含め7学級の小規模校である。
これまでに、国語の説明文の指導研究・ICTの研究発表による授業のユニバーサル化・家庭学習の習慣の強化など、学力向上に向けて様々な取り組みをしてきた。

しかし、成績が伸びず、テストなどの結果から基礎基本の定着が十分ではなく、学習理解に特別な支援が必要な児童が多いと大きな課題を抱えたままであった。

(1)「有漢西小学校学力向上プロジェクト」スタート!

そこで、平成27年度三学期に基礎的基本的な知識・技能を修得できるよう、徹底反復学習を行うということが決定し、「有漢西小学校学力向上プロジェクト」が始まった。

平成27年度の締め括り(1月~3月)の取組

①モジュール学習(朝学習):月~金の朝15分

百ます計算

・準備として、A4一枚の両面で合わせて4回できるようにたくさんプリントを印刷。

・児童がプリントを解く。(学校の朝の時間に1回、宿題で1回を1日分とした)

・担任はタイムを読み上げて、児童はプリントとファイルにある記録表にタイムを記入。

タイムを計測する・間違えたら消しゴムを使わずに二重線で訂正する・前の日より速くなったことを褒める、ことが大切。

初日は3分30秒以上のクラスが多かった。始めて2ヶ月で、目標タイムの1分半に近づいている児童が多く見られる。3分30秒以上だった児童も初めよりはタイムが速くなっており、1年生のタイムの成果も出てきた。

漢字学習 

漢字学習では、「全漢字学習」を使っていなかったので3学期から購入して、ユニット1から順にすることになった。

・漢字のユニットテストを両面に印刷しておいて、一週間同じものを続けた。

・1日に学校で片面をして、裏面を宿題にする。

・2月から始めたので、3月までにユニット10までいこうと思うと、すごくスピードが必要。なので、9割程度合うようになったら、一週間を待たずに進めていく。

・120問熟語テストを行い、定着度をチェックした。

音読

音読については、2月に石橋淑子先生(まねび学園長)をお招きして音読研修会を行った。それは、私たちが思い描いていたテキストを読み上げる音読とは全然違っていた。

音読は、声高らかに読む、暗唱する喜びを感じられ、張りのある声、芯の通った声をつくる。言葉本来の魅力である音の響きやリズムが体に染み込むまで繰り返す。そういったシンプルな定型作業を繰り返すと、テンポとリズムが出てくる。すると、質、集中する心と学習の量を高めることに繋がる。

この研修会を通して、音読で目指すところやその意味を教えていただいた。

②全職員 土堂小学校訪問

2月に2回に分けて、全教員が尾道市立土堂小学校のモジュール学習を見学させて頂いた。そこでは、子どもたちが黙々と取り組んでいる姿や、先生方の時間を大切にしている姿をみて、授業のスピード・リズム感を肌で感じることができた。

(2)モジュール学習の開拓・指導力向上

平成28年度の取組

①朝学習について:火~金の朝15分(内容は27年度と同じ)

百ます計算

2年生は足し算と引き算を一週間ごとに繰り返す。
 3年生は、かけ算と引き算の繰り返しで取り組んできた。百ます計算の一週間のタイムの変化として、3年生の引き算の1週間の記録を見てみると、2分を目標とすると、まだ到達できていない人が多い。
 しかし、目標に順調に近づいている人、波がある人などその人の集中力などのいろんな状況や特徴などが分かる。
 6年生のかけ算では90秒を目標タイムとすると、やはりまだ到達できていない人がいる。同じ6年生だが、7月になると目標タイムに到達した、または目標タイムに近づいた児童が増えてきた。少しずつ成果が出てきている。

漢字テスト

本校で初めて漢字の前倒し学習をやってみた。1学期はユニットを繰り返し繰り返しやっている。2学期からは熟語に注目してテストなどをしていきたい。

音読

〇しっかり声を出し切って言う
声を出すという気持ちよさが子どもにとっては大事。
はっきり言っていない言葉や、気になった時にはもう一度同じ言葉を言い返す。すると、子どもたちも(あっ)と思って一回目よりも必ず上手に大きな声ではっきり言って返してくれる。

〇リズム・テンポ・タイミング
リズムを崩さないように、リードするときも無駄な指示を出さない。
子どもたちの集中力を乱さないように、子どもたちの言っている文の終わりに少しかぶせるように言ったりしてリズムを作ったり、最後のところは余韻をつけるために少し間を空けることもある。
また、口がはっきり動いているかどうか、声が出ているかどうか1人1人をよく見る。

児童の様子(1年生)

1年生も、朝のモジュール学習(音読・文字・数)を4月11日から始めてみた。音読では「聞く、見る、まねる」を伝えることから始めた。早口言葉を言っている子どもたちは、とても楽しそうに音読していた。次第に、朝学習にひらがなと計算に関することも入れていった。

②モジュール授業について:月曜日1校時(新設)

毎週月曜の1時間目に45分間を3分割、または2分割で実施。
朝学習と同じ内容と、他に聞き取りテスト、フラッシュ教材などに取り組んでいるが、まだまだ開拓中。1学期の内容については、以下のよう。

1時間ごとに学習内容をホワイトボードに書いて、児童に知らせたりしている。

(聞き取り学習例)

1年生 聞き取り書き:少し難しい言葉を繰り返しやってきた

3年生 聞き取り問題:まず文章を聞き、その後問題を聞いて答える、3問程度の問題

(その他)

4年生 筆算

(フラッシュ型教材)

1年生 ひらがな学習:聞き取りテストと連動させながら

2年生 ひらがな練習

3年生 大きな数の読み

5年生 世界の国旗・都道府県について

6年生 歴史上の人

③28年度の実践を振り返って

6ヶ月間の取り組みを振り返ってみると、実行に移せていないこともたくさんある。しかし、これまでの取り組みの中で学校が、特に授業スタイルが大きく変わった。「よく分かる授業」から、「よく分かって出来るようになるまでとことんやり抜く」ということへ、教員の構えが転換した。

隂山メソッドをするまで「分かる」と「出来る」をつなぐ必要性を感じていたが、現在は、それを具体的に取り組めているので、子どもたちは伸びているのではないかと感じている。子どもたちを伸ばすには、下の3つが大切。

○できるまでとことんやり抜くためのチャンスをつくること

○スピード・テンポ・タイミング・集中力を大切に。時間を大切にすること

○子供のやる気を高めること

3 さいごに

「有漢西小学校学力向上プロジェクト」を開始して、子どもや学校がどんどん変わっていった。これからも、子どもを見る目を養い、基礎的な学力をしっかり伸ばし、子どもの自尊感情や集中力など、様々な力を伸ばしていきたい。

4 隂山メソッドに関する著書

『陰山式 ぜったい成績が上がる学習法』(毎日新聞出版 2016/7/30)

その他 書籍・出版物一覧

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