割合をどう教えるか2 ~平均点85点達成【教材】

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作成者:matui hiroshi (Edupedia編集部)さん


新しいトライが成功して、
割合をどう教えるか
を久しぶりに更新する実践ができました。

平均85点の実現


いつか、割合の授業で成果を出したいと思っていたところ、5年生でなんと平均85点をマークしました。真面目な子供が多かったのが良い結果を出せた一因ではあるものの、特に算数が得意な子供たちではなく、2.3÷100=0.023というレベルの問題でもけっこう間違ってしまう子供もけっこういるクラスです。テストにはかなり厳しい問題が揃っており、中学生でも正答するのは難しいだろうと思えるような教科書には載っていないレベルの難問を10点分含んでいました。それでこの結果を出すことができたのは凄いと思います。きちんとスモールステップを準備し、繰り返してできるようになるまで学習させたことが成果につながったと確信しています。
では、どのような指導でクラス平均85点が実現できたのかを述べてゆきたいと思います。

割合の授業は難しい


教える側にとっても教えられる側にとっても割合の学習は実に難しく、7回ほど担当した経験がある5年生で思うように成果を出せた記憶がありません。過去のデータを見てみると、割合の学習後のテストのクラス平均は、63点(十年ほど前)・71点(近年)という記録が残っていました。テストの難易度(今回が最も難しい)も子供の質も違いますので、単純に比べることはできないとは思います。過去のデータでは特に中間~下位層の子供たちにとって割合の学習は哀しい結果を招いています。それに比べて、今回のテストでは普段にもまして、中間~下位層の子供たちが頑張りを見せました。上位層は100点以上を取れないわけですから、平均点が100点に近づけば近づくほど、中間~下位層の子供たちが頑張ったことになります。

教科書も迷っている?


「比べられる数」「もとになる数」「割合」(「くもわ」)を中心に教える方法があります。
く=も×わ
を変形して
く÷も=わ
く÷わ=も
で考えさせるというのは一つの方法です。この3つの式が頭に入っていれば、問題の中から「く」「も」「わ」に当てはまる2つの数を見付け出し、式に当てはめると、もう1つの数(答)を算出することができます。
ところが、「割合」に当てはまる数がどれなのかは検討がつくものの、あと2つのどちらが「比べられる数」「もとになる数」なのか検討をつけることは子供にとってかなり難しいようです。こうした教科書の教え方には限界があると思います。
では、どうすれば割合の学習を着実に成果が出るように勧めればよいのでしょうか。

プリントの活用


割合の学習を十分に習熟させるためにはたくさんの手順を確実に踏みながら前に進める必要があります。教科書の練習問題では習熟が不足になってしまうので、習熟を促すようにこの後のリンク先↓からダウンロードできるプリントにじっくり取り組んでください。すぐにできるようになる子供がいる一方で、なかなか理解ができずに苦しむ子供もいます。理解ができない子供がやり残したプリントを回収して放課後などに居残りさせ、「できるまで頑張る」に付き合ってあげて下さい。
準備したプリント群は↓でzipファイルに圧縮していますので、自由にお使いください。

●●● 割合プリントセット.zip

小数倍の理解


教科書によって単元の配列が違うと思いますが、割合の学習をする前に小数倍の学習が入ってくると思います。2つの数があり、片方を「1」と見て、それに比べてもう片方がどれくらいなのかを知る・・・というのが小数倍です。例えば身長135cmの人の1.2倍の人は、135cmより少し背が高くなるということが分かっていれば、小数倍はほぼ理解できているという事になるだろうということです。数直線や図を使って、この小数倍を分かりやすく説明し、百分率に進む前に十二分に練習させておく必要があります。いきなり百分率の問題を解かせる前に、小数倍のプリントをやりましょう。できれば、小数倍の単元を学習した時に、しっかりとやらせておきたいです。「●●● 割合プリントセット.zip」に含まれる「01 □に入る数字を求めましょう(小数倍・割合).xlsx」を頑張らせましょう。
小数倍の学習の仕方も、割合の学習の仕方も、以下に述べている通りでほとんど変わりありません。
小数倍の時点で、「○は○の○倍」をいやというほどやっておけば、百分率の学習に入っても、●%と●倍を相互に変換することができれば簡単に問題が解けます。

小数倍と百分率の変換


割合の勉強で混乱の原因となるのが、「小数倍と百分率の違い」です。百分率は小数倍を100倍して表したものに過ぎないのですが、これが子供には理解しにくく、計算ミスの元になります。
まさし君の体重は56kgでただお君の80%にあたります。
と、書かれていると、56÷80=0.7gと答えてしまう子供が続出しました。常識に照らし合わせると0.7gはおかしいのですが、このミスがなかなか減りませんでした。
「小数←→百分率」の変換つまり「×100と÷100」の計算を徹底してやらせておくことが必要です。

また、同時に、小数をかけたり小数で割ったりする計算も多いです。今までにしっかりと習熟ができていない場合は、割合の授業の進行と同時に、習熟を図ってあげる必要があります。「●●● 割合プリントセット.zip」に含まれる「04 小数倍と百分率・百分率のかんたんな計算.xlsx」を頑張らせましょう。

見通しを持って考えさせる


割合を学習するに当たって見当をつけることが大事です。
①答(求められている数)が「割合」の場合、それが1(100%)よりも小さいか大きいか。
「もとになる数」を1あるいは100%と考えて、それに比べてどれくらいの大きさなのかを小数や百分率で表したものが割合であるという感覚を理解させます。例えば定員が20人のエレベーターでは乗員が20人でちょうど満員(1or100%)、20人より多ければ定員オーバー(1or100%より大きい)、20人より少なければ定員割れということになります。
②答(求められている数)が「比べる数」「もとになる数」の場合、それが「もとになる数」「比べる数」より小さくなるのか大きくなるのか。
「あきら君は500円持っています。あきら君のお姉さんはあきら君の120%のお金を持っています」という問題を解く時に、あらかじめお姉さんの持っているお金があきら君より多いのか少ないのかを予測する習慣をつけさせます。
③計算結果を見てそれを常識に照らし合わせておかしくないかどうかを見極める。
例えば、「たかし君の体重は42kgで、お父さんの60%です。」という問題で、42×0.6=25.2という誤答を出してしまう事がよくあります。この答えを常識に照らし合わせて、「お父さんの体重が25.2kgというのはおかしいかもな」という考え方ができるのも大事な能力です。子供たちには上記のような例題を出して、答えを出し終わった後に振り返ることの大切さを教えておきましょう。
「普通はお父さんの方が思いだろうな。60%なのだからお父さんの方が大きいくて42kgより大きいのだろうな」という見通しを持った上で考えさせるようにします。また、
「ひろき君の身長は150cmでお兄さんの125%です。お兄さんの身長は何cmでしょう。」
といった例題をさせて、
「普通に考えると兄の方が背が高いけれど、この場合はひろき君の方が大きいのだろうな」
という見通しを立たせてみるのも面白いと思います。常識に当てはめることと、割合を通して2つの数「比べる数」「もとになる数」の大小関係を見通すという感覚を身につけておけば、割合の問題を読み解きやすくなります。

「AはBのC倍」に落とし込む


小学校での割合の問題は、ほとんどの場合「○は○の○倍」(「○は○の○%」)という形に整理して表すことができます。少々の例外的な問題はあっても、国語力があれば「○は○の○倍」に落とし込むことができます。この形に落とし込めば、「『は』は『=』」「『の』は『×』」と当てはめると立式が完成します。説明のために「AはBのC倍」ということにしておくと、A=B×Cとなります。この式を変形すると以下の様にしてそれぞれが求められるようになります。
Aは「比べられる数」 →→→ A=B×C
Bは「もとになる数」 →→→ A÷B=C
Cは「割合」 →→→ A÷C=B
ということになります。
実際に子供が問題を解く場面では、次のように考えさせます。

ひろき君の身長は120cmでお兄さんの75%です。お兄さんの身長は何cmでしょう。
「ひ」は「兄」の75%
「ひ」は「兄」の0.75倍
ひ=兄×0.75
120=□×0.75
120÷0.75=□
□=160

この□を使った立式ができても、それを正答に導くためには練習が必要です。「割合プリントセット.zip」に含まれる「□に入る数字を求めましょう(小数倍・割合)」で徹底的に練習をさせました。「×0.75は=をはさんで反対側に行ったので、÷0.75に変わるんだよ」という手順を簡単な整数の数値で習熟させた後に小数で練習させます。
●●● 割合プリントセット.zip」に含まれる「01 □に入る数字を求めましょう(小数倍・割合).xlsx」を頑張らせましょう。

プリント学習をする際には、まず全ての問題で「○は○の○倍」(「○は○の○%」)だけを書かせて、持って来させて丸つけをします。全部丸がもらえれば、次の計算に進むことができるというルールにしておけば、問題文から「○は○の○倍」をつかむことがいかに大事であるのかを子供たちに刷り込むことができます。割合が分からない子供は、何が分からないかが分からないのです。だからこそ、まず「○は○の○倍」をつかむという突破口を見付ける訓練をすることで、割合の問題を攻略する見通しを持てるようにしてあげることが大切です。
●●● 割合プリントセット.zip」に含まれる「04 小数倍と百分率・百分率のかんたんな計算.xlsx」を頑張らせた後、「05 算数5年 割合 文章題.docx」に取り組みましょう。

電卓の導入


割合の学習には小数のかけ算が必須になります。百分率と小数倍の変換もあやふやな子供が、120×0.25や60÷0.75等の計算の正解を導き出せるかというと、かなり苦しいです。実際、0の処理や小数点の移動の処理ができない子供がたくさんいて、本当にどうしようかと思いました。
そこで、電卓の導入です。
算数や理科の授業への電卓の導入に関してはかなり多様な意見があります。私は賛成派です。割合の意味や割合を用いた計算を理解することと、小数の乗除の計算をすることは切り分けてあげないと子供たちが可哀そうだと思うからです。小数の乗除の計算ができない子供が存在することは、現担任の責任範囲ではありません。また子供にとっても過去の担任に落ちこぼされてきたことを自己責任と言われるのは不条理です。小数の乗除ができないことで、さらに難しい割合の単元で躓くというのは不本意・不条理であると思います。
割合の仕組みだけを理解することに没頭させて、他のハードルを取り除いてあげることは、必要だと思います。実際、電卓を導入したことでいつもなら諦めてしまうような子供たちも、割合の学習に頑張って取り組めました。
さらに、テスト時にも電卓の使用をOKにしました。これについては色々とご批判はあるでしょうが、私は全く構わないと想いっています。実際に電卓の導入は子供たちの不要なストレス(煩わしい小数の計算)を取り除いて純粋な「割合の学習」を学ばせることに大いに役立ったと思います。

総合的に


いろいろと、アイデアを書いてみました。どれが大事かと言うと、全部大事です。各種の方法で総合的に力をつけていくことで、見えてくるものがあります。敢えて言うなら、「AはBのC倍」に落とし込む力が大事だと思います。これが見えてくることによって見通しもつくようになってくるからです。
添付した各種プリントは、できるまで頑張らせました。学び合いを一切排して、自分の頭で考えることを求めました。学び合いが有効な場面もありますが、人に頼らずに自分の力で考える学習習慣をつけることも大事です。できるまで自分と向き合い、諦めずに頑張るという粘り強さから産み出された成果です。安易に学び合いをさせて答えに近いヒントを与えるようなことをせず、子供の実力に合わせてギリギリのラインで教師がヒントを与えてあげることが子供を成長させるコツです。

算数はよりシンプルに答合わせを

また、平成27年度から採用されている教科書は「主体的・対話的で深い学び」を意識した構成になっているため、教科書通りに授業を進めていると教師も子供も混乱してしまうケースが多々あります。例を挙げて説明すると長くなってしまうので割愛しますが、ただでさえ教えることが難しいこの単元であるので、できるだけシンプルな形で教えることを目指しました。
割合の授業は長い間、自分にとって苦しい時間帯でしたが、ツボを押さえて確度を高めることによって、自分にとっても子供にとっても充実した時間に変えていく事ができました。普段のテストで60点ぐらいをとっていた子供が、この割合のテストで100点満点をとって、その答案を受け取った時の驚いたような、嬉しそうな顔が忘れられません。

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