「学校再開後の学級経営」長い休業期間が明けた後の学級の在り方 (八巻 寛治先生)

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この記事は八巻寛治先生(仙台市の元小学校教員)に寄稿いただいた内容をEDUPEDIA編集部が記事にまとめたものです。

この記事では、学校再開後の学級づくりや子どもたちの心のケアについて紹介しています。この記事がコロナ明けの学級づくりをされている先生のお役に立てば幸いです。

目次

1 はじめに

「はじめが肝心」「始めよければ全てよし」などの言葉に代表されるように、人と人との“出会い”は、互いの関係を円滑にするための第一歩として、大切なことです。

新型コロナウィルスの感染拡大の影響は、社会全体をゆるがす大きな問題となっていますが、突然年度末を迎えるだけではなく、“緊急事態宣言”も延長され、学校も保護者もどんなにか戸惑っていることでしょう。活動を制限された子どもたちの学校再開後の、心のケアが問題となり始めています。

2 出会いや節目を生かして  

四月。それぞれの学年が一学年ずつ進級し、学級編成替えがある場合もあり、再スタートや初めての友達に会う、出会いや節目の時期でもあります。通常ならば子どもたちは「担任の先生はどんな人か」「友達と仲良くやっていけるだろうか」という不安や希望、期待などが入り交じった気持ちでいます。

出会いの時期の学級づくりには“ルールとリレーションのバランス”が保たれていることが大切であると言われています。ルールの形成とは、子ども同士が安心してかかわることが出来る集団に必要な最低限度の約束やマナー。リレーションとは、本音や感情交流がある関係のことを言います。

突発的な事情からの長期休業明けのような状況では、まずリレーションづくりにポイントをおいて学級づくりをしましょう。

そんな出会いや節目を生かして「こんな親しみがもてる先生なんだ」「このクラスには楽しい友達がいる」「自分と似たところがある友達がいる」と実感したり、仲良くなったりするためのきっかけづくりとして取り組めるエンカウンターのエクササイズに取り組みたいものだと思います。

3 「学級づくりの安・近・短でリスタート!」

出会いの時期に成功する学級づくりとしてお勧めするキーワードは、「学級づくりの安・近・短でリスタート!」です。安心感を醸し出す「安」、心理的な距離を意識して取り組む「近」、短時間・短期間でも効果が得られる「短」を大切にしたいと思うからです。

一口にリレーションづくりといって多くの実践が可能です。リレーションづくりのポイントは「自己開示」と「フィードバック(相手の話を聴く・受け取る)」のバランスを考えて取り組むことです。

「自己開示」では、自宅で過ごした数か月間をどのように過ごしていたか、どのような気持ちだったかを語る「○か月の経験」がお勧めです。「フィードバック」では、その語ったことを元に、相手に(肯定的・受容的)気持ちを伝えることがよいでしょう。

それぞれの体験や経験の似ているところ、違うところを共有することで、一気に心理的な距離を縮めることができます。さらに、子どもたちの本音を知ることで、心のSOSサインに気づくことにもなりますのでぜひ参考になさってください。

4 プロフィール

八巻 寛治先生

学級づくりにカウンセリングの視点を取り入れて実践。書籍や全国からの研修の要請に答えている。上級教育カウンセラー・ガイダンスカウンセラーとして子どもから大人までカウンセリングを受けている。特に東日本大震災の経験を生かし、子どもの心のケアや不安や悩みの解消に関するサポートを続けている。

八巻寛治365日の学級づくり低・中・高学年編(明治図書)、構成的グループエンカウンターミニエクササイズ56選(明治図書)、構成的グループエンカウンターショートエクササイズ集(図書文化)他著書多数。

5 参考

八巻寛治365日の学級づくり低・中・高学年編 八巻寛治著 明治図書

小学館みんなの教育技術web版「『子どものコロナづかれを解消!』教育カウンセラーが教える家庭でできる心ほぐしゲーム」
https://kyoiku.sho.jp/48540/

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震災後の心を支えるエクササイズ(八巻寛治先生)も併せてご覧ください。

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