1 はじめに
この記事は、静岡県で30年間以上続く教員サークル「シリウス」のホームページに掲載されている教育実践法「一読総合法で物語文の基礎を学ぶ」をご紹介しています。
※筑波大付属小の青山先生の授業を参考にさせていただきました。
2 実践内容
「あめだま」という物語の基本構造(登場人物、時、場、出来事)を読み取り、物語のクライマックスや物語文の構造を知る学習を行いました。
発問1 「まるい、甘い、なめる」といったらなんでしょう?
まず最初に題名のイメージを持たせるために質問をしました。あめ玉、とわかったところで「大きさはどのくらいでしょう?」と尋ねました。さらに題名を押さえたところで、22文(さむらいがすらりと刀をぬいて、まで)までを読んだあと、時・場・登場人物など物語の基本構造について質問しました。
発問2 この話は、いつ(どこ/だれ)の話ですか?どの文からわかりますか?
子どもたちは
* 「いつ」
・春の温かい日 ・さむらい…昔の時代
* 「どこ」
・わたし舟 …川の上だとわかる
* 「だれ」
・お母さん ・子ども ・さむらい
という答えを導き出すことができました。
「子ども」については何人いるかを尋ねてみると文中(「子どもたちはだまりました」「ふたりの小さな子どもをつれた」「『あたしにちょうだい』『あたしにちょうだい』」から、二人の子どもであることを見つけました。
発問3 あめだまに出てくるお侍さんは、どんな性格の人なのでしょう。文中の言葉を手がかりに考えてみましょう。
時・場・登場人物がわかったところで、次に人物について考えました。すると、「恐い」と「いい人」の2つのイメージが出てきました。
〈恐い〉
* 強そう…黒いひげを生やしている
* 恐そう、短気
* 自己中心的…まんなかにどっかり座っている
〈いい人〉
* 明るくておっちょこちょい…「おおいちょっとまってくれ」と手を振りながら走ってきたから乗り遅れた。
* あわてんぼうだけれど強くて穏やか…こっくりこっくり、居眠りをしたから
* あまり悪い人ではない…手を振りながら舟に走ってきているから
という意見でした。侍の性格の結論は出さずに次の発問をしました。
発問4 このあとお母さんはどうした思いますか?
22文(さむらいがすらりと刀をぬいて、まで)までを読んだので、ここからは子供の推測です。
「おどおどした」「あめだまをあげた」「どなった」などの予想があがりました。それぞれどうしてそのような行動をしたかと思うか、証拠となった文も尋ね、正解は伝えないまま次の質問に移ります。
発問5 このあとおさむらいさんはどうした思いますか?
子どもたちから出た意見は
- お侍さんが飴だまを一つ持っていて、子どもにあげた。(2人)
- 向こう岸に着いたら、子どもに買ってあげた。(0人)
- あめ玉を二つに分けてくれた。(12人)
- 子どもを切ってしまった。(6人)
- 実はお侍さんはお父さんだった。(0人)
答えは…「お侍さんはあめ玉を受け取ると刀で二つに割り、子どもに与えた」でした。この答えを受けて、人物像のところで挙げた、つよそう、怒っては大変、怒っているに違いない、などの理由は事実ではなく、お母さん(話者)の思い込みであることを確かめました。
説明
子どもたちは、文を手がかりに予想を立ていました。この物語は、お母さんを通した話者の視点で述べられており、必ずしも事実を語っているわけではないということを、発問3,4で説明しています。また、この話の面白さの仕掛け(場の設定、人物像)についても発問2で説明をしました。
3 プロフィール
静岡県教育サークル シリウス
1984年創立。
「理論より実践を語る」「子どもの事実で語る」「小さな事実から大きな結論を導かない」これがサークルの主な柱です。
最近では、技術だけではない理論の大切さも感じています。それは「子どもをよくみる」という誰もがしている当たり前のことでした。思想、信条関係なし。「子どもにとってより価値ある教師になりたい」という願いだけを共有しています。
4 書籍のご紹介 (シリウス関連)
クラスがぎゅっとひとつになる!成功する学級開きルール&アイデア事典
5 編集後記
一文一文から得られるヒントを手掛かりに全体像を想像していく「一読総合法」は、子どもたちの創造力を最大限に引き延ばす有効な手段であると感じます。集団で話し合って答えを導き出すことで読解力もさらに深まるため、多くの授業で採用すべき手法だと思われます。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部)

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