ホウセンカででんぷん反応を見る(ジャガイモでなくても) ~楽しい理科実験vol.8

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目次

手間がかかるし難しい実験

小学校の実験の中で、植物がでんぷんを作ることを確かめる実験(光合成の実験)は、手間がかかるし難しいです。日光を当てていないのにでんぷん反応があったり、日光を当てたのに十分なでんぷん反応が出なかったりします。せっかく手間をかけて実験をしたのに、子供たちの頭は混乱し、教師も信用を失うような結果になりかねません。

そこで叩き染にして「ジャガイモでなく、ホウセンカを使う実験」「脱色にエタノールを使わない実験(叩き初め&漂白剤)」を提案したいと思います。

ホウセンカで十分です。
こんなに、きれいに結果が出ました。↓↓↓

ジャガイモでなくても

植物の葉に日光が当たるとでんぷんができるという事を確かめる実験に、小学校理科教科書は昔からジャガイモを採用していることが多いようです(全部調べたわけではありません)。ジャガイモなら「葉ででんぷんが作られて、イモに蓄えられる」というイメージを喚起するのにはよいかもしれません。

ただ、ジャガイモの採用にはいくつかの難点があります。

① ジャガイモ(種芋)の入手が難しい場合がある・・・種芋を分けてくれる園芸店が十分な供給をしてくれるとは限りません。2月ごろから売り出すそうですが、多くの学校が買いに来るので売り切れが出てしまうことがあります。また、ホームセンターに売っていたとしても、学校事務の都合で予算の執行が難しい場合もあります。

② ジャガイモの植え付けの時期が前年度・・・ジャガイモは涼しい環境が好きなので、地域によっては植え付ける時期が前年度になる場合があります。前年度に植え付けを忘れられてしまうと、6年生理科担当が気づいた時には①で書いたように入手が困難になっている場合があります。

③ 実験の時期に合わない・・・植え付けが早すぎたり遅すぎたりすると、いざ実験をしようとした時にジャガイモが育っていなかったり、枯れ始めていたりします。教科書で光合成を習う時期に合わせるのが難しい場合があります。

④ 葉からでんぷんが抜けない・・・教科書ではジャガイモの葉にたまっているデンプンを一旦抜くために、前日からアルミホイールで葉を包んでおくように書かれています。しかし、暑い時期になると、一晩では葉に溜まったでんぷんが抜けきらない場合があり、日光を当てなかった葉からもでんぷんが検出されて、子供たちが混乱する場合があります。

⑤ 可搬性が悪い・・・これについては後述します。

ホウセンカがいいです

では、ジャガイモでなければ何がいいのかというと、私はホウセンカをお勧めします。ホウセンカをお勧めする理由は以下の点です。

① 栽培が簡単・・・水分補給をしたり猛暑の連休は日陰に入れたりするなど、配慮は必要ですが、基本的に3年生で扱うことが多い植物なので、栽培は簡単です。必要な数の植木鉢を作っておいて、3年生の子供に世話をお願いしておくと楽ですね。

② 葉の数が多い・・・1人1実験を実現できるぐらいの葉の数があります。2鉢あれば1クラス分の実験ができるぐらいの枚数があります。鉢のサイズを児童用の1.5倍ぐらいにすると大きく育って葉がたくさんつきます。

③ 葉の大きさが適切・・・直径10cmろ紙に挟める程度の大きさの葉が多いです。葉が大きい植物では、ろ紙からはみ出して葉の形がきれいに染まらない場合があります。

④ みずみずしい・・・木槌でろ紙にはさんだ葉を叩いてでんぷんを移す場合、葉にはそこそこの水分量があるので、水分と一緒にデンプンがろ紙にしみ出しやすいです。

⑤ 可搬性にすぐれている・・・これについては後述します。

最近は初夏でも猛暑となることが多いので、ホウセンカの栽培でも少し配慮が必要です。詳しくは下記↓↓↓リンク先をご参照ください。

「猛暑・虫害・土づくり」小学校で植物を育てる ~ 教師も楽しい理科実験 | EDUPEDIA

    ホウセンカなら葉をアルミホイールで包まなくても構わない

    教科書では、

    「前日から葉をアルミホイールで包む」

    「3枚の葉を包んで目印に切れ込みを入れる」

    「1枚は朝に、もう1枚は午後に、もう1枚は朝にアルミホイールを外して日光を当てた上で午後にでんぷん反応を見る」

    という記述になっています。朝にでんぷん反応を見る実験は教師がやって、午後の授業の初めにその結果(でんぷん無し)を見せてあげればいいでしょう。 それにしても、前日に3枚の葉をアルミホイールで包む作業はたいへんです。子供にやらせるにはけっこうな時間が必要になりますし、包み方が甘いと光が入り込んで実験結果がおかしくなります。

    そこで、可搬性に優れているホウセンカを用います。前日から(可搬性がいいので2~3日前でもよい)植木鉢ごと理科室(理科準備室)に運び込んで、暗幕をひいて真っ暗にした上に下の写真のように段ボールで覆います。これでほぼ光を遮断できます。下↓↓↓の写真は実際より少し明るくして撮影しています。

    これならアルミホイールで包まなくても、日光を当てるホウセンカを朝に外へ出すだけでOKなのです。午後になったら外に出したホウセンカを理科室に戻して「日光に当てました」などと表示しておきます。

    暗室に置いた方はそのままに、懐中電灯で少し照らすぐらいにして子供に葉をちぎらせます。

    葉にハサミで切り込みを入れて印をつけなくても、ろ紙の方に「名前」プラス「日光アリ」「日光ナシ」と書かせておいて葉をちぎったらすぐにはさむように指導すればよいと思います。

    ホウセンカは実験の直前まで日に当てておきましょう。2時間続けてやると、2時間目はヨウ素液をかけても少し青紫色が薄かったです。

    エタノールで脱色しなくても

    教科書は昔から、でんぷん反応がしっかりとみられるように、葉の緑色を脱色するためにエタノールを利用する記述をしていることが多いです。また、エタノールで脱色する前に「湯につけて葉を柔らかくする」過程まであります。

    ところが、エタノールを高温に保つには湯が必要であり、エタノールの沸点(78℃)近くで温度を保つには熱湯が必要になって危ないです。また、エタノールの値段が高く、児童数の多い学校ではけっこうな予算が必要となります。間違って医薬用外劇物であるメタノールを使う教師もいて、ちょっと怖いです。

    脱色した後のエタノールは緑色で美しく、それ自体が実験として面白いですが、手間が多くて正直しんどいです。

    私は叩き染めをしてハイターで脱色する方法をお勧めいします。

    叩き染めとハイター

    エタノールで脱色するよりもずいぶん簡単で安価な方法が「叩き染め」です。

    ① ろ紙(あらかじめ油性マジックで名前と日光の「アリ・ナシ」を書かせましょう)を半分に折って葉をはさむ・・・2枚のろ紙に挟んでもいいですが、半分折りが安価です。

    ※ 予備実験をして、もしもヨウ素反応が薄いようでしたら、葉を下写真のように20~30本の爪楊枝を束ねたものでつついておくと、デンプン(葉の汁)の出がよくなります。

    ② ろ紙をサランラップで包む・・・何重にも包むときれいに葉の形が出てきませんので、1重で。

    ③ 粘土板、あるいは木の板の上で叩く・・・木槌が推奨されますが、数が足らなければ金槌で。ホームセンターでゴムハンマーが安価で売られています。

    金槌の先が丸い方でこまめに叩くとよく水分がろ紙に移りますが、その場合は安全確保が十分にできる状態がなければいけません。子供の様子に合わせて判断してください。

    ④ 子供は強く叩こうとするので、叩く強さを「これぐらいで」と、見せておきましょう。「5cm以上振り上げないように」と、制限しておくといいと思います。

    ⑤ 葉の形が現れたらラップを外して葉も外します。叩き過ぎるとろ紙が痛んで破けてきますので、叩き過ぎずに均一に叩くように指示をしましょう。

    ⑥ 葉をろ紙に残さないようにしっかりと外すように指導してください。その後、ろ紙をキッチンハイターにつけます。指導書には「水で10倍に薄めた(塩素系)漂白剤」と記述していますが、10倍は濃いかなと思うので、30倍ぐらいに薄めました。エタノールでなくても、これでかなりきれいに脱色できます。漂白剤の濃さによりますが、10分程度で葉の色は見えないくらいに薄くなります。

    ⑦ 指導書にはその後、70~80℃の湯につけて漂白剤を洗い落とすとあります。漂白剤も湯も、児童の実験机に置くのは危険を感じるので、教師用実験机に両方を用意しました。大きなトレイを4つ用意して、漂白剤と湯を2つずつに入れました。漂白剤から湯に移す作業は教師の方でやりました。安全第一です。湯ですすいだら、児童のシャーレに入れます。

    ⑧ ペア(2人)で実験をしました。日に当てなかった葉は、2人に1枚、日に当てた葉は1人1枚です。日に当てた葉はクラスの半分以上の子供がはっきり葉の形で青紫色になり、残りの子供も全員が(少し薄くても)青紫色になりました。

    「可搬性にすぐれているホウセンカ」と「叩き染め」の組み合わせは、この実験をコンパクトにやり切るにはとても良い選択肢だと思いました。一昨年前の「ジャガイモ栽培に右往左往した挙句に結果が今一つだった」のに比べれば、育てやすくて安価なホウセンカを使った方がずっといい結果が得られました。

    時間の余裕があれば、様々な植物の葉を使って実験してみるのもいいと思います。インゲン豆やヘチマもデンプン反応が出ました。双子葉植物で、薄くて水分含有量が多そうなものが良いだろうと思います。

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